WBC世界S・ミドル級王者。鍛えられた身体。王座戦。ジョバンニ・プレトリアス戦、ジョー・カルザゲ戦、ブライアン・マギー戦を紹介します。
ロビン・リード(イギリス)
身長175cm:オーソドックス(右構え)
①ロビン・リード 7R TKO ジョバンニ・プレトリアス
(WBC世界S・ミドル級タイトル戦、1997年)
(ダウンシーン)
1R:左ボディでプレトリアスがダウン
5R:右フックでプレトリアスがダウン
7R:右フックでプレトリアスがダウン
(感想:リードがタイトル初防衛。「Grim Reaper(死神)」と呼ばれたリードは白人と黒人のハーフ。アマチュアでは思うような結果を出せないことが多かったらしいが、バルセロナ・オリンピック(1992年)にライトミドル級で出場し、銅メダル。プロデビュー以来、無敗でイタリアのミラノでビンチェンツオ・ナルディエロからWBC王座奪取。そして初防衛戦。これまで22勝(17KO)1分。WBC6位(ミドル級)の挑戦者プレトリアスは南アフリカの白人。こちらもバルセロナ・オリンピック出場(ウェルター級。メダルは獲得ならず)。プロデビューから連勝。南アフリカ王座(ミドル級)獲得。無敗のまま、この初の世界挑戦。戦績もリードと似ており、22勝(19KO)1分。ロンドン・ミルウォールでの無敗対決(レフェリーはベテラン、ルー・フィリポ)。互いにジャブ。1Rから早くもリードが左右フックで優勢。攻めるときのガードに甘さがあるプレトリアス。ダウン寸前になるシーンを繰り返した後、左ボディでダウン。その後、接近戦での打ち合い。プレトリアスは気が強い男でジャブ、ストレート、フックで攻めるが、やはり打たれる(特に左フックをよく食っていた)。5R、(当たりは浅かったが)右フックでプレトリアスがダウン。6R、サウスポーにスイッチするリードだが、あまり意味無し。7R、攻めるプレトリアスが右フックをカウンターで食ってダウン。あまりの痛烈なダウンにレフェリーは直ちに試合を止めた。リードが快勝。フィニッシュの右フックはかなりの威力。これが「死神」と呼ばれる所以か? プレトリアスは残念。根性は立派だったが、ディフェンスに難があった。その後のプレトリアス。南アフリカ王座戦で勝利するなど連勝を重ねたが、同王座戦でTKO負けしてそれが最後の試合に。引退後の2021年、コロナウィルスにより死去(49歳)。)
その後のリード
ヘンリー・ウォートン、アッシン・シェリフィを相手に防衛に成功したが、スラニ・マリンガに判定負けで王座陥落(初黒星)。再起戦に勝利してジョー・カルザゲの世界王座に挑戦。このところ試合間隔が長いが、コンディションはどうか?
②ジョー・カルザゲ 12R 判定 ロビン・リード
(WBO世界S・ミドル級タイトル戦、1999年)
(感想:カルザゲがタイトル防衛。これまで26勝(19KO)1敗1分の元WBC王者リード。WBOを狙う(英国とWBOのつながりは強い)。王者カルザゲはロンドン出身のサウスポー。ニックネームは「The Pride of Wales(ウェールズの誇り)」「The Italian Dragon(イタリアの龍)」(イタリア人とイギリス人のハーフであることが由来)。決定戦で英国S・ミドル級王座を獲得。元王者クリス・ユーバンクとの決定戦に判定勝ちしてWBO王者に。25戦全勝(23KO)。リード戦は三度目の防衛戦。英国ニューカッスルでの一戦。共に精悍な顔立ち。典型的なサウスポーのカルザゲ。アップライトな構えから右ジャブ、ワンツー、左右フックボディ打ち。リードはガードを上げて接近するが、残念なことに1Rからクリンチ。互いにディフェンス。カルザゲはボディ打ち、中間距離でのジャブが効果的。しかし、パンチには伸びとパワーがあるが、KOを狙うような攻めではない。リードはパワーを込めたフックで攻めようとするがディフェンスされ、やや受け身に。相手のクリンチにイラつくリード(自身もクリンチが多いが)。カルザゲは冷静。クリンチが多い展開にレフェリーもイラつく。8R、クリンチ中のローブローによりリードがついに減点。9R、リード得意の右フックがヒット。12R、打ち合って終了。判定は2-1(三人とも「116-111」)。クリンチが非常に多く、レフェリーを疲れさせた試合。カルザゲがボディ打ちで勝利。冷静に相手の隙を突いた。リードは残念。空回り。自分もクリンチしておきながら相手のクリンチに腹を立てて敗北。激しい性格なのだろう。ただ、クリンチが無かったとしてもカルザゲのディフェンスを崩すのは難しかったと思われる。驚くべき事にその後カルザゲはWBA・WBC・IBFのS・ミドル級タイトルも獲得。バーナード・ホプキンス、ロイ・ジョーンズ・ジュニアにも勝利。一度も負けることなく全勝で引退。2003年、英国王室からMBE勲章。そのパーフェクトな戦績から「イギリスの史上最強選手の1人」と評価されている。)
③ロビン・リード 12R 判定 ブライアン・マギー
(IBO S・ミドル級タイトル戦、2004年)
(ダウンシーン)
4R:左フックでマギーがダウン
5R:左フックでマギーがダウン
8R:右フックで2度、マギーがダウン
(感想:リードがタイトル獲得。カルザゲに敗れたリード。再起戦にも判定負け(WBU S・ミドル級王座戦)。その次の試合でWBF王座(S・ミドル級)獲得。連続防衛後、スベン・オットケのWBA・IBF世界S・ミドル級王座に挑戦して判定負け。マギー戦はその再起戦となる。王者マギーは北アイルランド出身の白人サウスポー。1996年アトランタ・オリンピックにミドル級で出場(メダルは獲得ならず)。デビュー以来、連勝でIBO王者に。連続防衛中で、これまで全勝。北アイルランド・ベルファストでの一戦。左ストレートを当てようと狙うマギー。リードはジャブ。しかしながら、マギー。真っ直ぐ雑に前進してはクリンチ、バッティング。1Rにホールドしてボディ打ち(ダーティな反則)。リードはジャブを使いながらボディ打ち。4R、リードはバッティングされて、まさに「頭に来た」といった感じに。左フックでマギーからダウンを奪う。5R、バッティングでリードが激しく出血。再開後さらにバッティングされ、怒りの左フック。マギー、ダウン。その後もクリンチ、バッティングのマギー。リードはバッティングを気にしながらボディ打ち。8R、右フックでマギーが二度ダウン。その後も同じような展開で12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。判定は小差の3-0。この試合もクリンチが非常に多く、レフェリーが忙しかった試合。リードがボディ打ちで勝利。マギーは反則&打たれ弱さ。これまで全勝の割りには不器用な攻め方で、つまらない負け方(しかも、相手にしがみつくようなみっともないクリンチ)。その後の二人。マギーは欧州王座、WBA暫定王座(S・ミドル級)獲得。リードはジェフ・レイシーのIBF世界S・ミドル級王座に挑戦したが、TKO負け。その後もリングに上がり続けたが、レイシー戦が最後の世界戦に。「死神」と呼ばれたリード。普通そういうニックネームは「相手を死なせてしまうかもしれないほどパンチが強い選手」に付けられると思うが、リードはテクニシャンタイプでそこまでの強打者ではなかった印象。引退後もボクシングと関わり、ジャッジを務めたことも。)
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