2024年2月14日水曜日

「技巧派のクルーザー」アルフレッド・コール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界クルーザー級王者。ヘビー級に挑戦。マイク・ディクソン戦、マイケル・グラント戦、テレンス・ルイス戦を紹介します。

アルフレッド・コール(アメリカ)

身長193cm:オーソドックス(右構え)

アルフレッド・コール 9R TKO マイク・ディクソン

(ヘビー級戦、1995年)

「技巧派のクルーザー」アルフレッド・コール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ニュージャージー州アトランチックシティ出身のコールは「アイスマン(IQが147あることから。「クールな頭脳派」という意味らしい)」と呼ばれた黒人アウトボクサー。ソウル五輪の国内予選でアンドリュー・メイナード(金メダル獲得)に敗れ、プロ入り。「Triple Threat」(脅威の三人組)というキャッチフレーズでレイ・マーサー、チャールズ・マレーとトリオで売り出された。身長は193cmであるが、細身。「パワーはそれほどでもない」という評価。デビューから連勝だったが、レオン・テイラーに判定負け、初黒星。その次の試合はテイラーと空位の全米クルーザー級王座を懸けた決定戦。判定勝ちで初の王座奪取。ネート・ミラー、フランキー・スウィンデルに勝利後、ジェームス・ワーリングからIBF世界クルーザー級王座獲得。順調に防衛。ディクソンとノンタイトル戦。ディクソンはオハイオ州クリーブランドの黒人。番狂わせでWBC米大陸王座(ヘビー級)を獲得したことがあるが、負けの方が多い中堅どころ。ただ、レノックス・ルイス、レイ・マーサー、オリバー・マッコールといった実力者と対戦経験あり。フロリダ州ペンサコーラでの一戦。黄色いトランクスのコール。ジャブ連打からの右ストレート、左フック、アッパー。コンビネーションで攻める。ディクソンはスキンヘッドで強そうな見た目。しかしながら、のらりくらりとした動きでスピードに欠け、パンチのキレもそこそこ。コールが突き刺すようなジャブで先手を取り、接近戦ではショートの左フックで優勢。ただし、器用さはあるが、パンチは軽め。ディクソンは大振りの右フック、左ボディ打ちに迫力があるが、ディフェンスされる。手数で試合をリードするコール。5Rに連打で、6Rには左フックでディクソンのマウスピースを吹っ飛ばす。打たれるディクソン。8R終了後に棄権。コールが連打で勝利。ただ、クリーンヒットしても倒せないパンチ力に今後の不安を残した形。ディクソンはスピード不足。いくらヘビー級でもそれなりにスピード・キレは必要。その後、ディクソンはカーク・ジョンソンらを相手に負けに負けてキャリアを終えた。)


マイケル・グラント 11R TKO アルフレッド・コール

(IBCヘビー級王座決定戦、1997年)

「技巧派のクルーザー」アルフレッド・コール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:グラントがタイトル獲得。ディクソン戦の次の試合でユーライア・グラントを判定で下してIBF王座の五度目の防衛に成功したコール。王座返上、ヘビー級へ本格的に進出。しかし、元WBA王者ティム・ウィザスプーンに判定負け。その次の試合は1RでのKO勝ち。そして、このグラント戦。これまで28勝(14KO)2敗で33歳。グラント(24歳)はイリノイ州シカゴ出身の黒人。身長は何と201cm。24戦全勝(16KO)。ただし、相手は中堅どころが多く、王座戦の経験はまだない。アトランチックシティでの一戦。共にややアップライトな姿勢。グラントがパワーを込めてジャブ、右ストレート、左フック。コールは距離を取ってジャブ、ワンツー、左フック。「攻めてはクリンチ」で、相手の反撃を封じる作戦。攻めるときのガードに甘さがあるグラント。コールの右カウンターがヒット。その後、コールが右ストレートからの左ジャブといったテクニック。器用さ、パンチの正確さでコール、腕力でグラント、といった展開。8R、グラントのラッシュにコールが押される。左目下が腫れていくコール。9R、10Rに右カウンターを食う。10R終了後、コールが棄権。パワーで決着。やはりヘビー級とクルーザー級ではパワー、耐久力が違う。グラントはスピードが無く、ディフェンスに隙があった。正直なところ期待外れな選手だったが、それでもコールのパンチは通じなかった。その後のグラント。北米王座獲得。防衛にも成功。しかし、レノックス・ルイスの世界王座に挑戦して2RでKO負け(力みすぎて惨敗)。その後もリングに上がり続けたが、メジャーな世界王座への挑戦は無し。WBF王者になれたが、TKO負けでアッサリ王座陥落。)

   

テレンス・ルイス 10R 判定 アルフレッド・コール

(ヘビー級戦、2000年)

「技巧派のクルーザー」アルフレッド・コール「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:ワンツーでコールがダウン

9R:右ボディでコールがダウン

(感想:ヘビー級で苦戦するコール(36歳)。カーク・ジョンソンと引き分けたが、再戦では判定負け。コリー・サンダースとWBU王座を争ったが、1RでTKO負け。そして、このルイス戦。これまで26勝(18KO)7敗のルイス(27歳)はペンシルベニア州フィラデルフィアの黒人。身長は大きくないが(183cm)、リーチは203cmある。デビューからまずまずの戦績であったが、2000年にはピークを遙かに過ぎた元WBA王者グレグ・ペイジにKO負け。ニューヨークでの一戦(ヘビー級の中堅どころが登場した興行。この試合がメインだったと思うが、会場は空席が多かった)。リングアナは赤いドレスの美女。横幅がゴツくなったコール(セコンドに元WBA世界ライトヘビー級王者エディ・ムスタファ・ムハマド)。しかし、パワーは変わらず。共にジャブ、連打。打ち合いの中、ルイスの左フックが時折ヒットする。3R、ワンツーでコールがダウン。接近戦。互いにフック、ボディ打ち、アッパー。ルイスがフック連打で優勢。5R、コールがローブロー。その後もコールは相手の勢いに押されてボディ狙いがローブローに。9R、ルイスがコールを押し倒して共にロープ外へ。9R、ローブロー気味の右ボディでコールがダウン(ローブローされた仕返しか)。10R、コールが押されて転倒。10R終了。判定は3-0。それほどパンチがあったわけではなかったが、ルイスがパワーで勝利。その後の二人。ルイスは次の試合でマイケル・モーラーにKO負け。コールは負けが多くなっていった。クルーザー級ではハンドスピードで勝ってきたコール。ヘビー級では通用せず。IQが147もある頭脳派だったが、ヘビー級への進出は「賢い判断」だったのだろうか?  引退後はトレーナーとして若い選手を指導しているそうだが、ヘビー級戦でのダメージは大丈夫なのだろうか?)

 

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