2025年5月7日水曜日

「イタリアのサウスポー」ビンチェンツオ・ナルディエロ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

WBC世界スーパーミドル級王者。ブルース・スターリング戦、ヘンリー・ウォートン戦、ロビン・リード戦を紹介します。


ビンチェンツオ・ナルディエロ(イタリア)

身長179cm:サウスポー


ビンチェンツオ・ナルディエロ 2R TKO ブルース・スターリング

(ライトヘビー級戦、1993年)

「イタリアのサウスポー」ビンチェンツオ・ナルディエロ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

1R:左ストレートでナルディエロがダウン

2R:連打でスターリングがスタンディングダウン、左ストレートで2度、ダウン

(感想:サウスポーのナルディエロ。国籍はイタリアだが、ドイツ出身。ソウル・オリンピック(1988年)にライトミドル級で出場したが、「不本意な敗北」だったという。プロデビュー以来、全勝でWBA世界スーパーミドル級王者ビクトル・コルドバに挑戦したが、11RでKO負け(二度のダウンで完敗)。再起後、欧州王座(スーパーミドル級)を獲得したが、初防衛戦でTKO負け。その再起戦に勝利してスターリング戦。スターリングはニュージャージー州の黒人。1982年デビューのベテラン。アイラン・バークレーにKOされたことがある。このところ三連続KO勝ち。モスクワでの一戦。似たタイプのサウスポー同士。互いに左ストレート、右フックで打ち合い。右眉付近をバッティングでカットしたナルディエロ。右フックからの左ストレートを食ってダウン。その後、ジャブで体勢を立て直すナルディエロが連打で接近戦を仕掛ける。大きなパンチを狙うスターリングは距離を詰められて苦戦。2R、連打されてスターリングがスタンディングダウン。再開後、左ストレートでダウン。立ったが、左ストレートで三度目のダウン。今度も立ったが、レフェリーストップ。ナルディエロが逆転勝利。危なかったが、ジャブを使って形勢を逆転することに成功。スターリングは良いパンチを持っていたが、狙いすぎ。これが最後の試合に。)


ヘンリー・ウォートン 6R TKO ビンチェンツオ・ナルディエロ

(欧州スーパーミドル級タイトル戦、1996年)

「イタリアのサウスポー」ビンチェンツオ・ナルディエロ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

3R:ワンツーでウォートンがダウン

(感想:ウォートンがタイトル防衛。スターリング戦後、マウロ・ガルバノとの決定戦で欧州王座(スーパーミドル級)を獲得したナルディエロ。初防衛戦でTKO負け。にもかかわらずナイジェル・ベンのWBC世界スーパーミドル級王座に挑戦するチャンスを得たが、8RでTKO負け。再起二連勝でウォートンに挑戦。これまで28勝(16KO)4敗、29歳。22勝(17KO)2敗1分の王者ウォートン(28歳)は英国リーズ出身の白人。デビューから好調で、英連邦王座、次いで英国王座(いずれもスーパーミドル級)獲得。しかし、同じ英国のナイジェル・ベンのWBC王座、クリス・ユーバンクのWBO王座(いずれもスーパーミドル級)に挑戦して、判定負け。ガルバノとの決定戦で欧州王座(スーパーミドル級)を獲得し、残すターゲットは世界王座のみ、といった状況でナルディエロと防衛戦。英国ハリファクスでの一戦。共に機敏な動きで速いパンチ。ナルディエロが足を使って距離を取りながら右ジャブ、左ストレート、右フック。ウォートンは攻めの姿勢で距離を詰めて右ストレート、左フックにパワーを込める。軽快な動きのナルディエロ。3Rにワンツーでダウンを奪い、その後も激しい攻防。5R終了後にハプニング。ゴング後にウォートンが左フックで反則打。6R、開始のゴングと同時に突撃するウォートンだが、レフェリーに止められる(ゴングが鳴っているのだから反則ではないと思うが、相手のセコンドがまだリング内だった)。試合再開。ナルディエロが右目付近のキズのドクターチェック(ゴング後のパンチによるキズか?)。そのまま試合終了。キズによるTKOでウォートン勝利。それに納得いかないナルディエロは抗議するが、相手にされなかった。ウォートンが辛うじて勝利。しかし、こういう勝ち方はいかがなものか(しかも喜ぶとは)。ナルディエロは敵地で泣かされた形。その後、ウォートンはロビン・リードのWBC世界スーパーミドル級王座に挑戦したが、2-0で敗北。実力者相手にいいところまで迫ったが、世界王座は獲れなかった。)


ロビン・リード 7R TKO ビンチェンツオ・ナルディエロ

(WBC世界スーパーミドル級タイトル戦、1996年)

「イタリアのサウスポー」ビンチェンツオ・ナルディエロ「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」

(ダウンシーン)

5R:右フックでナルディエロがダウン

7R:左ボディでナルディエロがダウン

(感想:リードがタイトル獲得。ヘンリー・ウォートンに不運な負けを喫したナルディエロ。三度目の世界挑戦のチャンスを得て、スラニ・マリンガからWBC王座奪取。リードと初防衛戦。挑戦者リードは英国セフトン出身。デビューから負け無し。これが初の王座戦。イタリア・ミラノでの一戦(レフェリーはフランク・カプチーノ)。サウスポーのテクニック&左ストレートで勝負のナルディエロ。リードはダッキングしながら前進し、右パンチ、左フック。ナルディエロは攻められてクリンチ、ホールドするが、リードは構わずパンチを出し続ける。1R終了後、ニラみ合い。2R、リードのボディ攻撃を「ローブロー」と主張するナルディエロだが、レフェリーはこれを認めず。互いにディフェンスしながらナルディエロは左パンチ、リードは右パンチを当てようと狙う。5R終了直前、右フックでナルディエロがダウン。6R、背中を打たれてナルディエロがクレーム。クリンチ中にラビットパンチされてクレーム。7R、サウスポーにスイッチするリード。左ボディでナルディエロがダウンしたが、レフェリーはカウントを取らず(よく見えなかったのだろう)。しかし、ロープ際での左ボディでダウンし、カウントアウト。リードが力強い攻めで勝利。ナルディエロも強いパンチを打っていたが、この試合ではなぜか受け身でクレームが多かった。得意の左ストレートでもっと思い切りのいい試合をして欲しかったところ。その後の二人。リードはヘンリー・ウォートンらを相手に三度の防衛。そしてスラニ・マリンガに敗れて王座陥落。WBF王座、IBO王座を獲得できたが、WBO戦、IBF戦に敗北。王座を奪回したマリンガだが、王座はリッチー・ウッドホール(英国)へ。ウッドホールに挑戦したナルディエロ。TKO負けで王座返り咲きならず。ウッドホールも次の防衛戦でマルクス・バイエル(ドイツ)に敗れ、王座陥落。何とも落ち着かないWBC世界スーパーミドル級王座だった。) 

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