世界フェザー級王者。世界王座獲得&防衛戦。トロイ・ドーシー戦、ファブリツィオ・カッパイ戦、ムッサ・サンガール戦を紹介します。
マヌエル・メディナ(メキシコ)
身長173cm:オーソドックス(右構え)
①マヌエル・メディナ 12R 判定 トロイ・ドーシー
(IBF世界フェザー級タイトル戦、1991年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレートでメディナがダウン
3R:右ストレートでメディナがダウン
(感想:メディナがタイトル獲得。細かくジャブを連打し、ワンツー。そのしつこい攻めと軽快な動きでWBC・IBF・WBOの世界フェザー級王座を獲得したメディナ。ニックネームは「Mantecas(マンティカス)」(英語で言うところの「Lard(油)」)。彼の「滑らかな動き」を例えたものだが、そういう例えをされる選手はパワーと迫力に欠けることが多い。アマチュアで少し経験を積んで14歳でプロ入り。敗北はあったが経験を積み、WBAのインター王座(J・ライト級)を獲得、防衛。元世界王者スティーブ・クルスを破る金星。そして「IBF4位」としてドーシーに挑戦。王者ドーシーはキックボクシングの元世界王者でもあるハードパンチャー。ホルヘ・パエスと激戦を繰り広げたが、世界王座獲得ならず。王座決定戦で相手を病院送りにしてIBF王座獲得(右ストレートでのワンパンチKO勝ち)。これが初防衛戦となる。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦。自慢の右強打で攻めるドーシー。メディナは足のスタンスを広くとってジャブ、ストレート。2R、突き刺すように打ったドーシーの右ストレートでメディナがダウン。3R、右ストレートがカウンターとなってメディナがダウン。その後は、攻めるドーシー、軽いが速い連打で応戦するメディナ。意外に器用なメディナ。細かいパンチでドーシーの右目あたりから出血させ、連打で圧倒するシーンも。12R終了。判定は3-0。メディナが二度ダウンを奪われながらも逆転勝ち。ドーシーはパエスに敗れるなど王者になるのに時間がかかり、ようやく王座を手に入れたところだったが初防衛に失敗。パワーはあるが、不器用なドーシー。その後、新星オスカー・デラ・ホーヤに敗れるなどトップ戦線から脱落したが、マイナー王座IBOのJ・ライト級王座を獲得した。)
②マヌエル・メディナ 11R TKO ファブリツィオ・カッパイ
(IBF世界フェザー級タイトル戦、1992年)
(ダウンシーン)
10R:右ストレートでカッパイがダウン
(感想:メディナがタイトル防衛。三度目の防衛戦。IBF11位の挑戦者カッパイはイタリアン。アマチュアではバンタム級で活躍(国内王者になった)。プロではこれまで全勝。試合は全て地元で行ってきた(結局、全キャリア地元だった)。これが初の王座戦となる。イタリア・シチリア島のカーポ・ドルランドでの一戦。気が強そうな顔立ちのカッパイ(ピューマ渡久地に似ている。体型も)。ジャブを使うことなく相手の懐に飛び込んで右ストレート、左フック。接近して左右フックを闇雲に連打。疲れそうな戦い方。ただし、パンチには思い切りの良さがある。メディナはパターンを持っている。アップライトな構えで足のスタンスを広く取り、テンポ良くジャブ、ワンツー。接近してフックを連打するカッパイだが、メディナは足を使ってかわす。パンチが当たらないのにイラついているのか、カッパイはクリンチ中にラフなパンチ。5R、カッパイがバッティングで負傷。9Rには二度のスリップダウン。10R、メディナがワンツー、左右フック連打。ロープを背負うカッパイがボディに右ストレートを打たれてダウン。立ったカッパイにメディナが畳み掛ける連打。このラウンド終了後、カッパイは棄権。メディナがアウトボクシングで勝利。それにしてももどかしかったカッパイ。ジャブを使わないため接近しては空転してクリンチ。待ち構えている相手に攻撃をかわされ続けた。その後、カッパイはイタリア王座(フェザー級)を獲得したが、初防衛戦に敗北。ローカルな活躍にとどまった。)
③マヌエル・メディナ 12R 判定 ムッサ・サンガール
(IBF世界フェザー級タイトル戦、1992年)
(感想:メディナがタイトル防衛。四度目の防衛戦。IBF12位の挑戦者サンガールはアフリカ・マリ出身の黒人で、フランス国籍を持つ。1980年のモスクワ・オリンピックにバンタム級で出場(メダルは獲得ならず)。プロ入りしたが、意外なことに勝ったり負けたり(普通「アマチュア・エリート」は相手を選んで連戦連勝で上を目指すことが多い)。その後、ファブリス・ベニシュをTKOで下して連勝街道。レジリオ・ツール(後のWBO世界J・ライト級王者)にKO負け。このところ二連勝であるが、王座を獲得したことはまだない。フランス・グラヴリーヌでの一戦。ガードを上げてジャブ連打、右ストレートのサンガール。メディナはワンツー、左フック。テンポの良い二人。手数も多く、速いパンチで積極的。似たタイプの二人であるが、ディフェンスとパンチを当てるテクニックで僅かにメディナが上回る。6R、メディナの左フックがヒット。7R、サンガールが右ストレートを当てる。接近戦ではメディナの細かいパンチ、サンガールの左フックが有効。競った内容のまま12R終了。判定は2-0。ジャブでメディナが競り勝った印象。共にパンチは軽めだったが、その分、手数が多く、会場のファンがスタンディング・オベーションしたほどの好試合となった。その後の二人。サンガールは主にフランスで試合。WBCインター王座(J・ライト級)を獲得。ただし、二度目の世界挑戦は無かった(残念)。息子もアマチュアボクサーとして活躍。メディナはこの次の防衛戦でトム・ジョンソンに敗北、王座陥落。しかし、そこからが凄かった。実にしぶといキャリア。ファン・モリナのIBF世界J・ライト級王座への挑戦は失敗に終わったが、フェザー級で何度も世界王者に。パンチが無いため王者としては短命に終わったが、こういう選手もなかなか面白い。個人的には一番キレがあった頃のドーシー戦が彼のベストだと考える。)
メディナの世界戦
1991年
トロイ・ドーシー IBF世界フェザー級王座獲得
トム・ジョンソン 初防衛
1992年
ファブリス・ベニシュ 二度目の防衛
ファブリツィオ・カッパイ 三度目の防衛
ムーサ・サンガール 四度目の防衛
1993年
トム・ジョンソン IBF世界フェザー級王座陥落
ファン・モリナ IBF世界J・ライト級王座挑戦、敗北
1995年
トム・ジョンソン IBF世界フェザー級王座挑戦、敗北
アレハンドロ・ゴンザレス WBC世界フェザー級王座獲得
ルイシト小泉 WBC世界フェザー級王座陥落
1996年
ナジーム・ハメド WBO世界フェザー級王座挑戦、敗北
1997年
ルイシト小泉 WBC世界フェザー級王座挑戦、敗北
1998年
ヘクター・リザラガ IBF世界フェザー級王座獲得
1999年
ビクトル・ポロ 初防衛
ポール・イングル IBF世界フェザー級王座陥落
2001年
フランキー・トレド IBF世界フェザー級王座獲得
2002年
ジョニー・タピア IBF世界フェザー級王座陥落
2003年
ファン・マヌエル・マルケス IBF世界フェザー級王座決定戦、敗北
スコット・ハリソン WBO世界フェザー級王座獲得
スコット・ハリソンWBO世界フェザー級王座陥落
2006年
カシアス・バロイ IBF世界S・フェザー級王座決定戦、敗北
0 件のコメント:
コメントを投稿