2024年1月27日土曜日

「絹のような滑らかさ」カルビン・グローブ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界フェザー級王者。レジリオ・ツール戦、ファブリス・ベニシュ戦、ヘロニモ・カルドス戦を紹介します。

カルビン・グローブ(アメリカ)

身長170cm:オーソドックス(右構え)

カルビン・グローブ 10R 判定 レジリオ・ツール

(ニューヨーク州J・ライト級タイトル戦、1992年)

「絹のような滑らかさ」カルビン・グローブ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:グローブがタイトル獲得。「Silky Smooth」と呼ばれたグローブ。ペンシルベニア州出身。当時アメリカでは軽量級はマイナー。しかし、グローブはスピード、リングでのパフォーマンスで人気があった。デビュー以来、ケルビン・シーブルックスに勝利するなど全勝で全米フェザー級王座獲得。王座を連続防衛後、アントニオ・リベラをKOしてIBF世界フェザー級王座獲得(1988年)。初防衛に成功。ここまでは完璧だったグローブ。しかし、二度目の防衛戦でホルヘ・パエスに判定負け、初黒星。IBF王座を懸けた再戦ではTKO負け。全米王座(J・ライト級)を獲得したが、古豪バーナード・テーラーにTKO負け。新鋭ツールと対戦。ツールは南米スリナム共和国出身の黒人で、国籍はオランダ。1988年のソウル・オリンピックにはフェザー級で出場(メダルは獲得ならず)。プロではアメリカとオランダで試合。これまで28勝(20KO)1敗1分。グローブとニューヨーク州王座の初防衛戦。ニューヨーク・キャッツキルでの一戦。個性的な髪型のグローブ(サイドを剃っているため帽子を被っているかのような感じ)。共に速いジャブ、右ストレート、左フック。足で距離を取ってアウトボクシングのグローブ。ツールは基本がしっかりできている選手でパンチの打ち方が良い。しかしながら、試合はグローブ。素早い動きから時折右ストレート、左フックを当てる。ツールは力強いが、攻撃をかわされるシーンが多い。スピード、ディフェンスのグローブ、ジリジリ前に出るツール、といったパターンで10R終了。判定は2-1。グローブが当てる巧さで勝利。ツールは良い選手だが、正攻法。ヨーロッパ系の選手はキレイなボクシングをするが、「KOを狙う攻め」という点では物足りないことも多い。その後、ツールは欧州王座(J・ライト級)を獲得。WBO世界J・ライト級王者になり、連続防衛を果たした。)


カルビン・グローブ 10R 判定 トロイ・ドーシー

(J・ライト級戦、1993年)

「絹のような滑らかさ」カルビン・グローブ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ツールに勝ったグローブ。その次の試合でアズマー・ネルソンのWBC世界J・ライト級王座に挑戦したが、判定負け。その再起戦でドーシーと対戦。ドーシーはグローブと同様、元IBF世界フェザー級王者。テキサス州出身で元キックボクサーでもある強打者だが、このところ負けが目立つ。直前の試合ではジェシー・ジェームス・レイハにTKO負け。ペンシルベニア州フィラデルフィアでの一戦(グローブは41勝(16KO)5敗。ドーシーは13勝(11KO)6敗1分)。スピードとパワーの対決。いつものように足で距離を取るグローブ(いざというときは打ち合いも辞さないが、ドーシーは危険なパンチャー。アウトボクシングが正解)。速いワンツー、そして左フック。しゃくるような右アッパーも入れようとする。ドーシーは接近して右ストレート、フック、ボディ攻め。強引な攻めであるが、ジャブも使う。2R、早くもドーシーが右目付近から出血(古傷。出血には慣れている)。グローブがワンツーからの左フックなどで優勢。ドーシーはボディ打ちにパワーがあるが、ブロックされたり、逃げられたり。10Rにハプニング。ラウンド終了間際にドーシーが連打。右ストレートでグローブがダウン。しかし、ダウンの時点で3分を越えていたためノーカウント。判定は3-0。グローブがアウトボクシングで勝利。その速いパンチにはパワーもあった。ドーシーは残念。パンチはあるが、何かが足りない(攻めのバリエーションに問題がありそう)。その後、ドーシーは再起戦で新鋭オスカー・デラ・ホーヤにTKO負け。IBOのJ・ライト級王座を獲得できたが、メジャー団体の世界王座には返り咲きならず。)  


カルビン・グローブ 10R 判定 ピート・タリアフェロ

(J・ライト級戦、1993年)

「絹のような滑らかさ」カルビン・グローブ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:好調のグローブ。ドーシー戦の次の試合をメルボルンで行い、あのジェフ・フェネックにTKO勝ち。さらに元IBF世界J・ライト級王者レスター・エリスにもメルボルンで勝利。勢いのある状況でタリアフェロと対戦。24勝(18KO)1敗のタリアフェロはアラバマ州の黒人。デビューから好調。ケルビン・シーブルックスに勝利、WBF王座、WBC米大陸王座(いずれもフェザー級)獲得の実績。ミシシッピ州ビロクシでの一戦。互いにジャブ。ディフェンスしながら接近戦ではボディ打ち。機敏な動きが武器の似たタイプ。ガードを上げてワンツー、左フックのタリアフェロ。グローブは左のガードを下げた構え。試合は動きのスピード、パンチのキレでグローブ。互いにジャブをヒットさせ、グローブは時折右ストレートを当てる。タリアフェロはあまり好戦的ではなく、相手に合わせる動き。10R終了。判定は2-1。タリアフェロはもっと攻めるべきだった。その後の二人。タリアフェロは全米王座(J・ライト級)を獲得したが、レジリオ・ツール(WBO世界J・ライト級王座戦)、フィリップ・ホリデイ(IBF世界ライト級王座戦)に敗れて世界王者にはなれず。グローブはさらにチャンスを得てWBC王座(ライト級)、WBU王座(J・ライト級)に挑戦したが、勝てず。ラストファイトはコンスタンチン・チューに1RでKO負け。強い選手だったが、意外なことに獲得できた世界王座はIBF世界フェザー級王座のみにとどまった。) 

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