2024年5月1日水曜日

「ジャマイカの強打者」サイモン・ブラウン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」 

世界二階級制覇王者。IBF世界ウェルター級王座、WBC世界J・ミドル級王座防衛戦。アル・ロング戦、タイロン・トライス戦(再戦)、トロイ・ウォータース戦を紹介します。

サイモン・ブラウン(ジャマイカ)

身長177cm:オーソドックス(右構え)

サイモン・ブラウン 7R KO アル・ロング

(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1989年)

「ジャマイカの強打者」サイモン・ブラウン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

7R:左ボディ連打でロングがダウン

(感想:ブラウンがタイトル防衛。これまで28勝(21KO)1敗のブラウンが四度目の防衛戦(プロ30戦目)。挑戦者ロングはカリフォルニア州サンフランシスコ出身の黒人。ニックネームは「Bumblebee(ミツバチの一種)」。22勝(12KO)6敗3分。ショーン・オサリバン、マニング・ギャロウェイに連敗したり、カリフォルニア州王座戦(ウェルター級)に敗れたりといった挫折があったが、カリフォルニア州王座(ウェルター級、J・ミドル級)獲得。世界を目指すアレックス・ラモスに勝利して、王座防衛に成功している。ワシントンでの一戦(レフェリーはトニー・オーランド)。ジャマイカをデザインしたガウンのブラウン(ロングは黒のガウン)。共にジャブが速い。ロングはスピードで勝負。ワンツー、右ストレートからの左フック、思い切りのいいフック。ブラウンはパワーのあるジャブで相手を追う。次第にパワーでブラウンが優勢に。連打して距離を取ったり、チョッピング気味の右フックを打ったりするロングだが、ブラウンの強いジャブに追い込まれていく。7R、左ボディ連打でロングがダウン。うつぶせに倒れたロング。立とうとするが立てず、KO。ブラウンがパワーで快勝。ロングはスピードでは負けていなかったが、全体的なパワーで王者に及ばず。これがロングの事実上のラストファイト。カムバックしたが、レジー・ジョンソン(後の世界二階級王者)にTKO負けだった。)


サイモン・ブラウン 10R TKO タイロン・トライス

(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1990年)

「ジャマイカの強打者」サイモン・ブラウン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:左フックでトライスがダウン

(感想:ブラウンがタイトル防衛。アル・ロング戦後、ボビー・ジョー・ヤング(アーロン・プライアーを破った唯一の男)、ルイス・サンタナ(後のWBC世界J・ミドル級王者)相手に二度の防衛に成功したブラウン(25歳)。七度目の防衛戦は再戦。挑戦者トライス(26歳)はウィスコンシン州ミルウォーキー出身の黒人。ニックネームは「The Butterfly」(蝶のように舞うのだろうか?)。デビューから連勝だったが、フレディ・ペンドルトン(後、IBF世界ライト級王座獲得)にTKO負け、初黒星。その後、スティーブ・リトル(後、WBA世界スーパーミドル級王座獲得)に勝利するなど連勝。ブラウンと空位のIBF世界ウェルター級王座を争ってTKO負け。その後、また連勝。直前の試合ではケビン・ポンペイに勝利してWBAアメリカス王座(ウェルター級)獲得。ブラウンとの再戦に勝利して雪辱を果たしたいところ。ワシントンでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー。会場では両選手の家族が観戦)。共に黒のトランクス。ボクサータイプのトライス。距離を取りながらジャブ、ワンツー、左フック。ブラウンは執拗に接近してストレート、フック、右アッパー。2R、ブラウンの強い左フック、左ジャブでトライスが後退。接近戦での打ち合いが続く。右ストレートに良さがあるトライスだが、パワーでブラウン。強烈なボディ打ち、フック、アッパーにさらされてトライスはクリンチ。8R、左フックでトライスがダウン。その後もブラウンはサウスポーにスイッチしたりしながら強打を叩きつける。10R、トライスがロープ際で猛烈なフック連打を浴びたところでレフェリーストップ。ストップに不満のトライス。怒りを表し、ブラウンのセコンドと少しトラブルに。ブラウンがパワーで勝利。トライスはボクサータイプながら打撃戦に応じた。ボクサーはやはり気が強い人たちなのだろうか? 「打たれたら打ち返す」といった感じでトライスは危険なブラウンと打ち合った。それは明らかに間違った選択だった。その後、トライスはジョン・デビッド・ジャクソンの持つWBO世界J・ミドル級王座に挑戦して判定負け。以後は負けが込み、世界王者にはなれなかった。)


その後のブラウン

WBC王者モーリス・ブロッカーとの親友対決に勝利して統一王者に。IBF王座を返上してWBC王座を選択。しかし、「スピード&テクニック」のジェームス・マクガートに判定負けで王座陥落。テリー・ノリスをKOしてWBC世界J・ミドル級王座獲得、二階級制覇。


サイモン・ブラウン 12R 判定 トロイ・ウォータース

(WBC世界J・ミドル級タイトル戦、1994年)

「ジャマイカの強打者」サイモン・ブラウン②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ブラウンがタイトル初防衛。30歳になったブラウン。これまで40勝(30KO)2敗。WBC2位の挑戦者ウォータース(28歳)は英国ロンドン出身でオーストラリア国籍の白人(兄弟もボクサー)。27勝(19KO)4敗でWBC世界J・ミドル級1位。デビューから連勝だったが、韓国で白仁鉄(後、WBA世界スーパーミドル級王者に)に2-1の判定で初黒星(東洋太平洋J・ミドル級王座戦)。英連邦王座(J・ミドル級)を連続防衛後、ジャンフランコ・ロッシのIBF世界J・ミドル級王座に挑戦したが、判定負け。テリー・ノリスのWBC世界J・ミドル級王座に挑戦して敗北。その再起戦でロバート・ワンギラ(ソウル・オリンピックでウェルター級金メダル。プロでは大成せず、試合のダメージで死去)に勝利。そして、このブラウン戦。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはミッチ・ハルパーン。ブラウンのセコンドにチャック・ボダック(カットマン。頭にシールをいつも貼っている名物男))。正統派のウォータース。アップライトな姿勢からガードを固めてジャブ、ワンツー、左ボディ打ち。ブラウンは伸びるジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディ打ち。互いにディフェンス。ブラウンの強打をウォータースはブロックして打ち返す。互いに肩(または腕)をぶつける反則(レフェリーから警告)。タフなウォータースだが、手数でブラウンか? 終盤、サウスポーにスイッチしたりするブラウンだが、倒せず。12R終了。観客がスタンディング・オベーション。判定は2-0。パワーではブラウンで手数も多かったが、ウォータースにはタフネスとブロッキングのテクニックがあった。ただ、ウォータースは一気に畳み掛ける爆発力に欠けていた印象。その差がこの判定となったのではないだろうか? その後の二人。ウォータースは連勝したが、フェリックス・トリニダードに何と1RでKO負け。その再起戦に勝利して引退。ブラウンはテリー・ノリスとの再戦に判定負けで二度目の防衛ならず。その後もリングに上がり続けたが、意外なことに世界戦での勝利はウォータース戦が最後に(ビンセント・ペットウェイのIBF世界J・ミドル級王座に挑戦してKO負け、ロニー・ブラッドリーのWBO世界ミドル級王座に挑戦して判定負け、バーナード・ホプキンスのIBF世界ミドル級王座に挑戦してTKO負け)。素晴らしい強打者だったが、ミドル級では通用せず。全盛期はIBF世界ウェルター級王者時代だった。)

ホルヘ・バカ戦、マウロ・マルテリ戦、ホルヘ・マイソネット戦

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