ヘビー級。デビューから快進撃&その後。マイク・ガンズ戦、マイク・エバンス戦、ブライアン・スコット戦、アレックス・スチュワート戦を紹介します。
ホルヘ・ルイス・ゴンザレス(キューバ)
身長201cm:オーソドックス(右構え)
①ホルヘ・ルイス・ゴンザレス 6R TKO マイク・ガンズ
(ヘビー級6回戦、1992年)
(ダウンシーン)
2R:右カウンターでガンズがダウン
4R:右カウンターでガンズがダウン
6R:右フックでガンズがダウン
(感想:キューバのハバナ出身のゴンザレス。アマチュアで実績(テオフィロ・ステベンソン、リディック・ボウ、レノックス・ルイスといった選手を破ったことがあるという)。プロ入り後にボブ・アラムの「トップランク社」と契約。中堅どころを相手にこれまで6戦全勝(6KO)。WBC29位に早くもランクイン。ガンズはカリフォルニアの黒人。1980年デビューのベテランで11勝(7KO)7敗1分。オーリン・ノリス、カール・ウィリアムスにKOされている中堅どころ。このところ三連続KO負け。ラスベガスでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはトビー・ギブソン。ゴンザレスのセコンドに元世界王者エディ・ムスタファ・ムハマド)。共にゴツいタイプで短いパーマ、アップライトな姿勢。左のガードを下げてジャブを打つゴンザレス。そして左フック、右ストレート。ガンズもジャブ、ストレート、フック。残念なことに共に腰が入った打ち方ではない。ただ、当てる巧さはゴンザレス。1Rから右ストレート、左フックをヒットさせ、ガンズはピンチに。接近戦はどちらもイマイチ。もみ合い、クリンチ。2R、右カウンターでガンズがダウン。その後も真っ直ぐ攻めるガンズにゴンザレスが右カウンターなどで迎え撃つ形。4R、ジャブを「バックハンド」として警告されたゴンザレスだが、右カウンターでガンズからダウンを奪う。5R、ゴンザレスがリズミカルにステップを踏んでジャブ。6R、右フックでガンズがダウン。立ったが、レフェリーストップ。ゴンザレスが右パンチで勝利。ゴツい右パンチ、当てる巧さ、といった良い武器。しかしながら、動きの機敏さに欠ける「けだるい」ボクシング。これでは人気が出ない。リングサイドの観客はどう思っただろう? ガンズは一生懸命頑張ったがし、動きが真っ正直すぎた。その後、ガンズはアレックス・ガルシア、ラリー・ドナルドらを相手に連続KO負けで引退。)
②ホルヘ・ルイス・ゴンザレス 2R KO マイク・エバンス
(ヘビー級戦、1994年)
(ダウンシーン)
2R:右フックでエバンスがダウン
(感想:ガンズ戦後、「巨人」マイク・ホワイト、レナルド・スナイプスらを相手に全勝を続けるゴンザレス(WBA9位、WBC7位)。黒人エバンスはシカゴのベテラン選手。デビューは1983年。当時売り出し中だったタイレル・ビッグスに判定負け。ローカル王座を獲得できたが、トニー・タッブス、トニー・タッカーに敗北。リー・ロイ・マーフィーを下してIBFインターコンティネンタル王座獲得。しかし、アレックス・ガルシア、コーリー・サンダース、マイケル・モーラーに敗れるなど実力者には及ばない。このところ二連敗中。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(レフェリーはトビー・ギブソン)。共に派手な赤いトランクス。坊主頭で後頭部だけ髪を伸ばしているゴンザレス(正直言って、ヘンな髪型)。左のガードを下げてジャブ。ジリジリと相手にプレッシャーを掛けてコンビネーション(左フック、右ストレート、左フック)。ガードを固めるエバンス。ジャブを出すが、手が出ない様子。接近戦。クリンチが目立つ(このへんがゴンザレスの課題。中間距離では力強いが)。2R、左フックをヒットさせたエバンスだが、単発で当たりが浅め。そしてゴンザレスが斜め下からの強烈な右フック。ダウンしたエバンスは座ったまま10カウント。ゴンザレスが快勝。全体的な動きのキレは相変わらずだが、フィニッシュの右フックにはスピードがあった。どうやらゴンザレスはゆっくり動きながら、ここぞという時に全力を出すタイプらしい。エバンスは残念。完全に腰が引けていた。相手の大きさにビビってしまったのかもしれない。その後のエバンス。次の試合をブラジルで行い、地元の英雄アディルソン・ロドリゲスをKO。フランク・ブルーノにKO負けしたが、その後は中堅どころを相手に連勝、負け無しで引退。2020年、イリノイ州のボクシング殿堂入りを果たした。)
③ホルヘ・ルイス・ゴンザレス 2R TKO ブライアン・スコット
(ヘビー級戦、1995年)
(ダウンシーン)
2R:右アッパーでスコットがダウン
(感想:これまで22戦全勝(21KO)で世界ランク上位のゴンザレス。スコットはミズーリ州カンザスシティの白人。身長196cm、リーチは208cm。TV映像のテロップには「21戦全勝(12KO)」とあるが、ノーコンテスト試合、トミー・モリソン、デリク・ローディにTKO負けの記録がある。ゴンザレス戦はローディに敗れた再起戦となる。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(レフェリーはトビー・ギブソン。いつもギブソンがゴンザレス戦を裁いているような印象もあるが、ジョー・コルテス、リチャード・スティールが裁いたことも)。ゴング前、両選手リング中央へ(真ん中ではなく、スコットのコーナー寄りに全員集合)。共にジャブ。ゴンザレスはパワーで右ストレート、左フック(重さを感じるパンチ)。スコットはスピード。白人の重量級選手は「タフネスに頼る突貫ファイター」が多いイメージがあるが、スコットは素早い動きで思い切ったストレート、フック。ただ、残念なことに真っ直ぐ攻めるクセがあり、1Rからジャブを食う。しかも、早くも左マブタから出血。ゴンザレスは試合態度がよろしくない。余裕をかましてリングサイドの客に何やらアピール(スコットを実力を見下しているような雰囲気)。2R、連打からの右アッパーでスコットがダウン。立ったスコットがキズのドクターチェック。試合終了。ゴンザレスが豪打で快勝。瞬発力のあるところを見せた。スコットはディフェンスに欠陥。その後、元世界王者ジェームス・ダグラス、レイ・マーサーにもKO負け。ラストファイトはシャノン・ブリッグスに1RでKO負け。引退後の2010年に41歳で死去。ドラッグとアルコールに長年依存していた末の訃報だったという。)
その後のゴンザレス
ブライアン・スコット戦の次の試合でリディック・ボウのWBO世界ヘビー級王座に挑戦したが、KO負け(初黒星、1995年)。再起戦に勝利したが、ティム・ウィザスプーン、ロス・リュリティに連続KO負け。WBOの地域王座を獲得。しかし、二連敗。どうやらボウ戦で完全に勢いが止まってしまったようだ。
④ホルヘ・ルイス・ゴンザレス 2R TKO アレックス・スチュワート
(ヘビー級戦、1999年)
(ダウンシーン)
2R:右アッパーでスチュワートがダウン
(感想:このところ二連勝のゴンザレス(34歳。27勝(25KO)5敗)。スチュワート(ロンドン出身の黒人。ゴンザレスと同じ34歳。43勝(40KO)9敗)はかつてのKOマシーン。イベンダー・ホリフィールドにTKOで初黒星を喫してからは不調。マイク・タイソンには1Rで倒されている。ここ最近は勝ったり負けたり。直前の試合はTKO負けに終わっている。ラスベガスでの一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。体格差のある二人。ゴンザレスは坊主頭&アゴヒゲ。大きい相手にジャブ、右ストレートで攻めるスチュワート(KO数が多いがボクサータイプ。コブシの頑丈さでKOの山を築いてきたが、タイソンのような豪打ではない)。ゴンザレスはジャブ、ワンツーで応戦。1Rから右フックをヒットさせる。2R、右パンチで攻めるスチュワートだが、右アッパーをカウンターで食ってダウン。フック攻撃で仕留めにかかるゴンザレス。スチュワートがアッパー気味の右フックを打たれたところでレフェリーストップ。ゴンザレスが豪打で勝利。アッパーでカウンターを取る高度なテクニックを見せた。スチュワートは大きい相手を倒すパワーに欠けていた。これが最後の試合に。その後のゴンザレス。元WBA王者グレグ・ペイジに勝利したが、最後は三連敗で引退。結局、世界王者にはなれず。動きに鋭さが無かったのが原因だと思うが、パワーに加えて意外な器用さ、ハンドスピードがあった。もう少し柔軟な動きができれば、といったところ。)
0 件のコメント:
コメントを投稿