2023年11月29日水曜日

「ブルドッグ」スコッティ・オルソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

IBO世界フライ級王者。小柄ながら凄まじいパワー。ダドイ・アンデュハル戦、ホセ・ルイス・セペダ戦ほかを紹介します。

スコッティ・オルソン(カナダ)

身長153cm:オーソドックス(右構え)

スコッティ・オルソン 10R 判定 ダドイ・アンデュハル

(フライ級戦、1991年)

「ブルドッグ」スコッティ・オルソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:カナダのオルソン。背は低いがパワーで勝負するファイター。ニックネームは「ブルドッグ」(顔立ちとパワーを表現したものと思われる)。アマチュアで活躍。しかし、ソウル五輪(1988年)ではプロでもライバル関係になるマイケル・カルバハルに敗北。プロ転向。アメリカを主戦場にパワーでKOの山を築き、これまで15連勝(12KO)。アンデュハルはフィリピン人で38勝(12KO)7敗2分。プロデビューは1984年。後に世界王者になるローランド・ボホール、ルイシト・エスピノサに勝利(再戦はエスピノサ勝利)。しかし、その後は苦戦。トーサク・ポングスパとWBCインター王座(J・バンタム級)を争って敗北している。モンタナ州ビュートでの一戦。互いにジャブ。ガードを固めて前進するオルソン。右ストレート、フックにパワーを込める。アンデュハルは正統派。足で距離を取りながら速いジャブ、ワンツー、キレのある左フック。パワーのオルソン、キレのアンデュハル、といった勝負。接近戦でフックをボディに叩きつけるオルソン。アンデュハルはブロックしながら応戦。ボクサータイプだが、パワーもあるアンデュハル。左フックからの右ストレート、右アッパー。オルソンが打たれてクリンチに逃げるシーンも。終盤、クリンチしながらボディを攻めるオルソン。アンデュハルは受け身の姿勢。10R終了。判定は2-1。オルソンが攻める姿勢で勝利。アンデュハルは残念。この人はあまり攻める意志が無い。これまでKO数が少ないが、それが理解できる試合ぶり。実力は間違いなくあるが、試合姿勢がもったいない。後、アンデュハルはジュニア・ジョーンズの全米バンタム級王座、ビクトル・ラバナレスのWBC世界バンタム級王座に挑戦したが勝てず。タフだったが、トップクラスには及ばなかった。)


スコッティ・オルソン 2R TKO フーベンティノ・デルガド

(フライ級戦、1991年)

「ブルドッグ」スコッティ・オルソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:連勝を続けるオルソン(WBOフライ級7位)。しかし、打たれてピンチになるなど意外な打たれ弱さを見せたことも。デルガドはメキシカン。TV映像には「17勝(5KO)9敗」とあるが、「BOXREC」の記録では勝ち星が無い謎の選手(負けてばかりの「かませ犬」らしい)。ラスベガスでの一戦。細かくジャブを連打するデルガド。右ストレートは悪くないが、突っ立った状態で打つため打った後のディフェンスに甘さ。オルソンはジャブで前進し、右ストレート、ボディ打ち。ちょっと狙いすぎではあるが、右ストレートからの左フックに迫力。2R、左ボディが効いたデルガド。戦意喪失。レフェリー(リチャード・スティール)は試合を止めた。オルソンがパワーで勝利。ディフェンスの甘い二線級の選手には強い。勝ってもあまり自慢にならない相手だった。そろそろタイトルを懸けた試合をすべき、といった状況になった。)  


ホセ・ルイス・セペダ 12R 判定 スコッティ・オルソン

(全米フライ級タイトル戦、1992年)

「ブルドッグ」スコッティ・オルソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:セペダがタイトル獲得。全勝を続け、全米フライ級王者になったオルソン。これまで23連勝(18KO)。メキシコの実力者と防衛戦。セペダは22勝(19KO)11敗2分。負け数が多いが、ウンベルト・ゴンザレス、リカルド・ロペスと戦ったことがあり、WBC米大陸王座(ストロー級)を獲得している。アリゾナ州フェニックスでの一戦。オルソンのセコンドに元WBA世界バンタム級王者リッチー・サンドバル、セペダには元WBC世界バンタム級王者ルペ・ピントールが付く。ゴング。開始から接近戦。互いにジャブ、右ストレート、左右フック、ボディ打ち。階級が上のオルソンを相手になかなか度胸があるセペダ。オルソンのパワーに手数で対抗。我慢比べのような打撃戦が続く。一進一退。右フックにパワーがあるオルソン。セペダは右フックからの左フック、右アッパーからの左フックといったコンビネーション。激しく打ち合い、12R終了。判定は2-0。セペダの手数が評価されたか。オルソンもパワーがあって悪くはなかったが、初黒星。個人的には引き分けが妥当なような気もする。その後の二人。セペダはこの勝利により二連続でIBF世界フライ級王座に挑戦したが勝てず。ラストファイトはWBC世界ミニマム級王座への挑戦で、KO負け。チャンスに恵まれたが、世界王座には手が届かなかった。オルソンは再び連勝したがホルヘ・ルイス・ローマン(あのヒルベルト・ローマンの弟)に判定負けで二敗目。その再起戦でIBO世界フライ級王座獲得(個人的には「IBO」を「世界王座認定団体」扱いするのには抵抗がある。WBAやWBCと同格とは思えないため)。そして因縁のマイケル・カルバハルと空位のIBA王座(J・フライ級)を懸けて対戦したが、オルソン初のKO負け(1997年)。その後はIBO王座防衛。マイナーな存在で終わってしまったが、パワーはメジャー級。一発一発強く打つため、打ち終わった後、攻撃がとぎれてしまうのが彼の欠点。もう少し流れるような攻撃ができれば大きな王座も獲れたのでは? 引退後は心臓発作で危険な状態に陥ったが、回復したようだ。)

 

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