WBA世界フェザー級王者。世界王者になる前の試合&防衛戦。オクタビオ・キニョネス戦、朴讃睦戦ほかを紹介します。
アントニオ・エスパラゴサ(ベネズエラ)
身長170cm:オーソドックス(右構え)
①アントニオ・エスパラゴサ 3R TKO オクタビオ・キニョネス
(J・ライト級戦、1987年)
(ダウンシーン)
3R:右ストレートで2度、キニョネスがダウン
(感想:「アルゲリョの再来」と呼ばれたほどの強打者だったエスパラゴサ。アマチュアで活躍し、1980年のモスクワ・オリンピックにフェザー級で出場(メダルは獲得ならず)。プロでは地元を中心とし、KO負けが一つあったがそれ以外は好調(ジョニー・デラ・ローサを3RでTKO)。キニョネス戦は初のアメリカでの試合。キニョネスは記録に乏しく、よくわからない選手。アメリカとメキシコで戦ってきた。アリゾナ州フェニックスでの一戦。ジャブ中心のエスパラゴサ。ディフェンスしながら前進し、打ち下ろすような右ストレート、やや振りが大きめのフック。右ストレートからの左ボディ打ちが特に強烈。キニョネスは相手から距離を取りながら右ストレート、大振りのフックで抵抗。3R、追い込まれるキニョネス。右ボディからの右ストレートでダウン。立ったが、右ストレートで再びダウン。セコンドが棄権を申し入れて試合終了。エスパラゴサが強打で快勝。肩を使ったディフェンスで相手の一発を巧くかわした。キニョネスは受け身の試合ぶり(どうせやられるならもっと積極的に攻めた方がよかったのでは?)。次の試合で後のIBF世界フェザー級王者トム・ジョンソンに判定負けして引退。)
②アントニオ・エスパラゴサ 10R KO パスカル・アランダ
(WBA世界フェザー級タイトル戦、1987年)
(ダウンシーン)
10R:左フックでアランダがダウン
(感想:エスパラゴサがタイトル初防衛。キニョネス戦の次の試合でスティーブ・クルスをKOしてWBA世界フェザー級王者になったエスパラゴサ。これまで24勝(17KO)1敗3分、27歳。アランダと初防衛戦。挑戦者アランダ(23歳)はテキサス州ヒューストン出身で、29勝(20KO)6敗1分。デビュー戦の相手がスティーブ・クルスで、1RでTKO負け。その後、中堅どころと対戦。カルビン・グローブにTKO負け、マイク・アヤラに判定負け(北米J・フェザー級王座戦)。このところ連勝中の勢いで世界挑戦。ヒューストンでの一戦。実に積極的なアランダ。接近して左右フック、ボディ連打。まるで日本の突貫ファイターのような攻め。エスパラゴサは王者になって変化。「受けて立つ」といった感じで相手から距離を取ってジャブ、ストレートカウンター。ただ、攻めるときは固いコブシで猛然と連打(例の打ち下ろすような右ストレート、左右フックほか)。3R、強烈な右ストレートを食ったアランダ。連打されてクリンチ。その後も互いに連打。しかし、その「質」に違いが。闇雲に連打するアランダに対し、エスパラゴサはディフェンスしながら隙を突く狙い打ち。10R、それまでのラウンドと同じように攻めるアランダだが、左フックが「ガツン!」。ダウンしたアランダは立てず、KO。エスパラゴサが石のように固いパンチでKO防衛。ワンツーからの左フックなどコンビネーションに驚異的な勢い、パワーがあった。アランダはよくやったが、ガードされた。その後、アランダはケニー・ベイスモア、ディンガン・トベラにTKO負けで引退。)
③アントニオ・エスパラゴサ 12R 判定 朴讃睦
(WBA世界フェザー級タイトル戦、1990年)
(感想:エスパラゴサがタイトル防衛。王座を守り続けるエスパラゴサ(メキシコの強打者で後のWBC王者マルコス・ビジャサナとはドロー。日本で杉谷満をKOしたが、いいパンチを食った)。七度目の防衛戦。挑戦者の朴(韓国)は長身で、174cm。敗北はあったが、韓国王座、東洋太平洋王座(いずれもフェザー級)獲得。直前の試合は日本での東洋太平洋王座防衛戦で、福田健吾とドロー。日本のボクシング関係者にとって興味深いカード。ソウルでの一戦(レフェリーはルディ・バトル)。フットワーク&ジャブ連打の朴。時折ワンツーを出すアウトボクシング。エスパラゴサは足を使う相手を追うが、手数が少ない。打ち合わない朴(クリンチ多用。9Rにバッティングで減点)、追い込むような攻めをしないエスパラゴサ。そのパターンが続いて12R終了。判定は小差の3-0。何とも面白くなかった試合。アウトボクシングも結構だが、パンチを当てに行かないのではどうしようもない。朴はこれが最後の試合に。エスパラゴサは動きのキレに欠けていた。その後のエスパラゴサ。試合間隔が空き、次の防衛戦も韓国。しつこいブルファイター、朴永均のラフな攻めを上手く処理できず、判定負け、王座陥落、引退。九度の世界戦を行ったが、全て敵地。不利な状況でもそのケタ外れのパンチ力があれば不安はなかっただろう。最後の二試合はどうだったのかは知らないが。)
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