2024年5月16日木曜日

「ガーナのバズーカ」アイク・クォーティ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界ウェルター級王者。重く速いジャブ。世界王座防衛戦&その後。アンドリュー・マレー戦、ラルフ・ジョーンズ戦、カルロス・ボホルケス戦を紹介します。

アイク・クォーティ(ガーナ)

身長172cm:オーソドックス(右構え)

アイク・クォーティ 4R TKO アンドリュー・マレー 

(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1995年)

「ガーナのバズーカ」アイク・クォーティ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右ストレートでマレーがダウン

(感想:クォーティがタイトル防衛。全勝の王者クォーティ。アルベルト・コルテス戦後、朴政吾を相手に二度目の防衛に成功。そして三度目の防衛戦(プロ30戦目)。挑戦者マレーはガイアナの黒人サウスポー。ニックネームは「The Eagle(ワシ)」。デビュー初期に敗北を喫したが、その後は順調。WBCの地域王座、英連邦王座、WBAの地域王座(全てウェルター級)獲得。残すターゲットは世界王座のみ、といった状況。フランスのル・カネでの一戦。「クロンクジム」の金色トランクス着用のマレー。力強いサウスポーで、右ジャブ、左ストレート、右フックボディ打ち。しかし、クォーティは単なる強打者ではない。ディフェンス&当てる巧さ。1R終了直前、見事なタイミングの右ストレートでマレーがダウン。その後もタイミングを捉える巧さでクォーティ。マレーはパンチ自体は良いがディフェンスされ、時折打たれる。4R、マレーが左マブタのキズのドクターチェック。試合終了。クォーティが負傷TKOで勝利。ボクシングはパワーとスピードだけではない。クォーティには隙を捉える天才的なセンスがある。マレーは残念。良い選手ではあるが、パワーなどで王者に及ばず。その後のマレー。英連邦王座戦、WBA地域王座戦に勝利したが、WBU王座戦(ウェルター級)、NABO王座戦、英連邦王座戦(いずれもスーパーウェルター級)に敗れ、三連敗。そして2002年、自動車事故で死去(30歳)。当時、故郷で若手の指導をしていたという。)


アイク・クォーティ 5R TKO ラルフ・ジョーンズ

(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1997年)

「ガーナのバズーカ」アイク・クォーティ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:ワンツー、左フックで2度、ジョーンズがダウン

(感想:クォーティがタイトル防衛。これまで33戦全勝(28KO)のクォーティ。実力者ビンス・フィリップス、オバ・カー相手に王座防衛。六度目の相手ジョーンズはロード・アイランド州プロビデンス出身の黒人でWBA12位。ニックネームは「Tiger」(昔のミドル級選手ラルフ・タイガー・ジョーンズをマネているのだと思われる)。これまで30勝(22KO)1敗。戦績は良いが、ローカルな試合が多い印象。タイトル戦はこれが初めて。ラスベガス「ヒルトン」での一戦(レフェリーはジョー・コルテス)。1R、忙しく上体を動かして前進するジョーンズ(ムダな動きが多い)。しかしながら、パワー、ディフェンス、攻撃センスでクォーティが上回る。ワンツーでジョーンズがダウン。立ったジョーンズに強烈なフック、左ボディ打ちのクォーティ。左フックでジョーンズが二度目のダウン。その後もクォーティがワンツーからの左ボディなどで優勢。ジョーンズはディフェンスするが、真っ直ぐ攻めるクセが。3R、ジョーンズが右アッパーをヒットさせ、右ボディからの右アッパーを使う。5R、右フックが効いたジョーンズ。連打を浴びてレフェリーストップ。ジョーンズはストップ後に崩れ落ちた。クォーティが快勝。総合力で上だった。ジョーンズはアッパーを入れる見せ場を作ったが、攻防のバランスに難が。これが最後の試合となった。)

 

その後のクォーティ

元WBO王者ホセ・ルイス・ロペス(メキシコ)と七度目の防衛戦を行ったが、引き分け。ここから苦難。WBAからロペスとの再戦命令。しかし、これを拒否してオスカー・デラ・ホーヤ戦を選択したため王座剥奪。さらにデラ・ホーヤへの挑戦(WBC世界ウェルター級王座戦)は判定負けに終わり、失敗(初黒星)。フェルナンド・バルガスのIBF世界J・ミドル級王座に挑戦したが、これも判定負け(2000年)。結局、これが最後の世界戦となり、世界戦での勝利はラルフ・ジョーンズ戦が最後となった。


アイク・クォーティ 10R TKO カルロス・ボホルケス

(ミドル級戦、2005年)

「ガーナのバズーカ」アイク・クォーティ②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:フェルナンド・バルガスに敗れたクォーティ。ブランク後、2005年にカムバック(TKO勝ち)。再起二戦目はバーノ・フィリップス(元世界J・ミドル級王者。後、世界王座返り咲き)に判定勝ちで36勝(30KO)2敗1分に。ボホルケス戦は再起三戦目。25勝(21KO)7敗6分のボホルケスはメキシカン。WBCの地域王座(J・ミドル級)獲得、ピークを過ぎたパーネル・ウィテカーに勝利、バーノ・フィリップスと空位のIBF世界J・ミドル級王座を争ってTKO負け、といった経験。どんな試合を見せるか? ラスベガス「Mandalay Bay Resort & Casino」での一戦(リングアナはマイケル・バッファ、レフェリーはジョー・コルテス。メインは「ジャーメイン・テイラー vs. バーナード・ホプキンス(統一世界ミドル級王座戦)」でテイラーが再戦を制して王座防衛)。ジャブが多いクォーティ。ボホルケスは勇敢な男で前進し、ワンツー、左ボディ打ち。パワーとジャブの正確さではクォーティだが、ボホルケスは手数を積極的に出していく。ただ、ボホルケスはパンチのキレがそこそこなのが惜しい。クォーティがロープを背負いながら強い左右フック。8R、互いにローブロー(やり返したボホルケス。なかなか気が強い)。10R、打ち合いの中、ボホルケスが左フックを食ったところでレフェリーストップ。クォーティが正確な強打で勝利。ただ、相手の手数に押されて打たれるシーンも。ボホルケスは根性は一流。しかし、動きのスピード、キレに欠けるところがあった。その後の二人。ボホルケスは三試合。最後は二連敗で引退。クォーティはバーノン・フォレスト、ロナルド・ライト相手に二連敗で引退。WBA王者として連続防衛していた頃がクォーティのベスト。その頃のパンチはまさに「バズーカ」だった。)

ホセ・ルーゴ戦、マリオ・モラレス戦、アルベルト・コルテス戦

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