WBO世界バンタム級王者。世界王者になる前の試合&キャリア後半の試合。ラモン・グスマン戦、エンリケ・サンチェス戦(ラストファイト)ほかを紹介します。
ラファエル・デル・バーレ(プエルトリコ)
身長168cm:オーソドックス(右構え)
①ラファエル・デル・バーレ 10R 判定 ファン・カラーソ
(バンタム級戦、1991年)
(感想:アマチュアの大きな大会で銅メダルを獲得したこともあるデル・バーレ。強打者ではあるが、ジャブとフットワークを使って相手の戦力をチェックする慎重なタイプ。サンファンでのプロデビュー戦以来、連戦連勝。年齢は若く、22歳。カラーソ(26歳)もプエルトリカン。デビューから連勝だったが、あのウィルフレド・バスケスにTKO負けで初黒星。サントス・ラシアルとの挑戦者決定戦に勝利してヒルベルト・ローマンのWBC世界J・バンタム級王座に挑戦したが、判定負け。その再起戦でホセ・ルイスのWBO世界J・バンタム級王座に挑戦したが、何と1RでTKO負け。直前の試合では(世界王者になる前の)ジュニア・ジョーンズに2-0の判定負け。名のある選手と対戦してきた経験があるが、善戦したり、惨敗したり。デル・バーレ相手にどんな動きを見せるか? プエルトリコ・サンファンでの一戦。共にリズミカルな動きでジャブ。距離を取るデル・バーレ。接近して右ストレート、左フック。パンチにキレとパワー。カラーソは右ストレートからの左フックが迫力だがディフェンスされたり、クリンチされたりで攻撃が単発に終わる。しかしながら、やけに慎重なデル・バーレ。打ってはクリンチし、また距離を取る。クリンチが多い展開の中、デル・バーレが左フックを当てて10R終了。判定は僅差の3-0。残念なデル・バーレ。パンチは間違いなく強かったが、KOを狙うような試合ぶりではなかった。カラーソはデル・バーレのクリンチ作戦に付き合うような動き。なぜ大きな試合を落としてきたかを物語るような試合ぶりだった。その後、カラーソは勝ったり負けたり。WBCの地域王座(J・バンタム級)に挑戦してTKO負け。タイトルには縁が無いキャリアだった。)
その後のデル・バーレ
ロンドン・ケンジントン「ロイヤル・アルバート・ホール」でデューク・マッケンジー(英国)を強烈にKOしてWBO世界バンタム級王座奪取。元WBC王者ミゲル・ハッピー・ロラらを相手に二度の防衛に成功したが、三度目の防衛戦でアルフレッド・コティ(ガーナ)に判定負け(初黒星)して、王座陥落。その後、連勝でWBAの地域王座戦に出場。
②ラファエル・デル・バーレ 10R TKO ラモン・グスマン
(WBAフェデラテン・ジュニアフェザー級王座決定戦、1996年)
(ダウンシーン)
6R:右ストレートでグスマンがダウン
10R:左フックでグスマンがダウン
(感想:デル・バーレがタイトル獲得。世界王座返り咲きを目指すデル・バーレ(27歳)。これまで20勝(14KO)1敗。22勝(21KO)4敗のグスマン(ベネズエラ、29歳)は実力者。WBCの地域王座(バンタム級)、ベネズエラ王座(ジュニアフェザー級)獲得。しかし、アントニオ・セルメニョにTKO負けでWBAフェデラテン王座(ジュニアフェザー級)獲得ならず。再起戦で海外武者修行中の葛西裕一にTKO勝ち。そして、二度目のフェデラテン王座挑戦もTKO負け。間違いなく実力はあるが、相手も実力者ということで順風満帆というわけにはいかない。マイアミでの一戦。似たところがある両者。互いに距離を取り、強打。フックの打ち方が良い。足を使うデル・バーレ。ワンツー、左フック、ボディ打ち。手数が少な目のグスマンだが、接近戦ではフックで応戦。互いに良いパンチを打っているが、デル・バーレがディフェンス、コンビネーション(ワンツーからの左フック、ほか)で優勢。6R、デル・バーレの右ストレート、グスマンの左フックがヒット。左フックが効いたグスマンが右ストレートでダウン。立ったグスマンだが、左フックでマウスピースを吹っ飛ばされる。その後もディフェンス、当てる巧さでデル・バーレ。10R開始早々、左フックでグスマンがダウン。立ったが、レフェリーストップ。デル・バーレが快勝。共に強いパンチを打つ好試合となったが、ディフェンスのテクニックで差が付いた(グスマンは決して弱くなかった。「上には上がある」のが勝負の世界)。その後のグスマン。再起戦で何と世界挑戦。しかし、トム・ジョンソンに判定負けでIBF世界フェザー級王座獲得ならず。その次の試合にKO負けで引退。)
③エンリケ・サンチェス 12R 判定 ラファエル・デル・バーレ
(WBA世界J・フェザー級王座決定戦、1998年)
(ダウンシーン)
4R:左フックでデル・バーレがダウン
(感想:サンチェスがタイトル獲得。グスマン戦後、二勝一分のデル・バーレ(30歳)が決定戦に出場。サンチェス(25歳)はメキシカンでこれまで23戦全勝(17KO)。デビューからメキシコで戦ってきたが、主戦場をアメリカに。リカルド・バルガス(世界挑戦経験者)に判定勝ち、北米王座(J・フェザー級)獲得、防衛といった実績。ルイジアナ州レイク・チャールズでの一戦(サンチェスのセコンドにナチョ・ベリスタイン、チャック・ボダック)。ヒゲに赤トランクスで「ウィルフレド・バスケス化」したデル・バーレ。しかし、戦い方は変わらない。ガードを固めて距離を取ってジャブ、ワンツー。サウスポーのサンチェスは速い右ジャブ、左ストレート。時折振りが大きめのフックを打つ。互いに慎重。中間距離からストレートを狙う。4R、左フックでデル・バーレがダウン。その後も淡々とした展開。若いサンチェスが速い連打をまとめ、左ストレートでやや押し気味。デル・バーレは倒しに行くような攻めをしない。12R終了。判定は3-0。ハンドスピードでサンチェス勝利。デル・バーレは元々派手にKOを狙うタイプではないが、世界戦で慎重な試合をやられると試合が盛り上がらない。強いパンチを持つ男にしては残念な試合ぶりだった。その後の二人。サンチェスは初防衛に失敗。そしてマルコ・アントニオ・バレラにTKO負け。世界戦での勝利はデル・バーレ戦のみに終わった。デル・バーレはこれが最後の試合に。全勝のまま世界王者になったが思ったほど活躍できなかったデル・バーレ。王者になった時点で満足したのかもしれない。)
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