IBA世界S・ヘビー級4回戦王者。ボクシング版「闘うシロナガスクジラ」。「世界王者」になる前の試合&防衛戦。ケネス・マイヤーズ戦、カート・アラン戦(初戦)ほかを紹介します。
バタービーン(アメリカ)
身長182cm:オーソドックス(右構え)
①バタービーン 4R 判定 ケネス・マイヤーズ
(ヘビー級戦、1995年)
(感想:異色のボクサー、バタービーン。付けられたキャッチフレーズは「史上最強の4回戦ボーイ」。身長182cm。それほど大きくないが体重があるため、丸っこい身体(プロレスの「闘うシロナガスクジラ」キングコング・バンディに似ている)。キャリアを通じてほとんどが4回戦。一般にボクサーは勝ち続けると6回戦、8回戦、10回戦とステップアップしていくが、バタービーンは4回戦。経験と強さがあるにもかかわらず4回戦。「4回戦ボクサーとは?」といった感じでその定義について議論の余地があるキャリア。ジョージア州アトランタ出身の白人。本名はエリック・スコット・エッシュ(ドイツ系)。4歳のときミシガン州、11歳のときアラバマ州に移住。母を幼くして亡くした寂しい少年時代。「タフマンコンテスト」なるローカルな格闘イベント出場の経験。プロ入り。アラバマ州でデビュー、勝利。その後も4回戦のリングに上がり続け、これまで11連勝(7KO)。マイヤーズはサウス・カロライナ州コロンビア出身の黒人で3勝(1KO)6敗1分。マイク・ディクソン、マイケル・ベントにTKO負けしている。ネバダ州ステートラインでの一戦(レフェリーはジェイ・ネイディ)。星条旗トランクスのバタービーン。ジャブ連打で前進し、大きな左右フック。マイヤーズはややアップライトな姿勢からジャブ、ワンツーからの左フック。攻めるときのガードに甘さ。接近戦。互いに連打。バタービーンはパワーはあるが、空振りするなど正確さに欠ける大味なボクシング。2R、バタービーンが荒っぽい攻めで優勢。打ち合いを避けたいマイヤーズ。走って逃げてバタービーンに背後から攻撃されてしまうシーンも。その後もバタービーンは攻める。ただ、ブロックはしているが、打たれて鼻血。4R終了。判定は2-0。危なかったバタービーン。相手の連打を食うシーンがあった。負けずに済んでよかった、といったところ。マイヤーズはパワーが乗りにくいアップライト。腰の入ったパンチではなかった。その後もマイヤーズはリングに上がり続けたが、連続KO負けで引退。)
②バタービーン 3R TKO カート・アラン
(IBA世界スーパーヘビー級4回戦タイトル戦、1997年)
(感想:バタービーンがタイトル防衛。マイヤーズ戦後、TKO負けしてしまったバタービーン。その後、また連勝で25勝(21KO)1敗。記録が無いのが残念であるが、いつの間にか「IBA世界スーパーヘビー級4回戦王者」に(シャレのような王座。「IBA」は世界王座認定団体としてはマイナーであり、「スーパーヘビー級」はアマチュアにある階級。「4回戦王者」などというものは聞いたことがない)。挑戦者アランはケンタッキー州ルイビル(モハメド・アリの故郷)の白人。中堅を相手にこれまで5勝(3KO)1分。ラスベガス「Thomas & Mack Center」での一戦(レフェリーはジェイ・ネイディ)。ヒゲを生やして70年代風のアラン。アップライトな姿勢で攻め。勢いはあるが、攻撃重視すぎてディフェンスに甘さ。バタービーンはブロック、ダッキングしながら前進。接近してフック。ただ、両者とも「近すぎる接近戦」は得意ではない。3R、バタービーンが猛烈なフック連打。ロープ際でアランが前のめりになったところでレフェリーストップ。バタービーンが腕っぷしで勝利。共に粗いところがあったが、バタービーンはゴツい身体とディフェンス。超接近戦でも時折良いパンチ。当てるテクニックを磨けばさらに面白い存在になりそうな雰囲気。アランは攻めるときの防御ができていなかった。その後、アランはブランクがち。2012年にカムバックして何とバタービーンと再戦。これに4R判定勝ち、ラストファイトに。通算戦績は8勝(3KO)1敗1分だった。)
③バタービーン 2R KO ケン・ウッズ
(IBA世界スーパーヘビー級4回戦タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
2R:右フックでウッズがダウン
(感想:バタービーンがタイトル防衛。毎月のようにリングに上がるバタービーン。挑戦者ウッズはオクラホマの黒人。負けてばかりのいわゆる「かませ犬」。テキサス州コーパス・クリスティでの一戦。ボクサータイプのウッズ。距離を取ってジャブを出すが、右の打ち方が微妙。2R、バタービーンの強烈な右フックが「ガツン」。ダウンしたウッズが立てそうにないのは誰の目にも明らかだった。バタービーンが凄まじい右で勝利。勝利後、幼い娘さん(キュートな子)と勝利を喜んでいた。ウッズは残念ながら強さが感じられない選手。基本的なところから見直さない限り、この試合のような敗北をこれからも繰り返すはず。実際、バタービーンとの再戦にも敗北するなど最後は連敗でキャリア終了。)
④バタービーン 4R KO スコット・リンデッカー
(IBA世界スーパーヘビー級4回戦タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
1R:右フック連打でリンデッカーがダウン
3R:フック連打でリンデッカーがダウン
4R:右フックカウンターでリンデッカーがダウン
(感想:バタービーンがタイトル防衛。これまで31勝(24KO)1敗の「世界王者」バタービーンが防衛戦。挑戦者リンデッカーはアイオワ州の白人で8勝(4KO)8敗1分。フランスやドイツでも試合をしているが、タイトル戦はこれが初めて。ワシントン州タコマでの一戦(バタービーンのセコンドに元IBF世界スーパーミドル級王者マレイ・サザーランド)。髪が薄く、老けて見えるリンデッカー。アップライトな姿勢でジャブ、ストレート、フック。手数を出すが、攻めるときのディフェンスに甘さ(バタービーンの相手はこういうタイプが多いような気がする)。バタービーンは左右フックで攻めたり、応戦したり。右フック連打でダウンを奪う。その後、リンデッカーは「攻撃&クリンチ」作戦。しかし、3R。クリンチするリンデッカーだが、ボディにフック連打されてダウン。4R、右フックが「ドカン」とカウンターで入ってリンデッカーがダウン、KO。バタービーンが圧勝。勝っても自慢にならないような相手だったが、「4回戦世界王者」の役割は果たした。リンデッカーはこれが最後の試合に。)
ケビン・タロン戦、ラッセル・チャスティーン戦、ロドニー・フィリップス戦、リック・ズフォール戦
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