世界二階級制覇王者(ウェルター級、J・ミドル級)。IBF世界ウェルター級王座防衛戦。ホルヘ・バカ戦、マウロ・マルテリ戦、ホルヘ・マイソネット戦を紹介します。
サイモン・ブラウン(ジャマイカ)
身長177cm:オーソドックス(右構え)
①サイモン・ブラウン 3R TKO ホルヘ・バカ
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1988年)
(ダウンシーン)
1R:右ストレートでバカがダウン
2R:右フック、左フック、右ストレート、ストレート連打で4度、バカがダウン
3R:右ストレートでバカがダウン
(感想:ブラウンがタイトル初防衛。ジャマイカ出身の黒人ブラウン(23歳)。ニックネームは「Mantequilla(バター)」(あの名王者ホセ・ナポレスと同じ。パワフルながら滑らかな動きができる驚異的な選手、という意味)。ナチュラルなパワーを持つ危険な男。最終的に世界二階級制覇。デビューから連勝。若手の頃から高い評価。しかし、実力者マーロン・スターリングの全米ウェルター級王座に挑戦して判定負け。その後、連勝。タイロン・トライスと空位のIBF世界ウェルター級王座を争い、TKO勝ち。これまで26勝(20KO)1敗。バカ戦は初防衛戦となる。バカはメキシカン。1978年デビューのベテラン。43勝(37KO)6敗1分。敗北を経験しながら実力を付け、メキシコ王座(ウェルター級)獲得、連続防衛。番狂わせでロイド・ハニガンからWBC世界ウェルター級王座奪取。しかし、初防衛戦でハニガンに奪回されてしまった。ブラウンへの挑戦はその再起戦となる。ジャマイカ・キングストン「ナショナル・スタジアム」での一戦(レフェリーはルディ・バトル。会場ではブラウンの妻と幼い娘が観戦)。屋外リングでの試合で外は明るい(「真昼の決闘」といった感じ)。1R、共にリズミカルな動きで速いジャブ。ワンツー、左フックにパワーを込めるバカ。ブラウンは右ストレート、左フックにパワー。左フックからの右ストレートでバカがダウン。2Rはバカにとってさらに厳しいラウンド。右パンチを中心とする強打を浴びて四度もダウン。それでも打ち合いに応じるバカだが、3Rにロープ際で右ストレートでダウンしてレフェリーストップ。ブラウンが猛打で圧勝。互いにスピーディでパワフルなパンチを打っていたが、ブラウンのパンチには「凶暴なパワー」があった。バカは勇敢だったが、打ち合いすぎた。その後もバカは多くの試合。再起戦でテリー・ノリスに敗れた後、クインシー・テーラー、マーク・ブリーランドに勝利。しかし、ロイ・ジョーンズ・ジュニアに1RでKO負け。世界戦はブラウン戦が最後となってしまったが、WBC米大陸王座(ウェルター級)を獲得するなど地域王座戦に多く出場した。)
②サイモン・ブラウン 12R 判定 マウロ・マルテリ
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1988年)
(感想:ブラウンがタイトル防衛。二度目の防衛戦。挑戦者マルテリはスイス・ローザンヌ出身。地元を中心にリングに上がり、これまで全勝。後のWBC世界J・ミドル級王者ルネ・ジャコに判定勝ち、欧州王座(ウェルター級)を連続防衛、といった実績。ただし、このところ判定での決着が続いている。ローザンヌでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー。また、リングでは上段のロープ(緑色)のテープがはがれ、漁師の網にからむ海藻のようになっていた)。ブラウンがジャブ、パワーのあるフックで攻撃。マルテリはボクサータイプ。ブラウンのパワーを感じ取り、ブロックを固めてジャブ。2Rに左フックでマルテリをグラつかせるなどブラウンがパワーで優勢。マルテリはディフェンスしながらジャブ、左フックを連打する器用さを見せるが、パワー不足でブラウンを止められない。11R、ブラウンが強烈な左ボディ打ち、フック連打。12Rにもフックで猛攻。12R終了。判定は3-0(二人のジャッジはフルマークだったが、一人は意外にも2ポイント差だった)。ブラウンがパワーで勝利。しかし、ダウンを奪えず。マルテリはブラウンの規格外の強打に耐えるディフェンスのテクニックとタフネスがあった。その後のマルテリ。約一年後に再起戦。マーク・ブリーランドのWBA王座に挑戦したが、2RでTKO負け。その後もリングに上がったが、世界戦は無し。ヨーロッパの実力者にとどまった。)
③サイモン・ブラウン 3R TKO ホルヘ・マイソネット
(IBF世界ウェルター級タイトル戦、1989年)
(ダウンシーン)
2R:左フックでマイソネットがダウン
3R:右ストレート、左フックで2度、マイソネットがダウン
(感想:ブラウンがタイトル防衛。三度目の防衛戦。挑戦者マイソネット(25歳)はプエルトリカン。1984年ロサンゼルス・オリンピックにライトウェルター級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではこれまで二敗しているが、このところ連勝中。ハンガリー・ブダペストでの一戦(レフェリーはルディ・バトル)。互いにリズミカルな動きでジャブ。マイソネット(赤のトランクス)はバランスの良い選手。足で距離を取りながら長いジャブ、ワンツー、左フックダブル。手数も多い。ブラウン(鮮やかなグリーンのトランクス)はブロックしながら前進。強烈な右ストレート、左フック、アッパー気味のボディ打ちで相手を追う。2R、右ストレートでグラついたマイソネット。右フックからの左フックでダウン。3R、右ストレートでマイソネットがダウン。立ったが、左フックで二度目。今度も立てたが、連打を浴びてレフェリーストップ。ブラウンが打撃戦を制して勝利。パワーとディフェンスで相手を上回った。マイソネットは良い選手。しかし、パワーに押されて受け身なところが。結局、「ブラウンが最も強かったときに挑戦した不運」が敗因。その後もマイソネットはリングに上がったが、アーロン・デービスに敗北するなど多くの負け。センスが良い選手だったが、王座には縁が無かった。)
アル・ロング戦、タイロン・トライス戦(再戦)、トロイ・ウォータース戦
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