世界J・ミドル級王者。世界王者になる前の試合&防衛戦。レネル・ストロマン戦、エリック・ホランド戦、スティーブ・フォスター戦を紹介します。
ロナルド・ライト(アメリカ)
身長179cm:サウスポー
①ロナルド・ライト 6R 判定 レネル・ストロマン
(J・ミドル級戦、1991年)
(ダウンシーン)
4R:左ジャブでライトがダウン
6R:左フックでストロマンがダウン
(感想:ライトはワシントンD.C.出身の黒人サウスポー。ニックネームは「Winky」(彼が産まれたばかりの頃に祖母が付けたらしい。どういう意味なのだろう? ウインクが似合う子だったのだろうか?)。フロリダ州でプロデビュー。以来、連勝中。年齢はまだ19。ストロマン(28歳)はニューヨーク・ブルックリン出身。デビュー戦の相手は後の世界ランカー、ラマー・パークス(有望株だったが世界戦は敗北)で判定負け。その後は連勝、連敗。不安定なキャリア。フロリダ州タンパでの一戦。典型的なサウスポーのライト。相手から距離を取り、右ジャブ、左ストレート、接近戦では左右フックボディ連打。ストロマンも悪くない。ダッキングしながらジャブ、パワフルな右ストレート。しかし、連打の回転力、ディフェンス、当てるテクニックでライト。ストロマンの右ストレートは空転。4Rにハプニング。右ストレートからの左ジャブでライトがダウン。しかし、攻撃の正確さでライトが挽回。6Rに力強い左ストレートからの右フック。そして、左フックでストロマンからダウンを奪う。6R終了。判定は3-0。ライトが正確にパンチを当てて勝利。アッパー気味の左右フックなどパワーのあるところも見せた。ストロマンは残念。右パンチに力を入れすぎてフォローの左フックが出なかった。力加減がもっとできていれば、といったところ。その後、ストロマンは多くの試合。勝ったり負けたり後、キース・ホームズ(後のWBC世界ミドル級王者)にKOされるなど連敗でキャリアを終えた。)
②ロナルド・ライト 8R 判定 エリック・ホランド
(J・ミドル級戦、1993年)
(感想:連勝中のライトがヨーロッパ遠征。ホランドはワシントン州タコマ出身の黒人。デビュー戦の相手はあのクリス・ユーバンクで、判定負け。以後も連敗するなど不調。元IBF世界J・ミドル級王者バスター・ドレイトンに判定勝ち。後のWBA世界ミドル級王者フリオ・セサール・グリーンに判定負け。ライト戦はその再起戦となる。ドイツ・デュッセルドルフでの一戦。ブロックを固めて前進し、右ストレート、左右フックボディ連打のホランド。この試合のライトはまさにアウトボクサー。足で中間距離を保って右ジャブ、右フック、右ボディ打ち、ワンツーからの右フック。ボディ打ちに良さがあるホランドだが、ジャブが少ないため空転。ライトがジャブで先手を取る展開で8R終了。判定は3-0。ライトがテクニックで勝利。会場の反応は薄め。なぜ米国人同士の試合がドイツで行われたのかは知らないが、ドイツのファンはこの試合を観てどう思っただろう? ホランドはジャブを出さないのがもったいなかった。それが不安定なキャリアの理由だろう。その後もホランドはリングへ。マイナー王座獲得、元世界王者ルペ・アキノに勝利。しかし、IBA王座戦などのタイトル戦に敗北、強打者ロニー・ブラッドリーに判定負け。負けてもリングに上がり続け、しぶといところを見せた。)
その後のライト
フランスを主戦場に移し、連勝を継続。フリオ・セサール・バスケスのWBA世界J・ミドル級王座に挑戦したが判定で初黒星。その後、連勝してアメリカへ。北米J・ミドル級王座を獲得、防衛。二度目の世界挑戦でブロンコ・マッカートに2-1の判定勝ちでWBO世界J・ミドル級王者に。英国で初防衛に成功。
③ロナルド・ライト 6R TKO スティーブ・フォスター
(WBO世界J・ミドル級タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
6R:右ボディで2度、フォスターがダウン
(感想:ライトがタイトル防衛。これまで36勝(21KO)1敗の王者ライトが二度目の防衛戦。挑戦者フォスターは英国ランカシャー出身の白人。ニックネームは「Viking(バイキング)」。デビューから連勝したり、連敗したり。IBFインターコンティネンタル王座、英連邦王座(J・ミドル級)を懸けたダブルタイトル戦でクリス・ピアットに勝利して、このライト戦のチャンス。英国マンチェスターでの一戦(「ナジーム・ハメド vs. ビリー・ハーディ」のWBO・IBF世界フェザー級戦が行われた興行。TV映像のテロップに「(英語で)WBO・IBF世界フェザー級戦 ロナルド・ライト vs. スティーブ・フォスター」のミステイク)。上半身が筋肉でゴツくなったライト。突き刺すかのように右ジャブ、左ストレート、そして右ボディ打ち。力強い打ち方をしているが、一発で相手をKOするようなパワーはない。スキンヘッドのフォスターは接近して左右フック攻撃。2R、右ボディ打ちでライト優勢。その後もパンチの正確さでライト。フォスターはワンツー、フックに良さがあるが、ディフェンスされがち。6R、またしてもボディが効いたフォスター。右ボディでダウン。立ったが、さらに右ボディで二度目のダウン。倒れると同時にレフェリーは試合を止めた。ライトがボディ攻めで勝利。タイミングを捉える巧さがあった。フォスターはタフネスがありよく頑張ったが、ライトのディフェンスを崩すことはできなかった。その後の二人。フォスターは英国王座戦、WBF王座戦、IBO王座戦(全てミドル級)に三連敗で引退。チャンスはもらえたが、地域の実力者にとどまった。ライトは三度目の防衛に成功したが、その次の防衛戦でWBO王座陥落。決定戦でIBF王者に。IBF王座連続防衛後、シェーン・モズリーとのWBA・WBC・IBF世界J・ミドル級王座統一戦に勝利(2004年)。フェリックス・トリニダードに勝利。しかし、ジャーメイン・テーラーと引き分けでWBC・WBO世界ミドル級王座獲得ならず。アイク・クォーティに勝利。バーナード・ホプキンスに敗れ、それが事実上のラストファイトに。獲得した世界王座はJ・ミドル級のみだったが、名のある選手と多くの試合。一発のパワーはそれほどでもなかったが、地元では人気。2017年、「国際ボクシング殿堂」メンバー入りを果たした。)
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