2024年2月10日土曜日

「南アの白人ライト級」フィリップ・ホリデー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界ライト級王者。王座防衛戦&その後。ピート・タリアフェロ戦、シェーン・モズリー戦、トーマス・ダンガード戦ほかを紹介します。

フィリップ・ホリデー(南アフリカ)

身長168cm:オーソドックス(右構え)

フィリップ・ホリデー 12R 判定 ピート・タリアフェロ

(IBF世界ライト級タイトル戦、1997年)

「南アの白人ライト級」フィリップ・ホリデー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左フックでタリアフェロがダウン

2R:左フックでホリデーがダウン

10R:右ストレートでホリデーがダウン

(感想:ホリデーがタイトル防衛。五度目の防衛戦で実力者アイバン・ロビンソンを判定で下したホリデー。これまで30戦全勝(16KO)。六度目の相手タリアフェロはアラバマ州の黒人。36勝(24KO)6敗。WBF王座、WBC米大陸王座(いずれもフェザー級)、全米王座(J・ライト級)を獲得した実績。ただし、カルビン・グローブ、アルツロ・ガッティ、ケビン・ケリー、レジリオ・ツール(WBO世界J・ライト級王座戦)といった実力者には敗北している。南アフリカ・ハマンスクラールでの一戦。1R、テンポの良いボクシングをするタリアフェロ。ジャブ、ワンツー。ホリデーはいつものようにジャブ、右ストレート、重さを感じる右フック。左フックでタリアフェロがダウン。しかし、2Rにはワンツーからの左フックでホリデーがダウン。さらに右ストレートからの左フックでホリデーがピンチ。その後も中間距離での打ち合い。タリアフェロのコンビネーション(ワンツーからの左フック)も悪くないが、フックの重さでホリデーが優勢か? 終盤は距離を取ってジャブ、右カウンターのホリデーがポイント。10R、右ストレートでホリデーがダウン。しかし、レフェリーのスタンリー・クリストドーロー(南アフリカ)はこれを「スリップ」扱い(やはり王者と同じ国籍のレフェリーは問題がある。「不正」とまでは言えない裁定だったようにも見えたが)。互いに良さを出し合って12R終了。判定は小差の2-1(三人とも「115-111」)。ホリデーが手数で勝利。タリアフェロはよく頑張ったが、「一発のパワー」で少し王者に劣った。その後、タリアフェロは再起二戦目でIBAのJ・ウェルター級王座に挑戦してTKO負け。それが最後の試合となった。)


シェーン・モズリー 12R 判定 フィリップ・ホリデー

(IBF世界ライト級タイトル戦、1997年)

「南アの白人ライト級」フィリップ・ホリデー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:モズリーがタイトル獲得。ホリデーの七度目の防衛戦。挑戦者モズリーは実力者。カリフォルニア出身の黒人でアマチュアでは後にプロになる選手と多く対戦。ただ、バーノン・フォレストに敗れてオリンピック出場ならず。プロではこれまで全勝。初の世界挑戦。コネチカット州アンカスビルでの一戦(レフェリーはスティーブ・スモーガー。会場ではホリデーの母が観戦)。いつものように前進するホリデー。しかしながら、モズリーは距離を取ってディフェンス、クリンチしながらハンドスピード、コンビネーション。右ストレートにキレ、右フックには迫力がある。攻めるホリデーは得意の左フックを時折ヒットさせるが、クリンチされて攻撃が単発に終わる。モズリーがアウトボクシング、連打、クリンチで12R終了。判定は3-0。ホリデーがついに初黒星。相手の「打ち合わないボクシング」に屈した。正直なところモズリーは器用さはあったが、クリンチ多用のカッコ良くない勝ち方。確実に勝ちたかったのだろう。その後のモズリーの活躍はおなじみ。ライト級王座を連続防衛後、オスカー・デラ・ホーヤを破ってウェルター級王座も獲得。しかし、バーノン・フォレストにプロでも敗北。デラ・ホーヤとの再戦ではステロイド使用。強かったが、残念なところも。)  


トーマス・ダンガード 12R 判定 フィリップ・ホリデー

(IBCウェルター級王座決定戦、2000年)

「南アの白人ライト級」フィリップ・ホリデー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ダンガードがタイトル獲得。モズリー戦後のホリデー。再起三連勝後、マイナータイトルWBU王座(ライト級)に挑戦したが、判定負け。そして二連勝でIBC王座挑戦。年齢は29に。ダンガード(28歳)はデンマークのサウスポー。デビューから18戦全勝(16KO)。これまでの試合は全て地元。欧州王座(J・ウェルター級)獲得、カリ・ライルー、グレグ・ホーゲンに勝利、といった実績。デンマーク・オールボーでの一戦。左右の構えの違いはあるが似ている二人。体格差はあまりない。ジャブ、ストレート、フック。相手がサウスポーでも変わらないホリデー。ジャブ、右カウンター。ただし、階級を上げたせいかスピードがやや落ちてフックをディフェンスされてしまう。ダンガードは洗練された選手ではないが、豊富なスタミナでしつこいフック攻撃。サウスポーのテクニック、攻める姿勢でダンガードがやや優勢か? 12R終了。判定は3-0。元々パワーはそれほどではないホリデー。上の階級では通用せず。「精力的な連打」がホリデーの武器であるが、この試合では相手がそれで上回った。その後もダンガードは活躍。欧州王座、WBAインターコンティネンタル王座(いずれもウェルター級)を獲得するなど地元で勝ち続けた。しかし、初のアメリカでの試合でアルツロ・ガッティにTKO負け。再起戦に勝利して引退。ヘビー級のブライアン・ニールセン(デンマーク)同様、ローカルな実力者だった。)   


フィリップ・ホリデー 4R 負傷引分 ジェラルド・リード

(ウェルター級戦、2000年)

「南アの白人ライト級」フィリップ・ホリデー②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ダンガードに敗れた再起戦。黒人リードはケンタッキー州のベテラン選手(38歳)。これまで17勝(9KO)29敗3分。勝ったり負けたり連敗したりの中堅どころ。ラマー・マーフィー、元世界王者ビンセント・ペットウェイらに敗北しているが、アメリカのローカル王座(ウェルター級)を獲得するなど試合経験はある。アトランチックシティでの一戦。足で距離を取るアウトボクサーのリード。ジャブを多用し、ワンツー。右ストレートにはキレがある。ホリデーはウィービングしながら前へ。右ストレート、フック攻撃。しかし、フックを打つとき身体が浮いたような感じに(バランスがあまり良くない印象)。4R、攻めるホリデーだが、右眉あたりをカット。ドクターチェック、試合終了。裁定はドロー。そのまま続行してもおそらく攻めの姿勢でホリデーが勝っていただろう。リードは打ち合いたくない様子だった。その後の二人。リードはマイナー王座に挑戦して敗北するなど全敗。ホリデーは次の試合でヘクター・カマチョ・ジュニアに敗北。オーストラリアに主戦場を移したが、WBOのオリエンタル王座戦に敗北するなど世界挑戦は無し。ラストファイトはオーストラリア王座戦(スーパーウェルター級)に勝利、王座獲得。モズリー戦後はあまりいいところがなかったホリデー。それほどパワーがある方ではなかったのが原因。豊富なスタミナでIBFタイトルを守っていた頃が全盛期だった。)

 

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