2024年1月16日火曜日

「ドレッドヘアー」シャノン・ブリッグス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBO世界ヘビー級王者。若手時代&大一番。カルビン・ジョーンズ戦、ダロル・ウィルソン戦、ビタリ・クリチコ戦を紹介します。

シャノン・ブリッグス(アメリカ)

身長193cm:オーソドックス(右構え)

シャノン・ブリッグス 1R KO カルビン・ジョーンズ

(ヘビー級戦、1995年)

「ドレッドヘアー」シャノン・ブリッグス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右フックでジョーンズがダウン

(感想:見た目の個性と好戦的な試合ぶりが印象的だったブリッグス。ニューヨーク・ブルックリン出身(少年時代、近所に住んでいたマイク・タイソンに会ったことがあるという)。17歳でボクシングを始める。アマチュアでも活躍したが、コブシの負傷でオリンピックには出場ならず。プロ入り後はこれまで24連勝(19KO)で、WBC30位。ジョーンズはオハイオ州クリーブランド出身の大型選手(身長198cm)。デビュー戦の相手は何と元WBA王者ジョン・テート(ジョーンズの4R判定負け)。その後もジェームス・スミス、トニー・タッカー、レノックス・ルイスらに敗北。実力者の「踏み台」扱いされている印象のキャリア。ニューヨーク「マジソン・スクエア・ガーデン」での一戦。ドレッドヘアーを黄色に染めた爆発頭のブリッグス(パイナップルのよう。個性的すぎる。ジョーンズは対照的にスキンヘッド)。アップライトスタイルでいきなり仕掛ける。ワンツーからの左フック、左フック連打。攻撃重視でディフェンスが甘い戦い方。ジョーンズは腕をクロスさせるブロッキングでディフェンスしながらフックで応戦しようとするが、右フックでダウン。10カウント内に立てず、KO。あっけない決着。ブリッグスは動きに粗さはあるがパンチの打ち方が良く、エキサイティングだった。ジョーンズはタフそうに見えたが、沈没。過去のダメージも関係ありそうな負け方。その後もビタリ・クリチコに1Rで倒されるなど負けが多いキャリアとなった。)


ダロル・ウィルソン 3R TKO シャノン・ブリッグス

(ヘビー級戦、1996年)

「ドレッドヘアー」シャノン・ブリッグス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左フックでブリッグスがダウン

(感想:ジョーンズに圧勝したブリッグス。その次の試合の相手ウィルソンはバージニア州出身の黒人。相手は中堅どころばかりだが、これまで15勝(10KO)2分、無敗。アトランチックシティ「コンベンション・センター」での無敗対決。いつものようにストレート、フックで強引に攻めるブリッグス。ウィルソンは機敏な動き。ダッキングしながら正確なジャブを使い、1Rから右ストレートをヒットさせる。ブリッグスのパンチも悪くはないが、ウィルソンのジャブ、ストレートには伸びがあり、フックもシャープ。3R、打たれるブリッグスは追い込まれた表情。ロープ際での左フックでダウン。ダメージ深い、と見てレフェリー(トニー・オーランド)は試合を止めた。勝って大喜びのウィルソン。ブリッグスは試合終了後もしばらく倒れたままだった。厳しい初黒星だったブリッグス。相手の正確なパンチ、ディフェンスに屈した。ボクシングはケンカではない。スピーディな動き、ディフェンス、正確なパンチで勝負する世界。ブリッグスは攻め一辺倒のスタイルを見直さなければならない。その後のウィルソン。デビッド・ツゥアとWBCインター王座を懸けて戦い、何と1RでKO負け。その後もピークを過ぎたティム・ウィザスプーンにKOされるなど勝ったり負けたりだった。)  


その後のブリッグス

ジョージ・フォアマンに判定勝ちしたが、その次の試合でレノックス・ルイスにKO負け(WBC世界ヘビー級王座戦、1998年)。連勝しては敗北。IBU王座獲得、レイ・マーサーにKO勝ち、WBCの地域王座などを獲得。WBO王座を獲得したが、初防衛に失敗。再起後連勝でクリチコに挑戦するチャンス到来。


ビタリ・クリチコ 12R 判定 シャノン・ブリッグス

(WBC世界ヘビー級タイトル戦、2010年)

「ドレッドヘアー」シャノン・ブリッグス「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:クリチコがタイトル防衛。すっかりベテランになったブリッグス。これまで51勝(45KO)5敗1分。40勝(38KO)2敗の王者クリチコはキルギス出身でウクライナ国籍。WBO王者だったこともあるが、WBC王座獲得。ブリッグス戦は七度目の防衛戦となる。ドイツでの一戦。リングアナはマイケル・バッファ。クリチコのセコンドには弟ウラジミール。ゴング前、両者リング中央へ。威厳を感じる表情のクリチコ。ブリッグスは相手を挑発するような雰囲気。しかしながら、ここまで。共に左のガードを下げた構えからジャブ。動きのスピードは同じくらい(遅い)。体格差でクリチコ優勢。左を使いながら右ストレート、手打ち気味の左フックを当て、相手の攻撃はブロックやスウェーでかわす。ブリッグスは若手の頃のような攻める勢いが無い。受け身の姿勢のまま右を食い続ける。7R終了間際、右を打たれてグラつくブリッグス。クリチコのボクシングにはスピード感がないが、ワンツーにパワー。11R、ブリッグスの右カウンターがヒット。しかし、攻撃が続かず。12R終了。判定はフルマークの3-0。ジャッジの一人は15ポイント差を付けた。盛り上がりに欠けた世界ヘビー級王座戦。全くキレがなかったブリッグス。KOできなかったクリチコ。無意味な試合だったようにも見えた。その後の二人。クリチコは防衛を続け、王者のまま引退。現在(2024年)はウクライナ戦争で命を懸ける日々。ブリッグスはNABA王座を獲得するなど負け無し。攻撃重視すぎて世界王者としてはほとんど活躍できなかったが、活きのいいファイトぶりを見せた若手の頃が素晴らしかった選手である。) 

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