2025年7月28日月曜日

「強打の英国人」ポール・ホドキンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界フェザー級王者。世界王者になる前のレイモンド・アルマンド戦、ピーター・ハリス戦(再戦)ほかを紹介します。


ポール・ホドキンソン(イギリス)

身長163cm:オーソドックス(右構え)


ポール・ホドキンソン 2R TKO レイモンド・アルマンド

(欧州フェザー級王座決定戦、1989年)

「強打の英国人」ポール・ホドキンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:左フック、左フック、右フックで3度、アルマンドがダウン

(感想:ホドキンソンがタイトル獲得。「いかにも英国人ボクサー」といった感じのホドキンソン。ジャブを連打してワンツー、左フック、の正統派。「ビートルズ」で有名なリバプール出身。アマチュアで国内王者になった後、プロ転向。無敗のまま英国王座(フェザー級)を獲得し、防衛にも成功。ワンランクアップで欧州王座を狙う。これまで13勝(12KO)1分、23歳。アルマンドはフランス・セーヌサンドニ出身。欧州J・ライト級王座に挑戦したときは2-0で敗北。後のIBF世界J・フェザー級王者ファブリス・ベニシュに判定勝ちしたが、その次の試合は判定負け。再起戦でホドキンソンと勝負。北アイルランド・ベルファストでの一戦。ガードを固めて前進するホドキンソン。速いジャブ、右ストレート。基本形はバリー・マグギガンに似ているが、ホドキンソンはショートフックに良さ(強くて正確であるうえにダブルで打ち込むバランスの良さ)。アルマンドは開始から足を使ってジャブ連打。相手から距離を取る作戦。2R、左フックでアルマンドがダウン。立ったが、またしても左フックで二度目のダウン。接近戦。対抗するアルマンドだが、右フックで三度目のダウン、KO。ホドキンソンが正確なパンチで快勝。強さだけではなく、タイミングを捉える巧さもあった。アルマンドは消極的。見た感じでは悪い選手ではなかったが、相手の勢いに押されたか。その後、アルマンドはシェリー・ジャコブ(後、WBC世界J・フェザー級王座獲得)らを相手に負けが込んで引退。)


ポール・ホドキンソン 9R TKO ピーター・ハリス

(欧州・英国フェザー級タイトル戦、1989年)

「強打の英国人」ポール・ホドキンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(感想:ホドキンソンがタイトル防衛。英国王座&欧州王座の二冠王ホドキンソン。前英国王者ハリスと再戦。初戦は12RでのTKOでホドキンソンが新英国王者に。再戦はどんな内容となるか? 挑戦者ハリス(27歳)はウェールズ・スウォンジー出身の白人で、これまで13勝(5KO)6敗2分。これがホドキンソンに敗れた再起戦となり、前回の試合から一年以上間が空いている。ウェールズのポート・タルボットでの一戦(レフェリーはジョン・コイル)。ホドキンソンがいつものように左手を忙しく動かしながらジャブで前進。開始から攻めの姿勢。ハリスはガッチリした身体でしっかりしたパンチを打つ男。攻めてくるホドキンソンにジャブ、左フック連打などで応戦。共にダッキングしながら力強いパンチ。しかしながら、ハリスは真っ直ぐ攻めるクセがあり、攻撃の時に微妙に打たれる。7R、サウスポーに少しチェンジしたホドキンソンだが、あまり意味無し。9R、ハリスが右目のドクターチェック。キズによりTKO、試合終了。ホドキンソンが積極さで勝利。ハリスは敗れたが、なかなかタフだった。その後のハリス。後のWBO王者スティーブ・ロビンソンに判定負け。ローカル王座(フェザー級)を獲得できたが、ウェルカム・ニシタ、ジンミ・ブレダルらに敗北。英国の実力者にとどまった。)    


ポール・ホドキンソン 8R TKO フアリ・ベンジェレ

(欧州フェザー級タイトル戦、1989年)

「強打の英国人」ポール・ホドキンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

8R:右フックでベンジェレがダウン

(感想:ホドキンソンがタイトル防衛。ハリス戦の次の試合。挑戦者ベンジェレ(29歳。綴りは「Farid Benredjeb」。読みにくい名だが、リングアナの発音によると「フアリ・ベンジェレ」だそうだ)はフランス人で、これまで25勝8敗2分。マウリシオ・ステッカに判定負け、ベルナルド・ピニャンゴとドロー、フランス王座(フェザー級)獲得、欧州フェザー級王座決定戦で2-1の敗北。それから五連勝で二度目の欧州王座挑戦。英国カークビーでの一戦。開始からジャブ、ストレート、フックの応酬。ベンジェレが右ストレートからの左フックなど。ホドキンソンは実に力強いコンビネーション(特に左フックが強く、左フックダブルからの右ストレート、右アッパーからの左フック、右ボディ打ちからの右アッパー、など)で手数。打ち返す勇敢なベンジェレだが、連打されて動きが止まるシーンも。8R、右フックでベンジェレがダウン。立ったが、正確な攻撃を食らってセコンドからタオル投入。ホドキンソンが素晴らしい攻めで勝利。マイク・タイソンのような激しいコンビネーションを精力的にぶちかましていった。ベンジェレも良い選手。負けたが、手数を出して反撃。より相手の方がエネルギッシュだったのが敗因。その後のベンジェレ。勝ったり負けたり。ラストファイト(1994年)の相手はジュリアン・ロルシー(後のWBA世界ライト級王者。畑山隆則に日本で勝利)で、判定負けだった。)


ポール・ホドキンソン 3R KO ガイ・ベルユーグ

(欧州フェザー級タイトル戦、1990年)

「強打の英国人」ポール・ホドキンソン「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

2R:右ストレートでベルユーグがダウン

3R:左フックでベルユーグがダウン

(感想:ホドキンソンがタイトル防衛。ベンジェレ戦後、マルコス・ビジャサナ(メキシコ)と空位のWBC世界フェザー級王座を争ったホドキンソンだが、ビジャサナの異常なタフさ&強打に屈してKO負け。再起戦は欧州王座防衛戦。挑戦者ベルユーグ(30歳)はフランス人で、これまで12勝(9KO)6敗。連勝しては連敗のキャリアだったが、フランス王座(フェザー級)獲得、二度の防衛。三連勝の勢いでホドキンソンに挑戦。英国ウェンブリーでの一戦。距離を取りながら速いジャブを出すベルユーグ。右フックからの左ジャブなどジャブの使い方が巧い。ホドキンソンはKO負けの影響を感じさせない攻め。ジャブで前進し、ストレート、得意のフック。2R、右ストレートでベルユーグがダウン。3R、強烈な左フックでベルユーグが大の字にダウン。その凄まじい倒れ方にセコンドが直ぐさまリングインして試合終了。ホドキンソンが豪快な勝利。ダウンを奪ったパンチはいずれもタイミングとパワーが良いものだった。ベルユーグは良いボクサー。しかし、長いパンチを使うため、ガードに隙があったようだ。その後のベルユーグ。フランス王座戦で活躍。最後は連勝で、王者のまま引退。)


その後のホドキンソン 

ベルユーグ戦の次の試合は一年以上間が空いて、ビジャサナとの再戦。判定で下してWBC王者に。スティーブ・クルス、ファブリス・ベニシュ、リカルド・セペダを相手に三度の防衛。四度目でグレゴリオ・ゴーヨ・バルガスにTKO負け、王座陥落。それから約一年後の再起戦はスティーブ・ロビンソンのWBO世界フェザー級王座への挑戦。これにKO負けで引退。思ったほど王者としては長続きしなかったが、フェザー級は競争が厳しい世界。あのビジャサナを破っただけでも充分「高評価」に値するだろう。 

 

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