2024年6月8日土曜日

「デンバーの黒人サウスポー」スティーブ・ジョンストン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界ライト級王者。世界王者になる前の試合&全盛期後。ヘスス・ロドリゲス戦、ビビアン・ハリス戦、エドナー・チェリー戦を紹介します。

スティーブ・ジョンストン(アメリカ)

身長164cm:サウスポー


スティーブ・ジョンストン 10R TKO ヘスス・ロドリゲス

(北米ライト級タイトル戦、1995年)

「デンバーの黒人サウスポー」スティーブ・ジョンストン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

10R:連打、左ストレートで2度、ロドリゲスがダウン

(感想:ジョンストンがタイトル防衛。コロラド州デンバー出身の黒人サウスポー、ジョンストン。アマチュアで優秀な戦績(大きな大会で優勝したことも)。しかし、オリンピック(1992年)にはバーノン・フォレストに敗れ、出場ならず。デンバーでのプロデビュー以来、連戦連勝。後の世界王者ジェームス・ペイジ、シャンバ・ミッチェルらに勝利。決定戦で北米ライト級王座を獲得。これまで16連勝(11KO)、23歳。ロドリゲス戦は二度目の防衛戦。挑戦者ロドリゲス(26歳)はメキシカン。27勝(16KO)6敗。デビューから連勝だったが、レイ・ロバト、ジェフ・メイウェザーに二連敗。メキシコ王座(J・ライト級)獲得、連続防衛。WBC米大陸王座(ライト級)も獲得。ただ、直前の試合でビリー・アーウィンに判定負け(米大陸王座戦)。カリフォルニア州インディオでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ。レフェリーはジェームス・ジェンキン)。ジョンストンはパーネル・ウィテカーのようなタイプ。実にシャープな右ジャブ、左ストレート。当てる巧さもあり、特に左ストレートをヒットさせる。ロドリゲス(ヒゲ&パーマ)もサウスポーであるが、パンチのキレでジョンストン。ただ、ロドリゲスはワンツー、右フックを思い切り打ち、パワーでは上に見える。全般的に試合はジョンストンの速い正確な攻撃にロドリゲスは受け身。10R、連打でロドリゲスがダウン。立ったが表情は冴えない。左ストレートで二度目のダウンと同時にレフェリーストップ。ジョンストンが鋭さと正確さで勝利。ただ、一発のパワーは無い。ロドリゲスはスピードで劣り、追い込まれていった。その後、ロドリゲスはオバ・カーにKOされるなど勝ったり負けたりだったが、地域王座戦に多く出場した。)


その後のジョンストン

全勝のままジャン・バチスト・メンディを判定で破り、WBC世界ライト級王座獲得。坂本博之、サウル・デュラン、ジョージ・スコット相手に三度の防衛(全て判定勝ち)。四度目の防衛戦でセサール・バサンに判定負け、王座陥落。判定でバサンから王座奪回。アルド・リオス、エンジェル・マンフレディ、ビリー・シュワー、フリオ・アルバレス相手に防衛(アルバレスのみKO勝ち)。ホセ・ルイス・カスティーリョに判定負け、王座陥落。カスティーリョとの再戦は引き分けで王座奪回ならず。2003年、WBC世界ライト級王座挑戦者決定戦でTKO負け、ブランク。2005年、カムバック。NABCライトウェルター級王座、IBOスーパーライト級王座を決定戦で獲得。カムバック後は連勝でビビアン・ハリスと対戦。   


ビビアン・ハリス 7R TKO スティーブ・ジョンストン

(スーパーライト級戦、2006年)

「デンバーの黒人サウスポー」スティーブ・ジョンストン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右カウンターで2度、ジョンストンがダウン

4R:左ジャブでジョンストンがダウン

7R:右ストレートでジョンストンがダウン

(感想:これまで39勝(18KO)3敗1分のジョンストン。ハリスはガイアナ・ジョージタウン出身の黒人で26勝(17KO)2敗1分。「ボクシング兄弟」で、兄ウェインはレジー・ジョンソンのWBA世界ミドル級王座に挑戦して判定負けしたことがある。12歳でボクシングを始める。16歳の時にニューヨーク州ブルックリンへ移住。アマチュアで活躍後、プロ転向。敗北はあったが、好戦績。ディオスベリス・ウルタドを2Rで仕留めてWBA世界スーパーライト級王座獲得(2002年)。連続防衛後、KOで王座陥落。再起戦に勝利して、このジョンストン戦。カリフォルニア州サンタ・イネスでの一戦(会場ではハリスの婚約者が観戦)。1R、スラリとしたハリス。足でリズムを取ってシャープなジャブ、ワンツー。ジョンストンは基本は変わらない。右ジャブからの左ストレートにパワーを入れる。しかし、パンチのキレは昔と比べると落ちており、右カウンターで二度のダウン。ハリスは優秀な選手。離れては長いパンチ、接近戦では回転の速い連打。身長でハンデがあるジョンストンは相手の懐に飛び込もうとするが、パワーではハリスに敵わない。4R、右ストレートからの左ジャブでジョンストンがダウン。そのうえ左眉をカットし、右目が腫れていく。7R、右ストレートでジョンストンがダウン。立ったが、連打されてレフェリーストップ。ハリスが鋭さで勝利。カウンターを取るなどテクニックも優れていた。ジョンストンは負けたが最後まで勇敢に攻め続け、ジャブ、ストレートをヒットさせてハリスがクリンチで逃げる見せ場を作った。これだけ戦えれば十分だろう。その後のハリス。WBC世界スーパーライト級王座に挑戦してKO負け。意外なことにその後は連敗したりでサッパリ。良い選手だが、やや線が細いのが難点だったようだ。)


エドナー・チェリー 10R TKO スティーブ・ジョンストン

(WBCライト級アメリカ王座決定戦、2008年)

「デンバーの黒人サウスポー」スティーブ・ジョンストン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:ワンツーでジョンストンがダウン

9R:右フックでジョンストンがダウン

10R:ワンツーでジョンストンがダウン

(感想:チェリーがタイトル獲得。これまで42勝(18KO)5敗1分のジョンストン(35歳)。ビビアン・ハリス戦の次の試合でIBAライト級王座を獲得したが、二度目の防衛戦でTKO負け、王座陥落。再起戦に勝利して、このチェリー戦。チェリー(25歳)はバハマ・ナッソー出身の黒人。ニックネームは「Cherry Bomb」(さくらんぼ爆弾?)。主戦場はアメリカ。23勝(11KO)5敗2分。NBAインターコンティネンタル王座、NABA王座、NABF王座(全てライト級)を獲得してきた。アメリカ・ジャクソンビル 「キャンプ・ルジューン(アメリカ海兵隊の軍事基地)」での一戦。パワーを込めるチェリー。特に右パンチに威力。ジョンストンはディフェンスしながら左ストレートで攻めの姿勢。 3R、右ストレートが効いたジョンストン。ワンツーでダウン。その後も接近戦でフックでの打ち合い。ジョンストンは積極さと当てる巧さがあるが、右強打でチェリーがやや優勢。互いにストレートで攻める。9R、左右フックからの右フックでジョンストンがダウン。10R、足を使うチェリー。攻めてくるジョンストンに強烈なワンツー。ダウンしたジョンストン。あまりの痛烈な倒れ方にレフェリーは直ちに試合を止めた。チェリーがナチュラルなパワーで勝利。ジョンストンはそんな強打者を相手によく前に出たが、これは危険な戦法。パワーはそれほどでもないジョンストンが強打者と打ち合いを選択。おそらく、勝っても負けても思い切りのよい試合をしたかったのだろう。その後の二人。チェリーは次の試合でティモシー・ブラッドリーのWBC世界スーパーライト級王座に挑戦したが、判定負け。ホセ・ペドラザのIBF世界スーパーフェザー級王座に挑戦してこれも判定負け。世界王者にはなれなかった。ジョンストンはチェリー戦が最後の試合となった。)

 

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