2023年11月27日月曜日

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界バンタム級王者。世界王座戦。辰吉丈一郎戦(初戦・再戦)、ダドイ・アンデュハル戦、辺丁一戦ほかを紹介します。

ビクトル・ラバナレス(メキシコ)

身長164cm:オーソドックス(右構え)

ビクトル・ラバナレス 9R TKO 辰吉丈一郎

(WBC世界バンタム級王座統一戦、1992年)

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ラバナレスが正規タイトル獲得。正規王者の辰吉と暫定王者ラバナレスの「統一戦」。辰吉の目の負傷により暫定王座が設定され、その王座に就いたラバナレス。辰吉に勝って「真の王者」になりたいところ。大阪での一戦。速いジャブの辰吉。しかし、1Rからラバナレスの変則的なフックを食う。そのまま辰吉は荒っぽいフックをもらい続け、9Rにレフェリーストップ。ラバナレスがラフな攻撃スタイルで辰吉のキレイなボクシングを制圧。これまで無敗の辰吉が打たれて足に来ている姿は当時のファンにはショッキングなものがあった。バズーカ・リモン(元WBC世界J・ライト級王者。荒っぽいハードパンチが売り物だった)ばりに振り回すラバナレスの風車のようなフック連打はブランクのある辰吉には厳しいパンチだった。後に両者は再戦。)


ビクトル・ラバナレス 12R 判定 ダドイ・アンデュハル

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1993年)

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ラバナレスがタイトル防衛。正規王者になったラバナレスの防衛戦(暫定王者が正規王者に勝った場合は暫定王者時代の防衛回数を「正規王座の防衛回数」としてカウントするらしい。ラバナレスの場合は暫定王座を三度防衛しているため、アンデュハル戦は四度目の防衛戦となる)。WBC9位の挑戦者アンデュハルはフィリピン人。ベテラン選手で、デビューは1984年。後に世界王者になるローランド・ボホール、ルイシト・エスピノサに勝利(再戦はエスピノサ勝利)。しかし、その後は苦戦。トーサク・ポングスパとWBCインター王座(J・バンタム級)を争って敗北。強打者スコッティ・オルソン、ジュニア・ジョーンズ(全米バンタム級王座戦)にアメリカで敗北。あまり勢いがあるとは言えない状況でラバナレスの世界王座に挑戦するチャンスを得た。カリフォルニア「グレート・ウェスタン・フォーラム」での一戦。口ヒゲのアンデュハルは正統派。基本的に距離を取ってジャブ、ワンツー。ラバナレスはブロックしながら前進。接近戦。荒っぽいラバナレス。左右フック、ボディ打ち。しゃくるようにカチ上げるアッパー気味のフックも効果的。2R、バッティングでラバナレスが古傷から出血。その後も接近戦。両者タフ。意外にディフェンスが巧いラバナレスが連打で優勢。しかしながら、アンデュハルはラバナレスの粗い攻めに慣れてきたのか、激しく打ち返す。一進一退。ラバナレスは出血のハンデ。激しい打撃戦が続いて12R終了。観客はスタンディング・オベーション。判定は3-0。当てる巧さとディフェンスでラバナレス。意外にポイント差があったが、細かい差の積み重ねによるもの。かなりの接戦だった。アンデュハルはその後、二試合やって引退した。)


辺丁一 12R 判定 ビクトル・ラバナレス

(WBC世界バンタム級タイトル戦、1993年)

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:辺がタイトル獲得。WBC7位の挑戦者、辺はソウル・オリンピック(1988年)で「座り込み抗議」をしたサウスポー。アマチュアで好成績。プロ入り後はプロ向きのスタイルに。J・バンタム級だったが階級を上げ、地元韓国で王者ラバナレスに挑戦。プロでトップに立てるかどうか、といったところ。試合開始。ラバナレスがジャブ、左右フックを使う。辺はディフェンスしながらジャブ、左ストレート、右フック。パンチの振りが大きいラバナレス。丁寧な辺は左パンチとディフェンスの手堅いボクシング。判定は3-0。打ち合ってくれる相手には強いラバナレス。10Rに右フックを決めるなどしたが、やはりパンチを粗く振り回すボクシングでは限界があった。辺はクレバー。ラバナレスのような「強打されても倒れないタフ男」とは打ち合うべきではない。接近戦でも打ち合わず、ディフェンスしながら正確にパンチをヒットさせた。)


辰吉丈一郎 12R 判定 ビクトル・ラバナレス

(WBC世界バンタム級暫定王座決定戦、1993年)

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:辰吉がタイトル獲得。辺丁一に王座を奪われたラバナレス。王者の辺が負傷したため、またしても「暫定王座」が復活。辰吉とその王座を懸けて再戦。大阪での一戦(前回も大阪。ただし、会場は違う)。レフェリーは初戦と同じくリチャード・スティール。辰吉がディフェンスしながらスピーディーにジャブ、連打。ラバナレスは乱打。1Rから最終ラウンドまで打ち合い。判定は2-1。ギリギリで辰吉。パンチの正確さが評価されたか。ラバナレスは雑にパンチを振り回すタイプだが当てるのが意外に巧い。ジャブも強く、実戦で鍛えられた強いファイター。しかしながら、振りの大きいパンチは隙も大きい。丁寧に戦う相手には弱いところがあった。一方の辰吉。暫定王座を獲得したが、正規王者の薬師寺保栄と統一戦を行い、判定負け。タイのシリモンコンを破ってWBC王座を奪回するまでかなり苦労した。)

   

ウェイン・マッカラー 12R 判定 ビクトル・ラバナレス

(北米バンタム級タイトル戦、WBC世界バンタム級挑戦者決定戦、1994年)

「ラカンドンのラフファイター」ビクトル・ラバナレス②「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:マッカラーがタイトル防衛。辰吉に敗れたラバナレス。再起戦に判定勝ちしてマッカラーと重要な試合。マッカラーは北アイルランド・ベルファスト出身。8歳の時、兄に誘われてジムに。アマチュアでは300戦以上を経験し、バルセロナ五輪ではバンタム級で銀メダル(金メダルはキューバのホエール・カサマヨール。プロでも世界王者になった)。ニックネームは「Pocket Rocket」(「まるでロケット砲のように強いパンチを連打する男」という意味らしい)。アメリカを主戦場にこれまで12戦全勝(11KO)、WBC3位。元世界王者でWBC1位のラバナレスに勝ってWBC世界バンタム級タイトルに挑戦できるかどうか? アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦。1Rから打ち合い。ラバナレスが振りの大きいフックで攻撃。マッカラーはディフェンスしながらジャブ、右ストレート、左フック。時折、ラバナレスの大きなフックがヒット。ラスト3Rはラバナレスが優勢か。判定は3-0。マッカラーのジャブが評価されたらしい。マッカラーの丁寧なボクシングは素晴らしいものだと思うが、パワーはあまり感じられなかった。しかしながら、相手は危険なラバナレス。とりあえず勝てばよし、といったところ。一方、大きな試合を落としたラバナレス。再起戦でナナ・コナドゥにも判定負け(コナドゥは当時、元WBC世界J・バンタム級王者。その後、WBA世界バンタム級王座獲得、二階級制覇)。1997年にシリモンコンのWBC世界バンタム級王座に挑戦して判定負け。それが最後の世界戦に。その後もリングに上がり続けて地域王座に挑戦するなどタフなところを見せた。ラストファイトは2003年。2001年には日本で総合格闘技の試合に出たが、あっけなく敗北。引退後は浪費や無謀な投資の結果、苦しい生活をしているという。)

グレグ・リチャードソン戦、李勇勲戦、ルイス・アルベルト・オカンポ戦、呉張均戦

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