2024年5月9日木曜日

「南アフリカの黒人軽量級」ムブレロ・ボティーレ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界バンタム級、フェザー級王者。スピーディな動き。世界戦のサム・スチュワート戦、アリステッド・クレイトン戦、フランキー・トレド戦を紹介します。

ムブレロ・ボティーレ(南アフリカ共和国)

身長165cm:オーソドックス(右構え)

ムブレロ・ボティーレ 12R 判定 サム・スチュワート

(IBF世界バンタム級タイトル戦、1995年)

「南アフリカの黒人軽量級」ムブレロ・ボティーレ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ボティーレがタイトル初防衛。南アフリカの黒人ボティーレ。派手さは無いが、相手の隙を突く正確なパンチが武器。デビュー以来、地元を中心に試合。デリク・ホワイトボーイ(名前は「ホワイトボーイ」であるが、黒人選手)を破って南アフリカ・バンタム級王座を獲得するなど全勝のまま地元(南アフリカ・ヨハネスブルグ)で世界初挑戦。コロンビアの強打者ハロルド・メストレを何と2RでKOして王座奪取(メストレは豪快な試合をする選手で決して弱くはない)。スチュワートと初防衛戦。IBF8位の挑戦者スチュワート(26歳。ボティーレは23)はリベリア・モンロビア出身の黒人。アメリカ在住で、主戦場もアメリカ。王座戦はこれが初めてであるが、イサイアス・サムディオに2-1の判定負け、ジェイコブ・マトララと引き分けるなどこのところ実力者といい勝負をしている。南アフリカ・ハマンスクラールでの一戦(レフェリーはスタンリー・クリストドーロー)。似たような戦い方の二人。ジャブ、ストレート、フック。1R早々、右ストレートを食ったスチュワートだが、その後は機敏な動きでディフェンスしながらジャブ連打、振りが大きめのフック、コンビネーション(右アッパーからの左フック)などで攻撃。共にスピーディ。ボティーレは正確さ、スチュワートは連打の回転で勝負。互いにディフェンスし合い、決定打が無いまま12R終了。判定は大差の3-0。映像で見た感じではいい勝負だったように思えたが、大きなポイント差が付いた。「10ポイント・マストシステム」で「必ずどちらかに差を付ける採点」による結果であろう。その後、スチュワートは多くの試合。しかし、ジョニー・タピア戦(WBO世界J・バンタム級王座戦)、アーサー・ジョンソン戦(北米フライ級王座戦)といった重要な試合に敗北。NABO王座(フライ級)を獲得できたが、世界王座には手が届かなかった。)


ムブレロ・ボティーレ 12R 判定 アリステッド・クレイトン

(IBF世界バンタム級タイトル戦、1996年)

「南アフリカの黒人軽量級」ムブレロ・ボティーレ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ボティーレがタイトル防衛。これまで20戦全勝(13KO)のボティーレが五度目の防衛戦。挑戦者クレイトン(26歳)はルイジアナ州の黒人。アマチュアの大会で優勝の実績。プロでは17戦全勝(11KO)。WBUのインター王座(J・フェザー級)を獲得している。ルイジアナ州バトン・ルージュでの一戦(リングアナはエド・デリアン、TV解説者はショーン・オグラディ)。スリムな体型でボクサータイプのクレイトン。相手と距離を取ってジャブ。ボティーレはいつものようにジャブで前進し、正確に右ストレート、左フックを当てようとする。接近戦では互いにストレート、フック、ボディ打ち。右ストレートをヒットさせるなどボティーレが攻める姿勢、ディフェンスで優勢。残念なことにクレイトンはホールド、クリンチが多い。ボティーレはホールドを振り解こうとホールド中に荒っぽく攻撃してレフェリーから警告。パワー不足のクレイトンは攻められてホールドを繰り返す。12R終了。判定は3-0。ボティーレが攻勢点で勝利。注目の全勝対決だったが、盛り上がらなかった試合。クレイトンは家族が会場で観戦していたが、ホールド連発。プロボクシングは「ファンの応援、好奇心」で成り立っている世界。つまらない試合をした選手に二度目の世界挑戦のチャンスがあるのか? その後、クレイトンは北米王座(J・フェザー級)を獲得して防衛するなど連勝だったが、ウィリー・ホーリン(後、WBC世界J・フェザー級王座獲得)に敗れて王座陥落。二度目の世界挑戦は無かった。)


その後のボティーレ

クレイトン戦の次の試合でティム・オースティンにTKO負け、王座陥落。カムバック後、連勝。2000年、ポール・イングルをTKOで下してIBF世界フェザー級王座獲得、二階級制覇。フランキー・トレドと初防衛戦。


フランキー・トレド 12R 判定 ムブレロ・ボティーレ

(IBF世界フェザー級タイトル戦、2001年)

「南アフリカの黒人軽量級」ムブレロ・ボティーレ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:トレドがタイトル獲得。王者ボティーレの初防衛戦。挑戦者トレド(30歳)はニュージャージー州ニューアーク出身のサウスポー。これまで39勝(15KO)5敗1分(「15KO」というのが気になる)。クラレンス・アダムスに勝利、マルコ・アントニオ・バレラにTKO負け(WBO世界J・フェザー級王座戦)。WBU王座(J・フェザー級)を獲得したが、初防衛に失敗。オルランド・カニザレスに勝利、マヌエル・メディナに敗北。6回戦で二連勝して、このボティーレへの挑戦。ラスベガスでの一戦(会場ではWBA世界J・フェザー級王者アダムスが観戦)。階級を上げても戦い方は変わらないボティーレ。ジャブで前進、右ストレート、フック。しかしながら、トレドは「打ち合わないボクシング」。ワンツー、左ストレートからの右フックなどで連打しては距離を取る。パンチ自体は良いものがあるが、エキサイティングではない試合ぶり。5R、ボティーレが連打、右アッパー。トレドは左ストレートで打ち返す。その後も互いにディフェンスし、攻めるボティーレ、いわゆる「ヒット&ラン」のトレド。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピールするが、特にトレドは勝利を確信している様子。判定は3-0。ボティーレ初防衛ならず。打たれて追い込まれたり、ピンチになったりしたわけではなかったが、相手のアウトボクシングを攻略できず。元々「当てる巧さ」で勝ってきただけに「タフでディフェンシブな相手」を粉砕するのは難しかった。トレドは勝ったが、正直なところ面白くないボクシング。初防衛戦でマヌエル・メディナに敗北してアッサリ王座陥落。その後のボティーレ。二試合行ったが、敗北。トレド戦と合わせて三連敗で引退。フェザー級ではそれほど活躍できなかったが、バンタム級時代に本領発揮。正確に当てようとするキレイなボクシング。南アフリカはウェルカム・ニシタ、ブヤニ・ブング、レーロホノロ・レドワバなど軽量級が充実している。) 

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