WBA世界ストロー級、J・フライ級王者。リカルド・ロペスをぶっ飛ばしたパワー。ストロー級時代のケルミン・グアルディア戦ほかを紹介します。
ロセンド・アルバレス(ニカラグア)
身長165cm:オーソドックス(右構え)
①ロセンド・アルバレス 3R KO ケルミン・グアルディア
(WBA世界ストロー級タイトル戦、1996年)
(ダウンシーン)
2R:左ストレートでアルバレスがダウン
3R:連打でグアルディアがダウン
(感想:アルバレスがタイトル初防衛。ニカラグア・マナグア出身のアルバレス(アレクシス・アルゲリョと同じ)。ファイタータイプでニックネームは「El Bufalo(バッファロー)」。プロデビュー以来、連勝。WBAの地域王座(ストロー級)を懸けた試合で後にWBA世界フライ級王者になるホセ・ボニージャをKO。そして敵地タイで世界初挑戦。日本でもおなじみのチャナ・ポーパオイン(タイ)からWBA王座奪取。これまで20戦全勝(13KO)。グアルディアと初防衛戦。WBA1位の挑戦者グアルディアはコロンビアの黒人サウスポー。27勝(18KO)2敗。コロンビア王座(ストロー級)獲得、防衛後、全勝のままリカルド・ロペスのWBC王座に挑戦したが、判定負け。その後、連勝してこの二度目の世界挑戦。マナグアでの一戦。グアルディアがリズミカルなボクシング。足でリズムを取って右ジャブ、踏み込んで左ストレート、右フック。アルバレスは右ストレートを伸ばし、接近して左右フックボディ打ち。2R、左ストレートでアルバレスがダウン。ただ、ダメージはそれほどでもなく、ボディ打ちで反撃。グアルディアはクリンチに逃げる。3R、アルバレスが執拗なボディ打ち。左右フック連打でグアルディアがダウン、10カウント。アルバレスがパワフルな逆転勝利。身体は小さいが、度胸と腕っぷしがある。グアルディアはダウンを奪ったが、テクニックで勝負するタイプ。接近されてそのまま飲み込まれてしまった。その後、グアルディアはWBO王座獲得。暫定ではあったが、ライトフライ級でもWBO王座を獲得した。)
②ロセンド・アルバレス 12R 判定 エリック・チャベス
(WBA世界ストロー級タイトル戦、1996年)
(感想:アルバレスがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者チャベス(26歳)はフィリピン人で元IBF王者。IBF王座陥落後はマニー・メルチョル、ノエル・ツニャカオらに連敗したり、タイで連敗したり。心機一転。日本のジムと契約し、「佐藤建太」として試合(なぜ「佐藤建太」?)。タイでPABA王座(ストロー級)獲得。そしてこのアルバレス戦。仙台での一戦。サウスポーのチャベス。右を使いながら左ストレート、右フック。アルバレス(23歳)は相手がサウスポーということでグアルディア戦と同様、ブロックしながら前進して右ストレート、左右フックボディ打ち。接近戦での打ち合い。3R、右フックを食ってチャベスが後退。しかし、打ち返して劣勢になるのを阻止。その後も互いにディフェンスしながら攻めるアルバレス、応戦するチャベス、といった展開。そのパターンで12R終了。判定は2-0。最後まで前に出たアルバレスが攻勢点で勝利。チャベスは左ストレートが良かったが、先手を取る試合ぶりではなかった。その後もチャベスはリングへ。日本でピューマ渡久地にTKO負けするなど勝ったり負けたり。タイトル戦はアルバレス戦が最後となった。)
③ロセンド・アルバレス 11R TKO ソンクラム・ポーパオイン
(WBA世界ストロー級タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
2R:左アッパーでソンクラムがダウン
6R:右フックでソンクラムがダウン
9R:右カウンターでアルバレスがダウン
(感想:アルバレスがタイトル防衛。三度目の防衛戦を日本で行い、塩濱崇をKOしたアルバレス。四度目の防衛戦も敵地。ソンクラムはチャナ・ポーパオインの双子の弟。デビューからキレイに白星を並べ、これまで全勝。ただし、これまでの試合は全てタイで、これが初のタイトル戦。タイでの一戦(レフェリーはミッチ・ハルパーン)。見た目、構え方、パンチの打ち方がチャナにソックリなソンクラム。ジャブを中心とし、右カウンター、左フック。アルバレスは相手にプレッシャーを掛けるような姿勢でワンツー、フック。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも使う。2R、左アッパーでソンクラムがダウン。それをキッカケに激しい打撃戦に。攻めるアルバレス、反撃するソンクラム。しかし、ディフェンスに差が。重そうなフックを当てるアルバレス。6R、右フックでソンクラムがダウン。7R、ソンクラムが反則打で減点。8R、アルバレスの激しい攻めにソンクラムは疲れが。9R、右カウンターでアルバレスがダウン。しかし、正確な強打でアルバレスが優勢。11R、打たれ続けるソンクラムが右ストレートを食ったところでレフェリーストップ。共に強いパンチで打ち合ったが、アルバレスがディフェンスで勝利。ソンクラムは正直なボクシング。その分、アルバレスに動きを読まれたのだと思われる。その後、ソンクラムはWBA世界ストロー級暫定王者に。しかし、その後は勝ったり負けたりであまり良いところがなかった印象。)
その後のアルバレス
ソンクラム戦が行われたのは97年1月。それから一年以上間が空いてWBC王者リカルド・ロペスと統一戦(98年3月)。これに負傷引分。ロペスとの再戦に判定負けで初黒星。階級を上げ、トーマス・ロハス(メキシコ。後のWBC世界スーパーフライ級王者)に判定勝利するなど三連勝。そして二階級制覇挑戦。
④ベイビス・メンドサ 7R 反則 ロセンド・アルバレス
(WBA世界L・フライ級王座決定戦、2000年)
(感想:メンドサがタイトル獲得。これまで27勝(17KO)1敗1分のアルバレス(30歳)はWBA1位。8位のメンドサ(24歳)はコロンビア人。1996年のアトランタ・オリンピックにL・フライ級で出場(メダルは獲得ならず)。地元を中心にリングに上がり、コロンビア王座(L・フライ級)を獲得するなどこれまで26戦全勝(23KO)。アメリカとパナマで三試合しており、全てKO勝ち。勢いがある状況。ラスベガスでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはミッチ・ハルパーン(残念なことにこれが最後のレフェリング。この試合の8日後に自害)。アルバレスのセコンドにメガネのフレディ・ローチ(元ライト級))。ボクサータイプのメンドサ。ガードを上げて速いジャブ、右ストレートからの左フック。アルバレスはいつものように前進し、右ストレート、フック、ボディ打ち。ところがこのボディ打ちがローブローになるシーンが目立ち、1Rからレフェリーの警告。相変わらずフックにパワーがあるところを見せるアルバレスだが、2R、3Rにローブローで減点。4Rあたりからクリンチが目立つアルバレス。メンドサはアウトボクシング、左右ボディ打ちの器用な攻撃。6Rにもアルバレスがローブロー。7R、強いフック攻撃で優勢のアルバレスがローブロー。反則負け。パワーで勝っていながらアルバレスがローブローで敗北。しかも、自分からクリンチに行くシーンも。コンディションが良くなかったのか、相手のスピードに焦ったのか? いずれにしろ、もったいない負け方だった。メンドサはクリーンなファイトぶり。勝って大喜びだった。その後の二人。同王座を懸けた再戦とラバーマッチが行われ、二度ともアルバレス勝利。これが本来の結果か。二階級制覇のアルバレス。アルゲリョとは違うタイプの強打者だったが、ディフェンスに巧さがあるという点で共通していた。引退後は故郷ニカラグアでプロモーターとマネージャーの仕事をしているそうだ。)
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