WBCインター・ヘビー級王者。全勝だった頃&その後。ダン・マーフィ戦、ダロル・ウィルソン戦、エドワード・グチェレス戦を紹介します。
デビッド・トゥア(サモア)
身長178cm:オーソドックス(右構え)
①デビッド・トゥア 5R TKO ダン・マーフィ
(ヘビー級戦、1995年)
(感想:これまで全勝のトゥア。マーフィーはネブラスカの白人でアイルランド系。レノックス・ルイスにTKO負け、WBFの初代クルーザー級王座獲得、ピークを過ぎたグレグ・ペイジにTKO負け。トミー・モリソン、オリバー・マッコール、ラリー・ドナルド、トニー・タッカーにも敗北。ヘビー級では苦戦している。アトランチックシティ「コンベンション・センター」での一戦。身長差のある二人。大きいマーフィが足で距離を取ってジャブ。動きのスピード、パンチのキレはあまり無い。トゥアは好調。ジャブ、ストレート、フック、右アッパーで相手を追い、得意の左フックがよく当たる。押されるマーフィー。ワンツー、アッパー気味の右フック、クリンチで対抗。3R、左フックからの連打でマーフィーがピンチ。5R、マーフィーが右ストレートを食ったところでレフェリーストップ。マーフィーはストップに不満そうだったが動きのスピードに欠け、パンチをマトモに食っていた。その後のマーフィー。再起戦もTKO負け。ラストファイトはデンマークの英雄ブライアン・ニールセンにTKO負け。ローカルな活躍にとどまった。)
②デビッド・トゥア 1R KO ダロル・ウィルソン
(WBCインター・ヘビー級タイトル戦、1996年)
(ダウンシーン)
1R:左フックでウィルソンがダウン
(感想:トゥアがタイトル防衛。ジョン・ルイス(後のWBA王者)を1RでKOしてインター王者になったトゥアが初防衛戦。挑戦者ウィルソンはバージニア州出身の黒人有望株。デビューから連勝。後のWBO王者シャノン・ブリッグスをKO。マイアミでの無敗対決。ガードを上げてジャブ、ワンツー、接近してボディ打ちを見せるウィルソン。ラウンド終了直前、トゥアが左フック。一撃で倒れたウィルソンは立てず、KO(KOタイムは3分10秒)。トゥアが最も得意とする左フックで快勝。いくら有望株でも相手のベストパンチを食ったらひとたまりもない。ましてやヘビー級では。ウィルソンはその後も多くの試合。しかし、デビッド・アイゾンリティ、ティム・ウィザスプーン、レイ・マーサー、オリバー・マッコールに敗北。中堅選手としてキャリアを終えた。)
その後のトゥア
アイク・イベアブチに判定負けでインター王座陥落、初黒星。その後、全米王座を獲得、連続防衛するなど連勝。しかし、レノックス・ルイスのWBC・IBF世界ヘビー級王座への挑戦は判定負け(2000年)。クリス・バードとの全米王座戦で判定負け。北米王座獲得。元世界王者マイケル・モーラーを30秒でKO(2002年)。バード戦以降は連勝でこのグチェレス戦。
③デビッド・トゥア 4R KO エドワード・グチェレス
(ヘビー級戦、2006年)
(ダウンシーン)
2R:左フックでグチェレスがダウン
4R:左ボディでグチェレスがダウン
(感想:これまで44勝(38KO)3敗1分のトゥア(33歳)。グチェレス(40歳)はイリノイ州出身で、ニックネームは「The Iron Man(鉄人)」。身長は178cmでトゥアと同じ。しかし、年齢の割に試合数が少なく、15勝(6KO)2敗1分。プロキャリアは5年(「鉄人」のニックネームと関係がありそうだが、情報が無い)。デビューから連勝でイリノイ州王座(クルーザー級)獲得。JD・チャップマンなる選手に判定で初黒星。WBCの地域王座(ヘビー級)を懸けてチャップマンと再戦したが、またしても判定負け。トゥア戦はその再起戦。ニューヨークでの一戦。ガードを上げて距離を取るグチェレス。ジャブをよく出すが、動きのキレに欠ける。トゥアはダッキングしながらジャブで前進し、フック攻撃。ただ、かつてのような動きのキレは無い。2R、左フックでグチェレスがダウン。その後、接近戦。互いにディフェンス(ブロック)しながらフックでの打ち合い。パンチの打ち方、パワーでトゥア。グチェレスはワンツーで粘る。4R、左フックからの左ボディでグチェレスがダウン。顔をしかめてヒザをキャンバスに着いたまま10カウント。トゥアが得意の左フックで勝利。最後のコンビネーションは実に見事だった。グチェレスは動きの機敏さに欠けていた。その後の二人。グチェレスはリングに上がり続けたが、何と全敗(立派な根性であるが、ダメージが気になる)。トゥアは連勝してWBOのアジア王座を獲得するなどの活躍を見せたが、意外なことに世界再挑戦ならず。結局、ルイス戦が唯一の世界挑戦となってしまい、世界王者にはなれなかった。ボクシング界は「政治的」。フランク・ブルーノのように何度も世界挑戦させてもらえる選手もいれば、トゥアのような選手も。衝撃のKO劇で世界王者並みのインパクトを残したトゥア。個人的にはヘタな世界王者以上に魅力があったと評価する。)
レスター・ジャクソン戦、エバートン・デイビス戦、ケン・ラクスタ戦、ブルース・ベロッチ戦
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