2024年2月14日水曜日

「世界王者兄弟の兄」オーリン・ノリス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界クルーザー級王者。ディー・コリアー戦、ジェシー・シェルビー戦、アーサー・ウィリアムス戦(初戦)を紹介します。

オーリン・ノリス(アメリカ)

身長180cm:オーソドックス(右構え)

オーリン・ノリス 12R 判定 ディー・コリアー 

(北米ヘビー級タイトル戦、1989年)

「世界王者兄弟の兄」オーリン・ノリス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ノリスがタイトル防衛。テキサス出身のノリス。弟はあのテリー・ノリス(WBC世界J・ミドル級王座を獲得し、シュガー・レイ・レナードらとビッグマッチ。どちらかというと弟の方が人気があったが、それは「クルーザー級」の地味さも関係していると思われる)。アマチュアで好成績。プロでは小柄ながらヘビー級でスタート。プロ三戦目で判定負け。その後、連戦連勝で北米ヘビー級王座を獲得。その後、何とレナルド・スナイプス、ジェシー・ファーガソン、グレグ・ペイジらを撃破。これまで21勝(9KO)1敗でWBA4位。コリアー戦は五度目の防衛戦となる。挑戦者コリアーはイリノイ州シカゴの黒人。13勝(8KO)8敗。デビュー戦に敗北。以後、ジェームス・ダグラスに判定負けするなど勝ったり負けたり。ただ、タフ男ランドール・コッブにKO勝ち、カリフォルニア州王座獲得、強打者アレックス・ガルシアに勝利(ガルシアの初黒星)、といった実績。ラスベガスでの一戦(TV解説席にテリー・ノリス)。背は低いがガッチリしたノリス。ディフェンスしながらジャブ連打、接近してフック。マイク・タイソン風の攻め方。コリアーはヘビー級の体格。ジャブを使うボクサータイプ。ストレート、フックを器用に使うが、パワーはそこそこ。ただし、接近戦でのボディ打ちは悪くない。4R、互いに打ち合う激しい攻防。その後、攻めるコリアーだが、パワー不足の印象。ノリスはやはりヘビー級ではキツいのか、打ち合いは避けたい様子。連打をまとめて距離を取ったり、クリンチしたり。12R終了。判定は3-0。ブロック&フック、カウンターでノリスが勝利。ただ、相手のパワー不足に助けられた印象。コリアーにもっとパワーがあったら勝敗は逆になっていたかも。コリアーはボディ打ちに良さがあったが、これが最後の試合となった。)


その後のノリス

北米ヘビー級王座戦でバート・クーパーにTKO負け。後の世界王者オリバー・マッコールに判定勝ち。ライオネル・ワシントンとの決定戦で北米ヘビー級王座奪回。しかし、初防衛戦で元IBF王者トニー・タッカーに敗北、王座陥落。階級を下げて再起戦。ジェシー・シェルビーと北米クルーザー級王座決定戦。


オーリン・ノリス 10R 負傷判定 ジェシー・シェルビー 

(北米クルーザー級王座決定戦、1991年)

「世界王者兄弟の兄」オーリン・ノリス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ノリスがタイトル獲得。WBC13位のノリス。シェルビーはノリス同様、テキサス出身。長身(191cm)のサウスポー。テキサス州王座(クルーザー級)獲得、イベンダー・ホリフィールドにKO負け、JB ウィリアムソンにTKO負け、ジェフ・ラムキンに判定負け、トミー・モリソンにTKO負け、といったキャリア。一定の実力はあるが、飛び抜けた選手ではない。カリフォルニア州サンディエゴでの一戦。身長差がある二人。小柄なノリスがウィービング、ブロックしながら前へ。右ストレート、右フック、左アッパー、ボディ打ちに迫力(元WBA世界ヘビー級王者マイケル・ドークスに似た戦いぶり)。シェルビーはアップライトスタイルで右ジャブ、左ストレート、右フック。残念なことにパンチのキレはそこそこ。パワーでノリスが優勢。左ボディ打ちが特に効果的。ただ、動きにのらりくらりとしたところがあり、相手を仕留められない。接近戦。互いにディフェンスしながらストレート、フックでの打ち合い。5R、右ストレートでシェルビーが後退。7R、ノリスが踏み込んで斜め下からの左フック(迫力)。次第に乗ってきたか、シェルビーが左ストレート、右フックで攻める。10R、ノリスの右ストレートがヒットしたが、バッティングで負傷。このラウンド終了後、負傷判定でノリス。ノリスの長所と短所が見られた試合。パンチ自体は良いが、機敏な動き、相手を追い込む鋭さに欠ける部分があった。シェルビーはスピードが無い。上を目指すような激しさを感じられない試合ぶりだった。その後、シェルビーはヘビー級へ。アンドリュー・ゴロタ、ティム・ウィザスプーンらに敗北するなど負けが多かったが、テキサス州王座(ヘビー級)を獲得できた。)

   

その後のノリス

クルーザー級で好調。連戦連勝でWBA世界クルーザー級王座獲得(かなり強烈なKO劇だった)。弟に遅れをとったが、「兄弟世界王者」に。ノンタイトル戦にTKO勝ち。そして、アーサー・ウィリアムスと初防衛戦。


オーリン・ノリス 12R 判定 アーサー・ウィリアムス 

(WBA世界クルーザー級タイトル戦、1994年)

「世界王者兄弟の兄」オーリン・ノリス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでウィリアムスがダウン

(感想:ノリスがタイトル防衛。これまで39勝(22KO)3敗1NCの王者ノリス(28歳)。WBA1位の挑戦者ウィリアムス(29歳)はフロリダ州ペンサコーラ出身(ロイ・ジョーンズ・ジュニアと同じ)。21勝(16KO)1敗1分。デビューから連勝だったがKOで初黒星。その後、ピークを過ぎたドワイト・ムハマド・カウイに勝利、ユーリ・ブーリンを決定戦で下して全米王座(クルーザー級)獲得、元IBF王者ジェフ・ラムキンに勝利、といった実績。このところ連勝中で挑戦者の資格は十分。ラスベガス「MGM Grand」での一戦(会場ではテリー・ノリス、フランキー・ランドールが観戦)。アップライトスタイルのウィリアムス。ボクサータイプでジャブ、ワンツー、左フック。手打ちなパンチ。攻めるノリス。左フックが効いたウィリアムスが右フックでダウン。その後、距離を取ってワンツー、左フックのウィリアムスをノリスがジャブで追う展開。手数が多いウィリアムス。ノリスは強いジャブを出しているが、ブロックされたり逃げられたり。6R、ウィリアムスが手打ちで連打。しかし、時折強いフック、アッパーを打ち、ノリスがピンチ。その後も手数のウィリアムス、ジャブで前に出るノリス。12R終了。共に両手を上げて自身の勝利をアピール。特にウィリアムスはセコンドにかつがれ、勝利を確信している様子。判定は2-1。映像では手数でウィリアムスが勝ったように見えたが、ジャッジはノリスの攻める姿勢とパワーを評価したようだ。残念だったウィリアムス。しかし、クルーザー級という重量級でパワーの乗らないアウトボクシング。正直なところ魅力的な選手ではない(良いパンチを持っているのは間違いないが)。2-1だったということで両者はダイレクト・リマッチ。しかし、今度は3RでのTKOでノリスが圧勝。その後の二人。ウィリアムスはIBF王者に。王座陥落後も多くの試合をこなした。ノリスは五度目の防衛戦でネート・ミラーに敗北、王座陥落。再びヘビー級へ。マイク・タイソン、ビタリ・クリチコといった大物と対戦(結局、ヘビー級での世界王座獲得はならず)。小さいがエネルギーの塊のようなチャレンジ精神にあふれる逞しい男であった。)

 

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