2024年5月2日木曜日

「タイの筋肉マン」サマン・ソーチャトロン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC・IBF世界J・フライ級王者。WBC王座防衛戦。アントニオ・ペレス戦、ガンボア小泉戦、アレクシス・ガルベス戦、ウィンデル・ハニオラ戦を紹介します。

サマン・ソーチャトロン(タイ)

身長158cm:オーソドックス(右構え)

サマン・ソーチャトロン 4R TKO アントニオ・ペレス

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1996年)

「タイの筋肉マン」サマン・ソーチャトロン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右カウンターでペレスがダウン

4R:右フックでペレスがダウン

(感想:サマンがタイトル防衛。農家生まれのサマン。少年時代は両親と離れ、祖父と僧院で暮らした。仏教を学びにバンコクへ。(そこで何があったのかは知らないが)21歳でボクサーに。背は低いが、ガッチリした身体でデビュー以来、連勝。タイ王座(ストロー級)を獲得してリカルド・ロペスのWBC世界ストロー級タイトルに挑戦したが、鋭い右ストレート、アッパーを食って完敗(1993年)。その後、連勝し、二度目の世界挑戦(95年)。「小さな巨人」ウンベルト・ゴンザレス(メキシコ)を強烈にKOしてWBC・IBF世界J・フライ級王座奪取(勝ったが、右目がふさがるダメージを負った)。細野雄一をKOして統一王座の初防衛に成功。IBF王座返上。ペレスとWBC王座の二度目の防衛戦。WBC7位の挑戦者ペレスはメキシカン。ニックネームは「Pipino」(ホセ・クエバスと同じ)。メキシコ王座(J・フライ級)を獲得、防衛したが、KO負けで王座陥落。ピチット・シスパンプラチャンのIBF世界フライ級王座に挑戦したが、TKO負け。メキシコ王座戦(フライ級)もTKO負け。その後、ジョマ・ガンボア(後のWBA世界ミニマム級王者)をKOするなど三連勝で、この2度目の世界挑戦。タイでの一戦。1R、ダッキングしながら前進するサマン。速いジャブ、パワーを込めた右ストレート、フック。ペレスはガードを上げ、ジャブ、ワンツー、左フック。パンチのキレ、ショートパンチで勝負。ワンツーで攻めたペレスが右カウンターでダウン。その後もパワーを込めるサマン。パンチの振りが大きく隙もあるが勢いがあり、ペレスの攻撃をブロック。4R、右フックを食ってサマンがピンチ。打ち合い。右フックでペレスがダウン。立ったが、サマンが連打からの右フックをヒットさせたところでレフェリーストップ。サマンが強打とタフネスで勝利。特に1Rの右カウンターが見事だった印象。これが最後の試合となったペレス。悪い選手ではないが、タフなサマンを倒すにはパワーが足りなかったか。ただ、4Rに右フックでサマンをグラつかせたようにプロのパンチとテクニックを持っていた。)


サマン・ソーチャトロン 7R TKO ガンボア小泉

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1996年)

「タイの筋肉マン」サマン・ソーチャトロン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:右フックで2度、ガンボアがダウン

(感想:サマンがタイトル防衛。3度目の防衛戦。WBC7位の挑戦者ガンボア(ジョマ・ガンボア)はフィリピン人。フィリピン王座(ストロー級)を獲得、連続防衛。ジョー小泉のマネージメントにより日本のリングにも上がり、KO勝利(「ガンボア小泉」のリングネームを使用)。アントニオ・ペレスにTKO負け。その再起戦でサマンに挑戦。コンディションの方はどうか? タイでの一戦(ガンボアのセコンドにジョー小泉)。小柄な二人。しかし、その分、共にきびきびした動きでパンチにスピード。ガンボアは速さで勝負。ワンツーからの左フックにキレがある。サマンはいつものように右ストレート、フックにパワー。5R、右ストレートでガンボアのマウスピースが落下。6R、左フックを食ってサマンがピンチ。しかしながら、このサマンという男。ピンチになると逆にパワーが湧いてくるらしく、右フックでガンボアを二度ダウンさせる。7R開始早々、サマンがラッシュ。ガンボアが連打されたところでレフェリーストップ。サマンがパワーで勝利。ガンボアはパンチが速かったが、相手の圧力に屈した。その後のガンボア。チャンスをもらったが、世界戦に敗北。そしてWBA世界ミニマム級暫定王座獲得後、正規王者に。短期間であったが、世界王者になれた。)


サマン・ソーチャトロン 2R TKO アレクシス・ガルベス

(WBC世界J・フライ級タイトル戦、1996年)

「タイの筋肉マン」サマン・ソーチャトロン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フックでガルベスがダウン

(感想:サマンがタイトル防衛。八尋史朗をTKOで下して4度目の防衛に成功したサマン。5度目の相手はチリのガルベス。WBC6位でこれまで36勝(6KO)9敗(「6KO」というのが気になる)。デビューから連勝でWBAの地域王座、チリ王座(いずれもJ・フライ級)獲得。ホセ・デ・ヘススのWBO世界J・フライ級王座に挑戦してTKO負け、初黒星。イシドロ・ペレスのWBO世界フライ級王座に挑戦して判定負け。南米王座(J・フライ級)獲得。再びイシドロ・ペレスに判定負け。このところチリ王座戦には勝利しているが、南米王座戦で敗北するなど勝ったり負けたり。サマン戦は四度目の世界挑戦となる。タイでの一戦(レフェリーは名高いカルロス・パディーリャ)。距離を取りながらジャブ、ワンツー、ショートフックのガルベス。左フックをダブルで打ち込むなど器用さがあり、細かいテクニックで勝負。しかしながら、サマンがパワフルなストレート、フックで押し気味。2R、左フックがガルベスのアゴを打ち抜き痛烈なダウン。ダメージ深く、直ちにレフェリーストップ。サマンが圧勝。パワーに自信を持っている選手は強い。ガルベスはパワー不足。接近戦は避けるべきだった。次の試合もKO負けで引退。)


その後のサマン

マヌエル・エレラ、フリオ・コロネル、ムズキシ・マラリ、八尋史朗、ラディスラオ・バスケスを相手に10度の防衛。11度目の防衛戦を韓国・ソウルで行い、崔尭三に判定負け、王座陥落。崔との再戦はKO負けで王座奪回ならず、それが最後の世界戦に。再起戦を日本で行い、TKO勝ち。


ウィンデル・ハニオラ 10R 判定 サマン・ソーチャトロン

(J・フライ級戦、2002年)

「タイの筋肉マン」サマン・ソーチャトロン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:元世界王者サマンのプロ52戦目。ハニオラはフィリピン人。ニックネームは「Braveheart」(勇敢な試合をするのだろう)。これまで全勝。直前の試合でフィリピン王座(J・フライ級)を獲得している。カンボジア・ポイペトでの一戦(カンボジアでの試合は珍しい)。似た体格の二人。パワフルなジャブ、ストレート、左フック。打ち方も似ている。接近戦。共にパンチに勢いがあり、一進一退。ハニオラは時折アッパー気味の右フックを使うなど当てるテクニックもある。終盤はややハニオラが押して10R終了。判定は3-0(98-92)。映像では互角に見えたが、大差が付いた。驚くべきはサマン。世界王座を失って久しいが、強さは健在だった。その後の二人。ハニオラはIBO王座戦、東洋太平洋王座戦(いずれもJ・フライ級)に敗北。フィリピンの実力者にとどまった。サマンは三連敗で引退(プロ最後の相手は亀田興毅。1RでKOされた)。引退後はレストランをオープン。今でも経営しているのだろうか?) 

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