2024年2月11日日曜日

「ドイツ人サウスポー」ヘンリー・マスケ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界L・ヘビー級王者。鉄壁のブロックの使い手。デビッド・ベダー戦、イガートン・マーカス戦ほかを紹介します。

ヘンリー・マスケ 12R 判定 デビッド・ベダー

(IBF世界L・ヘビー級タイトル戦、1993年)

「ドイツ人サウスポー」ヘンリー・マスケ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マスケがタイトル防衛。東ドイツ出身のマスケ。ニックネームは「Gentleman」(見た目の雰囲気とクリーンな試合ぶりから)。子供の頃からボクシングに親しみ、1988年ソウル・オリンピックでは東ドイツ代表で出場し、ミドル級で金メダル獲得(その後、ベルリンの壁が壊れてドイツが東西統一されたため、最後の「東ドイツ代表」となった)。東側の国がプロボクシングに参入していく状況でマスケもプロ入り。デビュー戦は英国(勝利)。その後はドイツを主戦場に連勝。元WBA世界L・ヘビー級王者レスリー・スチュワートにKO勝ち。実力派王者チャールズ・ウィリアムスを判定で下してIBF世界L・ヘビー級王座獲得。アメリカのアンソニー・ヘンブリック相手に判定で初防衛(マスケの世界戦は結果的に全てドイツで行われた)。これまで全勝。ベダー戦は二度目の防衛戦となる。IBF8位のベダー。これまでバージル・ヒルのWBA世界L・ヘビー級王座、ジェフ・ハーディングのWBC王座、アナクレト・ワンバのWBC世界クルーザー級王座に挑戦して、いずれも判定負け。ドイツ・デュッセルドルフでの一戦。王者マスケがディフェンシブなサウスポースタイル。ベダーがジャブ連打からの右ストレートで攻めるが、マスケは下がったりクリンチしたりしながらジャブ、左フックでカウンターを取る。10R、上からのしかかるような体勢になったマスケをベダーはプロレス技のように後ろに投げる。12R終了。判定は3-0。マスケのジャブが評価されたようだが、マスケは実に消極的な勝ち方。ジャブとディフェンス。ラウンド終了時には何が気に食わないのか知らないが不満そうな顔つき。地元のファンでも喜ばない勝利だったのでは?  ベダーはパンチ力はあったが、当てるテクニックに欠けていた。 その後、ベダーは連敗したり連勝したりの不安定なキャリア。世界挑戦はマスケ戦が最後となった。)


ヘンリー・マスケ 12R 判定 イガートン・マーカス

(IBF世界L・ヘビー級タイトル戦、1995年)

「ドイツ人サウスポー」ヘンリー・マスケ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

7R:左フックでマーカスがダウン

(感想:マスケがタイトル防衛。六度目の防衛戦。判定防衛が多いマスケだが、前回の防衛戦ではアイラン・バークレーにTKO勝ち。IBF1位の挑戦者マーカスは南アメリカ・ガイアナ出身の黒人。ソウルオリンピック・ミドル級決勝でマスケと争い、敗北。銀メダル獲得。プロではこれまで全勝。北米王座(L・ヘビー級)を獲得し、アンドリュー・メイナード(ソウルオリンピック・L・ヘビー級金メダリスト)らを相手に防衛に成功している。フランクフルトでの一戦。マーカスのセコンドにあのルー・デュバ(名物男)。マーカスのトランクスの後ろには「BAD MAN」。なかなか良い打ち方をするマーカス。ジャブ、パワフルな右ストレート、左フック。しかしながら、攻撃が単発。マスケにディフェンスされているというのもあるだろうが畳み掛けるような攻撃ができず、前に出てはクリンチ。マスケがブロック&右ジャブでポイント。7R終了直前にハプニング。左フックがカウンターで入った後、マーカスが押さえつけられるような体勢となってヒザを着く。それを「ダウン」として扱うレフェリー(クリス・ウォルセン:アメリカ)。ルー・デュバがリングインして猛抗議。8Rにもハプニング。相手を上から押さえつけるマスケにマーカスがローブローで仕返し。レフェリーから警告。その後、マスケにも警告。12R、マスケが右手で相手を押さえて左パンチ(「ジェントルマン」にふさわしくないダーディな行為)。12R終了。判定は大差の3-0。マスケが右ジャブで勝利。これがマスケの試合の基本パターン(全くエキサイティングではない)。マーカスはプロの世界戦でもマスケに敗北。個人的にはマーカスの単調な攻めにガッカリ。コンビネーションで攻めて欲しかったところ。その後、マーカスはサッパリ。地域王座戦に出場したが勝てず。ヘビー級でドノバン・ラドックと対戦したがKO負けだった。)


ヘンリー・マスケ 12R 判定 グラシアノ・ロッシジャーニ

(IBF世界L・ヘビー級タイトル戦、1995年)

「ドイツ人サウスポー」ヘンリー・マスケ①「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マスケがタイトル防衛。七度目の防衛戦はドイツ人同士の対決。IBF9位の挑戦者ロッシジャーニは元IBF世界S・ミドル級王者。階級を上げて欧州王座(L・ヘビー級)獲得。クリス・ユーバンクのWBO世界S・ミドル級王座に挑戦して判定負け、初黒星。再び階級を上げてマスケの王座に挑戦。ドルトムントでの一戦。共にサウスポー。右ジャブ、ワンツー、右フック。互いにブロック。ロッシジャーニは攻めの姿勢。接近してボディ連打、インサイドから器用に左アッパー。マスケはワンツー、左ボディ打ち。両者ともパワーはそこそこ。テクニックで勝負。9R、攻めるロッシジャーニ。マスケが珍しく押されて、焦っているような表情。12R、ロッシジャーニが左ストレートで優勢。マスケがクリンチに逃げる。12R終了。両手を上げて自身の勝利をアピールするロッシジャーニだが、判定は3-0でマスケ。ロッシジャーニも手数を出すなど良いシーンがあったが、マスケがワンツー、ボディ打ちでポイントを取ったラウンドが多かった。結局、ディフェンスで勝負が着いた印象。しかし「実力伯仲」ということなのか、この後、両者はダイレクト・リマッチ。)

ヘンリー・マスケ②

グラシアノ・ロッシジャーニ戦(再戦)、デュラン・ウィリアムス戦、ジョン・スカリー戦 

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