WBC世界ミニマム級王者。世界戦のフアン・パラシオス戦、ポンサワン・ポープラムック戦(再戦)ほかを紹介します。
オーレイドン・シスサマーチャイ(タイ)
身長161cm:サウスポー
①オーレイドン・シスサマーチャイ 12R 判定 オマール・ソト
(WBC世界ミニマム級王座挑戦者決定戦、2007年)
(感想:オーレイドンが挑戦権獲得。WBCユース王座(ミニマム級)を16度も防衛したオーレイドンがようやく世界の舞台に。ソトはプエルトリコ・アグアダ出身。身長は160cmで、オーレイドンとほぼ同じ。デビューから無敗でプエルトリコ王座、WBOラティノ王座(いずれもミニマム級)獲得。プエルトリコとアメリカで試合をしてきたが、初めてアジアに乗り込む。タイ・サラブリーでの一戦。ガードを固める両者。共にディフェンスしながら速いパンチの応酬。ソトは左ジャブ、ワンツー、回転の速い連打。オーレイドンは右ジャブ連打、左カウンター、連打。パワーは大体、同じぐらい。サウスポーのテクニックで少しだけオーレイドンが上か? 一進一退の互角の勝負のまま12R終了。判定は極めて僅差の2-1。共にパンチが速かった試合。ただ、速い分、「一発のパワー」は共にそこそこ。オーレイドンが当てるテクニックで少し上回ったようだ。その後のソト。WBC世界ミニマム級暫定王座に挑戦したが、TKO負け。WBC世界ライトフライ級王座、WBO世界ライトフライ級暫定王座への挑戦も勝てず。最後は負けに負けて引退。チャンスは与えられたが、世界王者になれず。パワーに問題があったか。)
②オーレイドン・シスサマーチャイ 12R 判定 フアン・パラシオス
(WBC世界ミニマム級王座統一戦、2009年)
(感想:オーレイドンがタイトル統一。同じタイのイーグル・デン・ジュンラパン(「イーグル京和」の名で日本でおなじみ)を下してWBC王者になったオーレイドンが四度目の防衛戦。パラシオスはニカラグア・マナグア出身。ニカラグア王座(ミニマム級)、WBCラティノ王座(ライトフライ級)獲得後、WBC世界ミニマム級王者ホセ・アントニオ・アギーレ(メキシコ)に挑戦したが、判定負け。その後、連勝してWBC世界ミニマム級暫定王座を獲得、防衛。正規王者オーレイドンと統一戦。タイ・ランシットでの一戦。両者、速いパンチ。坊主頭のパラシオスが突き刺すような左ジャブ、接近してストレート、フック。勢いがあるが、粗い攻め。オーレイドンは相手から距離を取って右ジャブ、左カウンター、連打で応戦したり、クリンチしたり。共にスピーディなため映像ではどちらが勝っているかがわかりにくいが、左カウンターなど細かいパンチを当てる巧さはオーレイドンの方が上か? 12R終了。判定は2-0。オーレイドンがギリギリの勝利。パラシオスはよく攻めたが、相手に接近しすぎたのではないか? クリンチになるシーンが多かったのが惜しい。その後のパラシオス。WBA世界ミニマム級暫定王座を獲得。その王座を計量失敗で剥奪されてからはサッパリ。勝ち星無しでキャリア終了。)
③オーレイドン・シスサマーチャイ 12R 引分 ポンサワン・ポープラムック
(WBC世界ミニマム級タイトル戦、2010年)
(ダウンシーン)
6R:右ストレートでオーレイドンがダウン
(感想:オーレイドンがタイトル防衛。六度目の防衛戦。挑戦者ポンサワンはタイ・タープラヤー出身。ムエタイの豊富な経験を引っ提げて国際式に転向。PABA王座(ミニマム級)を連続防衛するなどデビューから連勝。満を持しての世界初挑戦はドニー・ニエテスとのWBO世界ミニマム級王座決定戦。これに判定負け、初黒星。再起戦に勝利してオーレイドンに挑戦したが、判定負け。その再起戦でWBC世界ライトフライ級王者エドガル・ソーサに挑戦したが、TKO負け。再起戦に勝利して二度目のオーレイドンへの挑戦。短期間に多くのチャンスをもらってきたが、今度はどんな内容になるか? タイ・チェンマイでの再戦。ポンサワンは攻めの姿勢。左を使いながら右ストレート、フック。オーレイドンはいつものように相手から距離を取って右ジャブ、左カウンター、クリンチ。受け身の試合ぶりで見栄えは良くないが、微妙に細かくパンチをヒットさせる。共に動きのスピードはそこそこ。6Rにハプニング。追い込まれたオーレイドンが右ストレートでダウン。このとき左足を痛めたらしく、その後、苦戦(レフェリーによるスリップダウンのゼスチャーにポンサワン陣営が「試合終了」と勘違いして大喜びするシーンも)。攻めるポンサワン、何とかディフェンスするオーレイドン、のパターンで12R終了。判定はドロー。ディフェンス&当てるテクニックで王座を守ったオーレイドン。スピードもなく、ミニマム級で戦うのは限界か? ポンサワンはいかにもタイ人選手らしい攻め。よく鍛えられているが、攻めが単調。攻勢点では文句なしに勝っていたが・・・。その後のポンサワン。何と再起戦でムハンマド・ラクマンのWBA世界ミニマム級王座に挑戦。これに判定勝ち。しかし、ここまで。初防衛戦で八重樫東にTKO負け。再起四連勝後、宮崎亮とWBA世界ミニマム級王座決定戦を行って判定負け。それが最後の世界戦となった。)
その後のオーレイドン
次の防衛戦で井岡一翔に 5RでKO負け、王座陥落。敗因は「過酷な減量」とのこと。その後はスーパーフライ級に階級を上げてWBCのインター王座を獲得したりするなど勝ち続けたが、なぜか世界戦は無し。タイのボクサーにはよくあるパターン。格闘技大国タイでは世界戦でなくてもお客が入って興行が成り立つ、ということなのかもしれない。
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