2023年12月4日月曜日

「遅咲きの実力者」フレディ・ペンドルトン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBF世界ライト級王者。リビングストン・ブランブル戦(再戦)、ホルヘ・パエス戦(IBF王座戦)ほかを紹介します。

フレディ・ペンドルトン(アメリカ)

身長173cm:オーソドックス(右構え)

フレディ・ペンドルトン 10R TKO リビングストン・ブランブル

(全米ライト級タイトル戦、1988年)

「遅咲きの実力者」フレディ・ペンドルトン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ペンドルトンがタイトル初防衛。フィラデルフィア出身のペンドルトン。ニックネームは「Fearless(恐れ無し)」。デビュー戦は判定負け。その後も思うように勝つことができず、勝ったり負けたり連敗したり。ただ、タイロン・トライス、フランキー・ランドール、ジミー・ポール、ロジャー・メイウェザーといった実力者と対戦して実力を付けていく。ペンシルベニア州王座(J・ウェルター級)、全米王座(ライト級戦)を獲得。そして、このブランブルとの防衛戦。ブランブルとは以前にも対戦して引き分け。決着なるか、といったところ。ブランブルはセントクリストファー・ネイビス連邦出身の黒人で、元WBA世界ライト級王者。レイ・マンシーニを二度に渡って下したことで有名。アトランチックシティでの興味深いテクニシャン対決(ペンドルトンは25歳、これまで21勝(12KO)15敗3分。ブランブルは27歳、26勝(17KO)2敗2分)。個性的なドレッドヘアーのブランブル。トランクスはマルチカラー。ペンドルトンはブルー。共にアップライトな姿勢からジャブ、右ストレート、左右フック。ペンドルトンがコンビネーション(左ボディからの左フック、右ストレートからの左フック、ほか)。ブランブルは右ストレート、フック連打。共にジャブが正確で、パワーのあるパンチ。4R、サウスポーにスイッチするペンドルトンだが、右フックを食う(中途半端なスイッチだった)。その後、一歩も引かない打ち合い。互いにディフェンス。9R、事態を打開するためか、ブランブルがサウスポーにスイッチ(コチラもあまり意味のないスイッチだった印象)。10R、突然レフェリーが試合中断。右マブタのキズをドクターチェックされるブランブル。試合終了。一進一退だったが、ペンドルトンが相手のキズで勝利、王座防衛。互いに良いパンチを打っていた好試合。ペンドルトンにとってラッキーな結果となったが、コンビネーションが光っていた。ブランブルは残念だったがその後、北米王座(J・ウェルター級)獲得。しかし、その王座を失って以降はオバ・カー、チャールズ・マレー、コンスタンチン・チューといった次世代のホープに負けることが多くなっていった。)


フレディ・ペンドルトン 12R 判定 ホルヘ・パエス

(IBF世界ライト級タイトル戦、1993年)

「遅咲きの実力者」フレディ・ペンドルトン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:ワンツーでパエスがダウン

4R:左フックでパエスがダウン

(感想:ペンドルトンがタイトル初防衛。ブランブル戦後、パーネル・ウィテカーのIBF世界ライト級王座に挑戦して判定負けしたペンドルトン。その後、連勝。空位となったIBF王座をトレーシー・スパンと争ってドロー。再戦に勝利して世界王者に。そしてパエスと初防衛戦。IBF6位の挑戦者パエス(メキシコ)は元IBF・WBO世界フェザー級王者。王座を返上して上の階級を狙ってきたが、トニー・ロペス、ウィテカーに敗北して二階級制覇ならず。新王者ペンドルトンに挑戦。ラスベガス「シーザース・パレス」での一戦。なかなか個性的なパエス。髪のサイドを白黒のタイル風に刈り込み、トランクスはメキシコ国旗をイメージしたキラキラしたロング。ペンドルトンもキラキラした赤のトランクスで派手(見た目が地味なペンドルトン。その分、トランクスでアピール)。1R開始から両者の違いが明らかに。伸びのあるパンチを使うペンドルトン。ワンツーでパエスをダウンさせる。パエスは結構しぶとい。パワーでは劣るが前進し、パンチを当てる巧さを発揮。1R終了後、ニラみ合い。2R、パエスが頬から出血。接近戦。互いのストレート、フックがヒット。打たれてペンドルトンがクリンチに逃げるシーンも。3R終了後、ペンドルトンがエキサイト。それをおちょくるパエス。4R、打ち合いの中、左フックでパエスがダウン。それでも前に出るパエス。7R、ペンドルトンが足で距離を取ってジャブ、右カウンター。その後もパエスはペンドルトンを挑発しながら攻めるが、テクニック&パワーでペンドルトンが全体的に優勢。12R終了。判定は3-0。ペンドルトンが右ストレート、左フックで勝利。パワーに差があった。パエスはよく頑張ったが、ペンドルトンを倒せるほどのパワーは無かった印象。その後もパエスは多くの試合。しかし、パワー不足。オスカー・デラ・ホーヤのWBO世界ライト級王座に挑戦して2RでKO負け。WBCの地域王座(J・ライト級)を獲得する活躍はあったが、世界王座に返り咲くことはなかった。)


ジェームス・ペイジ 11R TKO フレディ・ペンドルトン

(WBA世界ウェルター級タイトル戦、1999年)

「遅咲きの実力者」フレディ・ペンドルトン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

11R:左ジャブ、左フックで2度、ペンドルトンがダウン

(感想:ペイジがタイトル防衛。パエスを破って世界王座の防衛に成功したペンドルトンだが、その次の防衛戦で若手のラファエル・ルエラスに不運な敗戦、王座陥落(ペンドルトンが勝っていた、という声も)。その後、全米王座(J・ウェルター級)獲得。フェリックス・トリニダードのIBF世界ウェルター級王座に挑戦したが、これはさすがに無理がありKO負け。ビンス・フィリップスのIBF世界J・ウェルター級王座への挑戦もTKO負け。全米王座(J・ウェルター級)戦にも敗北。これまで44勝(32KO)23敗4分、36歳。勢いがあるとは言えない状況で世界ウェルター級王座挑戦の二度目のチャンスを得た。王者ペイジ(28歳)はピッツバーグの黒人。24勝(18KO)3敗。これが三度目の防衛戦となる。ラスベガスでの一戦(会場ではジョニー・タピアが観戦)。動きが良いペンドルトン。距離を取ってジャブ、ワンツー。パンチには勢いとパワーがある。ペイジ(セコンドに元世界王者バディ・マクガート)はブロックしながら前進。右ストレート、左右フック。動きはそれほど速くないが強いパンチをしっかり当てようとするジョージ・フォアマンのようなタイプ。1Rから左フックを当てるなどパワーで優勢。ペンドルトンは相手を挑発する動きを見せるが、ペイジはこれに乗らず。3R、ペンドルトンの右がヒットしてペイジがクリンチに逃げる。なかなか右ストレート、左ボディ打ちがパワフルなペンドルトン。8Rには右フックで優勢。9R、右を食ったペイジがクリンチ。10Rはペイジがパワーで挽回。11R、ボディへの左ジャブでペンドルトンがダウン。それでも打ち返すペンドルトンだが、右アッパーからの左フックを食って二度目のダウン。カウント中にレフェリー(ジョー・コルテス)は試合を止めた。ペイジが身体全体のパワーで勝利。打たれてクリンチするシーンもあったが、耐えられるレベルのダメージだった。ペンドルトンは残念。良いパンチを打っていたが、ウェルターでは体格的、年齢的に厳しかったか。その後のペイジ。防衛戦を行わなかったことにより王座剥奪。試合から遠ざかっていたが、空位になっていたWBA王座の決定戦に出場。これに敗れ、王座奪回ならず。そして銀行強盗で逮捕されて服役。出所後、カムバックしたがまたしても罪を犯し、刑務所へ。何とも残念な人。彼にとってボクシングの世界王座は何の意味も価値もなかったのだろうか?)


フレディ・ペンドルトン 1R TKO オラシオ・ガルシア

(IBAアメリカス・ウェルター級タイトル戦、2001年)

「遅咲きの実力者」フレディ・ペンドルトン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:右カウンターでガルシアがダウン

(感想:ペンドルトンがタイトル獲得。リングに上がり続けるペンドルトン。マイナー団体の王座に挑戦。これまで12勝(9KO)3敗1分の王者ガルシア(28歳)はカリフォルニア州サクラメント出身の黒人。同じ出身の人気者トニー・ロペスには敗れたがその後、アメリカス王座獲得。これが二度目の防衛戦となる。カリフォルニアでの一戦。スキンヘッドのガルシア(強そうな顔)。ガードを固めてジャブ連打。ペンドルトンはまず最初に右フックをかまして先制。そしてジャブ連打。似たタイプの二人。ジャブ、ワンツー。そしてペンドルトンの痛烈な右カウンターでガルシアがダウン。カウントされるが立てそうもない状態であったためレフェリーは試合を止めた。「老雄」と言ってもいいペンドルトンが豪快なKO勝ち、年齢を感じさせないパワーを見せた。ガルシアは残念。強いのかそうでないのか、どんな武器を持っているのか、などがわからないうちに負けてしまった。その後の二人。ガルシアはこの試合の後、ブランク。カムバックしたが勝ったり負けたり。ペンドルトンは次の試合でリッキー・ハットンとWBU王座(スーパーライト級)を争ってKO負け。それが最後の試合に。IBF王座を失った後は世界王座に返り咲くことはなかったペンドルトン。実力は確かにあったが、「スター選手」とまではいかなかった。引退後の2011年、フロリダ州のボクシング殿堂入りが認められた。)

 

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