2024年6月12日水曜日

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

ヘビー級。連戦連勝だった頃の試合。ケルビン・ヘイデン戦、ナサニエル・フィッチ戦、アート・ベイリス戦、マイク・ディクソン戦、テリー・マッグルーム戦を紹介します。

カーク・ジョンソン(カナダ)

身長188cm:オーソドックス(右構え)


カーク・ジョンソン 1R KO ケルビン・ヘイデン

(ヘビー級6回戦、1993年)

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ボディ、左フックで2度、ヘイデンがダウン

(感想:カナダ出身の黒人ジョンソンは左のガードを下げてジャブを打つタイプ(ラリー・ホームズに似ている。体型も)。アマチュアで優秀な成績。1992年バルセロナ・オリンピックに出場(メダルは獲得ならず)。プロ転向。アメリカを主戦場に5連勝(4KO)。ヘイデンはニューヨークの黒人。記録からはさしたる実績が見当たらない。コネチカット州マシャンタケットでの一戦(リングアナはマイケル・バッファ)。素晴らしい動きを見せるジョンソン。速いジャブ連打、シャープなコンビネーション(ワンツーからの左フック、左右フックボディ打ち)。ヘイデンは右ストレート、左フックを思い切り打っていくが、ワンツーからの左ボディでダウン。立ったが、再びワンツーからの左フックでダウン、KO。ジョンソンがコンビネーションで勝利。相手は二線級だったが、打ち方が実に良かった。ヘイデンはヘビー級らしい豪快な男。しかし、大胆な打ち方な分、ディフェンスに隙があったようだ。) 


カーク・ジョンソン 8R 判定 ナサニエル・フィッチ

(ヘビー級戦、1995年)

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:これまで14連勝(11KO)のジョンソン。フィッチはルイジアナ州出身の黒人で、アマチュアの大会で優勝経験がある。しかし、プロでは苦戦。10勝(6KO)10敗。ジェレミー・ウィリアムス、ブルース・セルドン、ティム・ウィザスプーンらに敗北。このところ連敗中。ルイジアナ州ボージャー・シティでの一戦。足でリズムを取るジョンソン。踏み込んで速いジャブをボディへ。素早い動きで力強い右ストレート、左フック。フィッチは重いパンチを打つタイプ。ガードを上げてジャブ、右ストレート、左フック。ただ、動きも重く、スタミナが続かない。そのため攻められてブロックで対応(マーロン・スターリングのような「覗き見スタイル」のブロック)。5R、互いに右ストレートからの左フックコンビネーション。7R、フィッチが左フックからの右ストレート。その後、手数でジョンソン。判定は大差の3-0。ジョンソンが先手を取る試合運びで勝利。しかし、ダウンは奪えず。やや軽いボクシングだった。フィッチは残念。良いパンチを持っていたが、全体的に重かった。7Rに見せたような攻撃を1Rから最後までできればもっと良い結果を残せたはず。その後、フィッチは後の世界王者クリス・バード、ジョン・ルイスらを相手に負けが増えていった。)


カーク・ジョンソン 1R TKO アート・ベイリス

(ヘビー級戦、1996年)

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:連打でベイリスがダウン

(感想:連勝中のジョンソン。ベイリスはペンシルベニア州フィラデルフィア出身の黒人。1983年デビューのベテランだが、途中ブランクがある(記録が欠けているだけかも)。北米ライトヘビー級王座決定戦、チャールズ・ウィリアムス戦にTKO負けするなど勝ったり負けたり。このところ連敗中。カナダ・トロントでの一戦。コンディションが良いジョンソン。ワンツー、左フック、左ボディ打ちをスムーズに打ち込む。ワンツーが効いたベイリス。連打でダウン。立ったが、左目付近からの出血もあってレフェリーストップ。ジョンソンが楽勝。ベイリスはジャブぐらいしか出せなかった。その後もベイリスはリングへ。勝ったり負けたりだった。)


カーク・ジョンソン 1R TKO マイク・ディクソン

(ヘビー級戦、1996年)

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ベイリス戦の次の試合。ディクソン(28歳)はオハイオ州クリーブランド出身の黒人。デビューから戦績はまずまずだったが、上位陣に苦戦。コーリー・サンダース、ブルース・セルドン、レノックス・ルイスらに連敗。アレックス・ガルシアを番狂わせでKOしてWBC米大陸王座とWBAの地域王座を同時にゲット。しかし、その後はバスター・マシス・ジュニア、ラリー・ドナルドら新鋭に敗北。このところ二連続KO負け。カナダ・エドモントンでの一戦。スキンヘッドのディクソン。「顔の迫力」は勝利。ジョンソンが速いワンツー。ディクソンはジャブを出すが、ベタ足で動きに乏しい。右を食うディクソン。連打されたところでレフェリーストップ。ジョンソンがワンツーで勝利。ディクソンはただボカボカ打たれただけでまるで無気力に見えた。一体何がしたかったのか? その後もディクソンはリングに上がり続けたが、中堅どころを相手に勝ち星無し。タフそうな身体をしていたが、ディクソン戦の時点でかなりダメージがあったのかもしれない。)


カーク・ジョンソン 8R TKO テリー・マッグルーム

(ヘビー級戦、1996年)

「カナダのヘビー級」カーク・ジョンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでマッグルームがダウン

8R:左フックでマッグルームがダウン

(感想:デビューから20連勝(14KO)のジョンソン。WBC15位にランク。マッグルームはイリノイ州シカゴ出身の黒人。アマチュアでは大会で優勝するなどの活躍。プロでは13勝(8KO)2分。ダロル・ウィルソン、アンソニー・ヘンブリックと引き分け。クルーザー級でWBC18位にランクインしている。アトランチックシティでの一戦(レフェリーはトニー・ペレス)。1R、ジョンソンがジャブ、ワンツー、左フックからの右ストレート。マッグルームは器用にディフェンスするが左フックが効いて右ストレートでダウン。その後、互いにジャブ。パワーでジョンソン優勢。マッグルームは右を当てる巧さがあるが、ヘビー級相手にパワー不足を露呈。8R、右アッパーからの左フックでマッグルームがダウン。目を痛め、レフェリーストップ。ジョンソンが体格差で勝利。勝っても自慢にならない試合だったような気もするが、最後のコンビネーション(右アッパーからの左フック)は見事なものだった。マッグルームはボクサータイプで、仮に体重を付けたとしてもヘビー級で通用するような戦い方ではなかった。その後の二人。マッグルームは連勝してNABO王座(クルーザー級)獲得。ジェームス・トニーに2-0で敗北。ワシリー・ジロフのIBF世界クルーザー級王座に挑戦して何と1RでKO負け。その後もリングに上がり続けたが、一度も勝てず。引退後の2016年に骨癌で死去(50歳)。ジョンソンは無敗のままWBA王者ジョン・ルイスに挑戦したが、ローブローで反則負けしてタイトル獲得ならず。ルー・サバリースをTKOで下してWBOインターコンチネンタル・ヘビー級王座獲得。その次の試合(WBC王座挑戦者決定戦)でビタリ・クリチコに2RでTKO負け。結局、世界戦はルイス戦のみに終わり、王者にはなれず。確かに強かったが、パワーがラリー・ホームズほどではなかったのが惜しまれる。)

 

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