2024年5月10日金曜日

「パワフルなJ・ライト級」ガブリエル・ルエラス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界J・ライト級王者。ノンタイトル戦&世界王座防衛戦。マイク・グロウ戦、フレッド・リベラトーレ戦、ジミー・ガルシア戦ほかを紹介します。

ガブリエル・ルエラス(アメリカ)

身長170cm:オーソドックス(右構え)

ガブリエル・ルエラス 8R TKO マイク・グロウ

(J・ウェルター級戦、1993年)

「パワフルなJ・ライト級」ガブリエル・ルエラス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:右ストレートでグロウがダウン

(感想:メキシコ生まれのルエラス(その後、アメリカに移住)。弟ラファエルもボクサー(兄弟で世界王者になった)。構え方は似ているが弟とは違い、パワーを込めて強振するタイプ。デビューから連勝。TKOで初黒星。その後、北米J・ライト級王座を獲得、防衛するなど連勝。WBC1位としてアズマー・ネルソンのWBC世界J・ライト級王座に挑戦したが、惜しくも判定負け。これまで34勝(17KO)2敗。グロウ戦は再起二戦目となる。グロウ(31歳。ルエラスは23)はアイダホ州の選手。1982年デビューのベテラン。24勝(10KO)5敗1分。WBC米大陸王座戦(J・ライト級)でTKO負け(1988年)、ローカル王座(ライト級)獲得(90年)。直前の試合ではジョーイ・ガマチェに判定負けしている。アイダホ州ボイシでの一戦。ガードを上げて伸びるジャブを打つルエラス。1Rから左フックをヒットさせ、左ボディ打ち、右アッパー、振りの大きいフックに迫力。グロウは接近して左右フックでボディ連打。接近戦。両者フック、ボディ打ち。ルエラスは力強いが一発でKOするような強打者ではない。グロウは粘り強いタイプで、ディフェンスしながらボディ連打。4R、ルエラスの左ボディ打ちがローブローとなって減点。7Rは逆にグロウの左ボディ打ちがローブローとなって減点。8R、右ストレートでグロウがダウン。立ったグロウにルエラスが連打するが、グロウを押し倒す形となってしばし試合中断(レフェリーの措置がわかりにくかった。「ストップ」と思ったグロウのセコンドがリングイン)。再開後、グロウが連打されてレフェリーストップ。ルエラスが伸びるストレート、大きなフック、インサイドからの右アッパーで勝利。手数も多く、精力的な試合ぶり。リングサイドで観戦したファンは満足しただろう。グロウはよく頑張ったが、相手の勢いに屈した。これがラストファイトに。)


ガブリエル・ルエラス 3R TKO フレッド・リベラトーレ

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1995年)

「パワフルなJ・ライト級」ガブリエル・ルエラス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでリベラトーレがダウン

(感想:ルエラスがタイトル初防衛。グロウ戦後、連勝してジェシー・ジェームス・レイハからWBC世界J・ライト級王座を奪取したルエラス。初防衛戦。WBC6位の挑戦者リベラトーレ(27歳)はニューヨークの選手で、ニックネームは「The Pitbull」。アマチュアで活躍。プロではこれまで20勝(11KO)3敗1分。ローカル王座(J・ライト級)獲得。リカルド・セペダ(世界王座に二度挑戦)、ハロルド・ウォーレン(世界挑戦経験者)、カルビン・グローブ(元IBF世界フェザー級王者)に勝利。このところ連勝中。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(レフェリーはミッチ・ハルパーン)。まるで少年のような顔立ちのリベラトーレ。1Rから左フックを食ってピンチ。そして、左フックで早くもダウン。ガードを固めてジャブ、ワンツー、左フック、ボディ連打で反撃するリベラトーレだが、ルエラスが豪快なストレート、フック、アッパーなど勢いで優勢。2R終了後、リベラトーレが棄権。右目を負傷したらしい。ルエラスがビッグパンチ連発で勝利。パワーで相手を圧倒した。リベラトーレは悪い選手ではないが、ルエラスに挑戦するには小粒な選手だった印象。これがラストファイトに。)


ガブリエル・ルエラス 11R TKO ジミー・ガルシア

(WBC世界J・ライト級タイトル戦、1995年)

「パワフルなJ・ライト級」ガブリエル・ルエラス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ルエラスがタイトル防衛。二度目の防衛戦。WBC7位の挑戦者ガルシア(23歳)はコロンビア人。地元を中心に試合。これまで35勝(25KO)4敗。コロンビア王座(J・ライト級)獲得、防衛。ヘナロ・エルナンデスのWBA世界J・ライト級王座に挑戦して判定負け。その再起戦でルエラスのWBC王座に挑戦。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦(レフェリーはミッチ・ハルパーン)。後ろ髪を少し伸ばしてパーマを掛けているガルシア(マイケル・オラジデ風)。ゴング。好戦的なルエラス。ガードを固めてジャブ、ストレートで前進。接近して振りが大きめのフックでボディ打ち。ガルシアはジャブで応戦するが残念なことに動きのスピード、パンチのキレに欠け、1Rから左フックを食う。その後も右アッパーからの左フックが迫力のルエラス。右ストレートからの左ジャブといったテクニックも使う。ガルシアは右ストレートからの左フック。打ち方は良いが、パワー不足の印象。6R、ルエラスの左フック、10Rには右ストレートからの左フックでガルシアがピンチ。11R、ガルシアが右フックで攻められたところでレフェリーストップ。試合後、ガルシアは意識を失った。ルエラスがリベラトーレ戦と同様、力強い攻めで勝利。いつも全力で戦うルエラスは実にエキサイティングな男だ。ガルシアはコンディションが良くなかったのではないか? 全体的にキレが無かった。試合後、ダメージで死去。ハルパーンのレフェリーストップのタイミングに特に問題は無かったように見えた。やはりコンディションが良くなかったのだろう。) 

 

その後のルエラス 

三度目の防衛戦で元王者アズマー・ネルソンにKOされて王座陥落。アルツロ・ガッティのIBF世界J・ライト級王座に挑戦してTKO負け(結果的にこれが最後の世界戦に)。そして勝ったり負けたりの不安定な状態に。


マヌエル・ガルニカ 10R 判定 ガブリエル・ルエラス

(J・ウェルター級戦、1999年)

「パワフルなJ・ライト級」ガブリエル・ルエラス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:直前の試合で判定勝ちしているルエラス(29歳。46勝(24KO)5敗)。この試合ではどんな動きを見せるか? ガルニカ(24歳。18勝(11KO)3敗)はメキシカン。ローカル王座を獲得、防衛している。ジョージア州ルーラでの一戦(会場ではルエラスの弟ラファエルが観戦)。構え方、ジャブから入るところ、大きなフックは以前と変わらないルエラス。しかし、世界王者時代の激しさが見られない。ただし、得意のフックにはキレとパワー。ガルニカは距離を取って戦う作戦。ブロックを固めてジャブ、ワンツー。接近して連打、左ボディ打ち。打ち終わった後、また距離を取る。相手を詰められないルエラス。ガルニカはワンツーからの左フックなどにキレがあるが、有効打は少ない印象。10R終了。判定は2-0。ガルニカがアウトボクシングで勝利。ルエラスは酷く打たれたわけではなく、逃げられて敗北。相手を追い掛ける激しさに欠けていた。戦うモチベーションに乏しかったのでは?   その後の二人。ガルニカは次の試合でジョンジョン・モリナに判定負け。WBA・WBC地域王座(スーパーライト級)獲得。ティモシー・ブラッドリー、ディオベリス・ウルタドに判定負け。中堅どころでキャリア終了。ルエラスはブランク後、中堅選手を相手に数試合、引退。兄弟で世界王者になり勢いがあったが、ジミー・ガルシア戦以降は戦績が悪化。対戦相手を死亡させたボクサーは心理に大きな影響を受け、それまでのように戦えなくなるという。ファイターも「人の子」である以上、それが当然か。) 

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