2024年1月28日日曜日

「双子の兄」チャナ・ポーパオイン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界ストロー級王者。地元での防衛戦。ラファエル・トーレス戦、姜錦永戦、金振浩戦ほかを紹介します。

チャナ・ポーパオイン(タイ)

身長160cm:オーソドックス(右構え)

チャナ・ポーパオイン 4R KO ラファエル・トーレス

(WBA世界ストロー級タイトル戦、1993年)

「双子の兄」チャナ・ポーパオイン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでチャナがダウン

3R:右フックでチャナがダウン

4R:左ボディでトーレスがダウン

(感想:チャナがタイトル防衛。チャナは「双子ボクサー」(弟ソンクラーム・ポーパオインは後にWBA世界ストロー級暫定王者に)。「チャナ・ポーパオイン」というのはリングネームであり、本名ではない(「チャナ」はタイ語で「勝利」を意味するらしい)。タイ人ボクサーのパターンである「ムエタイから国際式(プロボクシング)へ」。後のIBF王者ファーラン・ルークミンクワン、マニー・メルチョルを下すなど連戦連勝でWBA1位に。日本で大橋秀行を破り、WBA世界ストロー級王座獲得。パナマのカルロス・ムリージョ、フィリピンのロニー・マグラモを相手に二度の防衛成功。ただし、これまでの三度の世界戦は全て判定勝ち。小さい階級であるため仕方がないところではあるが、WBC王者リカルド・ロペス(大橋秀行をKO)と比べると「迫力」という点では物足りない王者。挑戦者のトーレスはドミニカのサウスポー。デビューから連勝。ドミニカ王座(フライ級)獲得後、WBO世界ストロー級王者に。インドネシア・ジャカルタで初防衛に成功。その後、何があったのかはわからないがブランク。二年後に復帰。再起戦に勝利したが、再起二戦目はあのヘスス・ロハスで判定負け。その再起戦でチャナに挑戦。タイでの一戦(レフェリーは森田健。屋外リングでの試合でリング上では照明に集まった蛾が飛んでいた)。トーレスが右ジャブ、左ストレート。チャナはブロックで対応。しかし、いきなりの左ストレートでチャナがダウン。トーレスが連打で攻める。その後、トーレスは距離を取って左カウンターを狙う。チャナは前進して右ストレートを狙うがディフェンスされる。3R、打ち合いの中、右フックでチャナがダウン(レフェリーはこれを「スリップ」扱い。非常に速いパンチだったため見えなかったのかも)。4R、やや強引に攻めるチャナ。右ストレート、フック連打でトーレスをコーナーに追い込む。左ボディでトーレスがダウン、10カウント。チャナが逆転勝利(カオサイ・ギャラクシー、弟ソンクラームがチャナをリング上で祝福)。攻めの姿勢が功を奏した。トーレスは残念。良いパンチを持っているが、受け身。中南米の選手はクリーンなボクサータイプが多いが、攻められて一気に陥落することも珍しくない。その後、トーレスは勝ったり負けたり。WBU王座戦に出たが、負傷判定負けだった。)


チャナ・ポーパオイン 12R 判定 姜錦永

(WBA世界ストロー級タイトル戦、1994年)

「双子の兄」チャナ・ポーパオイン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:チャナがタイトル防衛。カルロス・ムリージョを再び判定で下して四度目の防衛に成功したチャナ。五度目の防衛戦。韓国人と世界戦をするのはこれが初めて。挑戦者の姜はWBA11位。韓国王座(ストロー級)を二度獲得した実績。タイでの一戦。レフェリーは内田正一。小柄な二人。ガードを上げてジャブ。なかなか荒々しい姜。接近してフック攻撃。大きく振るう右フックに迫力。しかし、正確さに欠ける。チャナは右ストレート、左フックなどで相手の隙を狙う攻撃。3R、頭から突進する姜にレフェリーが警告。ディフェンスしながらもみ合う展開。それほど大きな力の差はないように見えるが、パンチの正確さでチャナか。ただ、姜の思い切ったボディ打ちも悪くない。終盤はチャナ。9Rには左フックをクリーンヒットさせ、連打で姜を追い込む。12R終了。判定は大差の3-0。チャナがディフェンス&正確さで勝利。姜はタフでパワフルだったが、攻撃が雑すぎた。これが最後の試合に。)


チャナ・ポーパオイン 12R 判定 マヌエル・ヘスス・エレラ

(WBA世界ストロー級タイトル戦、1994年)

「双子の兄」チャナ・ポーパオイン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

6R:ワンツーでチャナがダウン

(感想:チャナがタイトル防衛。六度目の防衛戦。WBA9位の挑戦者エレラはドミニカ人。地元でデビュー。取りこぼしもあったが、アメリカを主戦場に移して好調。ホルヘ・ルイス・ローマン(あのヒルベルト・ローマンの弟)を破ってWBCの地域王座(J・フライ級)獲得、連続防衛。しかし、ダニー・ロメロ(後の世界二冠王。パワフルな強打者)と北米王座(フライ級)を争った試合でTKO負け。その再起戦でチャナに挑戦。タイでの一戦(レフェリーは手崎弘行)。相手を警戒して距離を取るエレラ。速いジャブ、ワンツーでアウトボクシング。斜め下からの右フックには迫力がある。チャナは攻めの姿勢でジャブ、右ストレート。4R、エレラがオープンブローの注意。6R、エレラのワンツーがクリーンヒット。さらにワンツーでチャナがダウン。その後、エレラが左フックからの右ストレートといった鋭い攻め。しかしながら、エレラはKOを狙うような攻めではない。応戦するチャナが7Rに左フックで反撃(さすが世界王者、といった踏ん張りだった)。その後もジャブのチャナ、アウトボクシングのエレラ。11R、エレラがホールドで減点(これはかなり大きいペナルティだった)。その後、チャナがジャブを当てて12R終了。判定は極めて僅差の2-1。減点がなかったら結果は違ったものになっていた。チャナがジャブ、隙を突くフックでかろうじて勝利(勝利後、ベルトを腰に巻いたがベルトが逆さまだった)。エレラは良い選手だが、どこか詰めが甘かった。その後もエレラはWBCの地域王座を防衛し、WBAの地域王座も獲得できたが、数度の世界挑戦に失敗。世界王者にはなれなかった。)


チャナ・ポーパオイン 12R 判定 金振浩

(WBA世界ストロー級タイトル戦、1995年)

「双子の兄」チャナ・ポーパオイン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:チャナがタイトル防衛。七度目の防衛戦。WBA1位の挑戦者、金はソウル出身。プロ四戦目で東洋太平洋王座(ストロー級)を獲得するなどなかなか優秀。防衛にも成功してこれまで8戦全勝。プロでの試合数は少ないが、初の世界挑戦。バンコクでの一戦(レフェリーはラリー・ロザディリャ)。ワンツーからの左フックを力強く精力的に出す金。ジャブにはスピードもある良い選手。チャナも良いパンチ。左フックからの右ストレート、ボディ打ち。共にパンチにスピードとパワーがあるが、ディフェンス&パンチの正確さでチャナ。6Rには左フック、8Rにはアッパーをヒットさせる。12R終了。判定は3-0。なかなか強いチャレンジャーだった金だが、上手くディフェンスされてしまった。その後の二人。金はその後、しばらくしてブランク。カムバックして韓国王座(J・フライ級)を獲得したが、WBCインター王座戦(J・フライ級)に敗れるなど負けが目立つようになっていった。チャナは九度目の防衛戦であのロセンド・アルバレスに2-1で敗れ、王座陥落。その後、ブランクを作りながらもリングに上がり、WBA1位として星野敬太郎に挑戦して王座奪回。初防衛戦で新井田豊に判定負け、王座陥落。その後も(敗れたが)WBA世界ミニマム級暫定王座決定戦に出場するなど多くの試合。小柄ながら優秀な選手だったチャナ。二度WBA王者になったが、いずれも日本でタイトルを獲ったということもあり、日本のファンの記憶に残る男である。)

 

0 件のコメント:

コメントを投稿