2023年12月22日金曜日

「荒っぽい左強打」フリオ・セサール・バスケス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBA世界J・ミドル級王者。世界王座奪回&その後。カール・ダニエルズ戦、ローレン・ブドアニ戦ほかを紹介します。

フリオ・セサール・バスケス(アルゼンチン)

身長179cm:サウスポー

フリオ・セサール・バスケス 11R KO カール・ダニエルズ

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1995年)

「荒っぽい左強打」フリオ・セサール・バスケス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:左ストレートでバスケスがダウン

11R:左ストレートでダニエルズがダウン

(感想:バスケスがタイトル奪回。10度の防衛に成功後、パーネル・ウィテカーにWBA世界J・ミドル級王座を奪われたバスケス。再起二連勝で王座奪回のチャンス到来。王者ダニエルズはペンシルベニア州フィラデルフィア出身。アマチュア時代は軽量級(フライ級、フェザー級)で活躍(大会での優勝経験も)。プロ入り後は連戦連勝。全勝のままテリー・ノリスのWBC世界J・ミドル級王座に挑戦したが、9RでKO負け(1992年)。その後、勝ち続け、王座決定戦でWBA王座を獲得。そして、バスケスと初防衛戦。フィラデルフィアでの一戦。共にサウスポー。ボクサータイプのダニエルズ。機敏な動き。距離を取って正確な右ジャブ。ワンツーからの突き上げるような右フックが印象的。バスケスはジャブを連打し、得意の左強打。接近してボディ攻め。いつものように腕力で相手を制圧しようとする。互いにブロックなどのディフェンス。3R、左ストレートでバスケスがダウン。4R、互いにラフなところがある二人。もつれ合って転倒。その後も前に出るバスケスだが、空転。ダニエルズが巧くディフェンスしてジャブをヒットさせる。そして11R。足を使うダニエルズにバスケスが左ストレート。ダウンしたダニエルズは立ったが、足がふらついておりKO。一撃で決着。10Rまでのスコアカードによるとダニエルズがポイントでリード。衝撃の逆転KO。パンチのある選手の試合は最後までわからない。パワーのある選手は最後まで諦めてはいけない、ということか。その後、ダニエルズは全米王座・北米王座を獲る活躍を見せたが、世界王座奪回を目指した試合で敗北したり、バーナード・ホプキンスの世界ミドル級王座に挑んで敗北したり。全盛を過ぎた後もリングに上がり続け、負けが多くなっていった。)


ローレン・ブドアニ 5R TKO フリオ・セサール・バスケス

(WBA世界J・ミドル級タイトル戦、1996年)

「荒っぽい左強打」フリオ・セサール・バスケス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:右フック、右ストレートで2度、バスケスがダウン

(感想:ブドアニがタイトル獲得。バスケスの奪回した王座の初防衛戦。挑戦者ブドアニはフランス人。ソウル・オリンピック(1988年)ではウェルター級で銀メダル(決勝でロバート・ワンギラにKO負け。ワンギラはプロでは大成できなかった)。プロ入り後、連勝だったがギルバート・バプティストにTKO負け、初黒星(バプティストはブードゥアニ戦後、ジャンフランコ・ロッシのIBF世界J・ミドル級王座、ジェラルド・マクラレンのWBC世界ミドル級王座に挑戦して敗北。世界王者にはなれなかった)。欧州J・ミドル級王座を獲得したが、三度目の防衛戦に失敗。その後は欧州王座を奪回するなど連勝中。フランスでの一戦。アップライトスタイルのブドアニ。ジャブ、右ストレート。バスケスが左で接近。基本的に距離を取りたいブドアニはディフェンスしながら応戦。右フックを時折ヒットさせる。4R、バスケスの左ストレートがクリーンヒット。5Rも攻めるバスケスだが、前に出たところを右フックでカウンターされてダウン。かなり痛烈なダウンでダメージ。立ったが、今度は右ストレートで二度目。レフェリーは直ちに試合を止めた。ブドアニが力強い勝ち方。ボクサータイプではあるが、バスケスに負けないほどコブシが強いようだ。バスケスも力強かったが、やはりワンパターンなところがある。巧く隙を突かれてしまった。ブドアニはその後も王座を防衛。(ピークを過ぎた)テリー・ノリスにも勝利した。)

   

フリオ・セサール・バスケス 8R 判定 ラウル・セナ

(S・ミドル級戦、1998年)

「荒っぽい左強打」フリオ・セサール・バスケス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ブドアニに王座を奪われたバスケスの再起四戦目。セナは元アルゼンチン王者(ミドル級)。このところ連敗中。アルゼンチンでの一戦。スピードがあるバスケス。いつものように右ジャブ、左パンチ。セナは相手を異常に警戒してひたすら足で距離を取り、ワンツー、フック、クリンチ。打ち合いを避けるセナ。バスケスは左右フックボディ打ち、左ストレートに良いものがあるが逃げる相手を追い詰めることができない(全盛期もそうだった)。8R終了。会場のファンはほぼノーリアクション。判定は3-0。どうやらセナは「KOされないようにすること」が試合の目的だったようだ。次の試合にも敗れて引退。)


ロビン・リード 12R 判定 フリオ・セサール・バスケス

(WBF S・ミドル級タイトル戦、2001年)

「荒っぽい左強打」フリオ・セサール・バスケス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:リードがタイトル防衛。このところ試合間隔が長くなっているバスケス。この2001年初試合は年末(12月)。マイナー団体の王座に挑戦。リード(イギリス)は「Grim Reaper(死神)」と呼ばれる黒人とのハーフ(凄いアダナであるが、そんな凄味のある選手ではない)。アマチュアでは思うような結果を出せないことが多かったようだが、バルセロナ・オリンピック(1992年)にライトミドル級で出場し、銅メダル。プロデビューから無敗でWBC世界S・ミドル級王座獲得。判定負けで初黒星、王座陥落。決定戦でWBF王座を獲得し、連続防衛中。英国コヴェントリーでの一戦。アップライトスタイルからジャブ、右ストレートのリード。ローレン・ブドアニに似たタイプ。バスケスは変わらない。前進して左を当てようと狙う。2R、クリンチ中のラフな行為に対し、レフェリーは両者に警告。3R、リードが悪質な頭突き(「死神」というのはそういう意味?)。その後、リードがディフェンスしながらジャブ、右でカウンターを取る。バスケスはクリンチされて不発。7R、サウスポーにスイッチするリードだが、単に「当てるだけのパンチ」で強さは感じられず。10R、リードが右フック、ボディ連打で優勢。12R終了。判定は3-0。リードが当てるテクニックで勝利。バスケスの左狙い戦法をよく研究したと思われる試合ぶりだった。その後の二人。リードはWBA・IBFの世界S・ミドル級王座を狙ったが、敗北。メジャー王者に返り咲きならず。バスケスは地域王座戦に多く出場したが、負けが多くなっていった。バスケスはWBA王座を獲得した二試合、ロナルド・ライトを破って王座を防衛した試合が彼らしくて良かったと個人的に思う。)

フリオ・セサール・バスケス①

アマウリ・モゲア戦、ファン・ラモン・メディナ・パディージャ戦、リカルド・ヌネス戦、ロナルド・ライト戦

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