2024年6月22日土曜日

「速いワンツー」エリック・モラレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

世界四階級制覇王者。WBC世界J・フェザー級王者時代のジョン・ローウィ戦、ジュニア・ジョーンズ戦、レイナンテ・ハミリ戦ほかを紹介します。

エリック・モラレス(メキシコ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)


エリック・モラレス 10R 判定 ロビー・ロバト

(J・フェザー級戦、1996年)

「速いワンツー」エリック・モラレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:四階級制覇したメキシコの英雄モラレス。ティフアナ出身。ニックネームは「El Terrible(恐怖の男)」。ボクサーだった父の指導で5歳のときにボクシングを始める。アマチュアで優秀な成績(メキシコの大会で何度も優勝)。16歳でプロデビュー。以来、連戦連勝。北米王座(J・フェザー級)獲得、連続防衛。これまで24戦全勝(20KO)でWBC1位。いつでも世界挑戦できる状況。ロバトはニューメキシコ州サンタフェ出身。ニックネームは「Machine Gun」。9勝(4KO)1敗。唯一の敗北は8回戦での判定負け。直前の試合は6回戦で判定勝ち。メキシコ・ティフアナでの一戦。スモークが焚かれる中、選手入場。モラレスは両手をやや前に出して「八の字」の構え。ダッキングしながらジャブ。右ストレートからの左フックにはパワーがあるが、左フックからの右ストレートなど全体的にアマチュア選手のような打ち方。ロバトも似たような構え。ジャブを連打し、踏み込んでストレート。3R、ロバトが左目のキズのドクターチェック。その後、モラレスが手首のスナップを効かせたフックで優勢。サウスポーにスイッチするなど器用さも披露(5R)。ロバトは攻めが雑で一貫しない。そのため次第に疲れが見え始める。8R、ロバトが足を使って距離を取り、攻められてホールド。モラレスはボディ打ち&連打。10R終了。判定は3-0。モラレスがパンチの正確さで勝利。しかし、あまりパワーは感じられず。後に世界四階級制覇するとはとても思えないほどだった。ロバトはニックネームほどの凄味は無し。これが事実上のラストファイトとなった。)


エリック・モラレス 8R TKO ジョン・ローウィ

(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1997年)

「速いワンツー」エリック・モラレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:モラレスがタイトル初防衛。あのダニエル・サラゴサをボディ攻撃でKOしてWBC世界J・フェザー級王者になったモラレス。初防衛戦に挑む(97年最後の試合、12月)。WBC10位の挑戦者ローウィは北アイルランド出身の白人。ニックネームは「The Quiet Man(静かなる男)」(冷静に敵を始末する、の意?)。身長169cmでモラレスより少し低い。1988年ソウル・オリンピックにアイルランド代表としてバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。ベルファストでプロデビュー。連勝後、IBO王者に(J・フェザー級)。その次の試合はWBU王座(J・フェザー級)を懸けたケネディ・マッキニーとの勝負。これにTKOで初黒星。その後、四連勝でモラレスに挑戦。ティフアナでの一戦。アイルランドカラーのグリーンのトランクスのローウィ。モラレスは黒。互いにジャブ、ストレート。接近戦。フックに巧さ、正確さがあるモラレス。ローウィはぎこちなさ。3R、バッティングでモラレスが左マブタから出血、ローウィは減点。その後も頭をぶつけながら前に出るローウィ。モラレスはジャブ、ワンツー、フックで応戦。5R、またしてもローウィがバッティングで減点。さらに相撲のようなラフ行為で減点(アマチュア出身らしからぬラフさ)。その後はモラレスが正確な攻撃。7R終了後、ローウィが棄権。特に激しく打たれたようには見えなかったが、ボディが効いたか。モラレスがあまりパッとしない勝利。巧さはあったが相手を圧倒するパワーに欠け、相手のラフプレーに手間取った印象。ローウィは接近戦での攻め(特にフック)が雑だったのが残念。その後、ローウィはブランク。カムバックしたが、オスカー・ラリオス戦、WBC米大陸王座戦(J・フェザー級)に二連敗してキャリアを終えた。)


エリック・モラレス 4R TKO ジュニア・ジョーンズ

(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1998年)

「速いワンツー」エリック・モラレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

4R:右ストレートでジョーンズがダウン

(感想:モラレスがタイトル防衛。これまで30戦全勝(24KO)のモラレスが四度目の防衛戦。挑戦者ジョーンズは「ポイズン(猛毒)」と呼ばれる二冠王(世界バンタム、J・フェザー級)で44勝(26KO)3敗。長いパンチが武器。この試合はケネディ・マッキニーにKOされてWBO世界J・フェザー級王座を失った再起戦となる。ティフアナでの一戦。共に速いジャブ。モラレスが踏み込みの速いワンツー、そして左フック。ジョーンズはジャブを連打し、右ストレート。打たれ弱さがあるジョーンズはかつてのように闇雲に突っ込んでいったり、連打したりせず距離を取って強打する。モラレスは接近戦を仕掛ける。4R、右ストレートが効いたジョーンズ。追撃の右ストレートでダウン。立ったが、さらに右ストレートを食って後退したところでレフェリーストップ。ラウンド残り時間わずかのところで止められてしまった。右ストレートがヒットするまでは互角の内容だった試合。ジョーンズは初黒星を喫した時も右パンチでやられた。ディフェンスが甘くなるクセがあるとそこを狙い打ちされてしまう。モラレスはワンツーにパワーとスピードがあった。その後のジョーンズ。IBAやIBO王座を獲得。しかし、ポール・イングルのIBF世界フェザー級王座への挑戦はTKO負けで三階級制覇ならず(2000年)。それが最後のタイトル戦となった。)


エリック・モラレス 6R TKO レイナンテ・ハミリ

(WBC世界J・フェザー級タイトル戦、1999年)

「速いワンツー」エリック・モラレス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:右フックでハミリがダウン

(感想:モラレスがタイトル防衛。これまで33戦全勝(27KO)のモラレス(22歳)。七度目の防衛戦。WBC1位の挑戦者ハミリはフィリピン人。「兄弟ボクサー」で弟エリックは元WBO世界ストロー級王者。39勝(30KO)4敗。後のWBC世界J・バンタム級王者曹仁柱にソウルで判定負け。フィリピン王座(J・フェザー級)獲得、防衛。日本での決定戦で東洋太平洋王座(J・フェザー級)獲得。このところ連勝中の勢いでモラレスに挑戦。ティフアナでの一戦(ボブ・アラム「トップランク・ボクシング」。リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはマーティ・デンキン)。ソンブレロをかぶって入場のモラレス。試合では実に力強い攻め(急激にパワーアップした印象)。ジャブ、ストレート、パワフルな左フック。ハミリもまたパンチにパワーとキレ。共にガードしながらワンツー、左フック、ボディ打ち。左フックをダブルで打ち込むなど共に器用さもある。大きくしゃくるような左フックが迫力のハミリ。しかし、モラレスのテンポの良いコンビネーション(ワンツーからの左ボディなど)、右アッパーなど斜め下からの攻撃が効果的。ハミリの攻撃はディフェンスされて単発に。6R、モラレスが連打。ロープ際での右フックでハミリがダウン。立ったがダメージ深く、レフェリーストップ。モラレスが手数、ディフェンス、パワーで勝利。世界王者になった頃はアマチュア選手のような軽さがあったが、この試合の時点では完全にプロ。後の活躍も納得の強さがあった。ハミリはいかにも「フィリピン人ボクサー」といった感じ。パワーはあるが、一発に頼りすぎる。モラレスのリズミカルかつパワフルな連打に屈した。その後の二人。ハミリはマニー・パッキャオ、ファン・マヌエル・マルケスにKO負け。モラレス戦が唯一の世界戦に。モラレスはその後も王座を防衛し、WBO王者マルコ・アントニオ・バレラに勝利してWBC・WBO王座統一。WBC世界フェザー級王座を懸けたバレラとの再戦に判定負け、初黒星。以後もバレラとの決着戦やマニー・パッキャオとの三連戦などの激闘。引退を表明したが、カムバックしてWBC世界S・ライト級王座獲得、四階級制覇達成。歴戦の勇者だった。) 

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