世界J・フライ、フライ級二冠王。タイの新旧対決。ソット・チタラダ戦(初戦・再戦)、ロッキー・マーシャル戦を紹介します。「世界チャンピオン列伝:ボクシングブログ」
ムアンチャイ・キティカセム(タイ)
身長163cm:オーソドックス(右構え)
①ムアンチャイ・キティカセム 6R TKO ソット・チタラダ
(WBC世界フライ級タイトル戦、1991年)
(ダウンシーン)
1R:連打でソットがロープダウン
5R:右ストレートでソットがダウン
(感想:ムアンチャイが二階級制覇。マイケル・カルバハルに敵地でKOされてIBF世界J・フライ級王座を奪われたムアンチャイ。階級を上げて同国人のソットに挑戦。減量苦から解放されて、どんな試合を見せるか? ソットは名選手(日本で王座を防衛したことも)。奪回した王座の五度目の防衛戦。互いにジャブ、ストレートを得意とする。似たようなスタイルの場合、何が勝敗を分けるのか? ソットの「経験」、ムアンチャイの「若さと勢い」。この試合の場合は「若さと勢い」が優勢。1R、左フックからの連打でソットはロープダウンを取られ、5Rには右ストレートでダウン。最後は連打で滅多打ち、王座移動。ソットは「若い頃の自分」に打たれているような気がしたのではないか? ムアンチャイは得意のジャブ、ストレートに加え、フックとアッパーも強く、IBF王者時代と比べ、攻撃のバリエーションが増えたように見えた。)
②ムアンチャイ・キティカセム 9R TKO ソット・チタラダ
(WBC世界フライ級タイトル戦、1992年)
(ダウンシーン)
2R:右ストレート、右フックで2度、ソットがダウン
6R:左ジャブでムアンチャイがダウン
(感想:ムアンチャイがタイトル防衛。実力を付けていくムアンチャイ。初防衛戦ではあの張正九(韓国)を劇的な最終ラウンド逆転KO勝ちで王座防衛。二度目の相手アルベルト・ヒメネス(メキシコ)も素晴らしい選手であったが、判定でなんとか撃退。そして前王者ソットとの三度目の防衛戦。ソットはあれから再起三連勝。「WBC1位」として王座奪回を目指す。共にジャブ。しかし、動き・パンチのスピードとキレはムアンチャイ。ジャブを正確に当て、右ストレート、左フックで優勢。2R、強烈な右ストレートでソットがダウン。右フックで二度目。連打され、KO寸前に。その後、ジャブで体勢を立て直すソット。ムアンチャイは慎重にガードしながら伸びのあるジャブをヒットさせる。5R、左フックでソットがピンチ。6R、左ジャブでムアンチャイがダウン。しかし、レフェリーはこれを「プッシング」扱いし、カウントを取らず。7Rに波乱。バッティングでソットが流血。ムアンチャイが荒いヘディングを連発し、減点。9R、出血が激しくなったソットが右ストレートを食って体勢を崩したところでレフェリーストップ。ムアンチャイが伸びのあるパンチで勝利。ソットは得意の右ストレートに力強いものがあったが、ジャブにキレが無かった。これでソットは引退。完全に新旧交代。)
③ムアンチャイ・キティカセム 3R KO ロッキー・マーシャル
(フライ級戦、1995年)
(ダウンシーン)
3R:右ストレートでマーシャルがダウン
(感想:ソットと決着をつけたムアンチャイ。しかし、次の挑戦者は強すぎた。日本でユーリ・アルバチャコフにKO負け、王座陥落。地元タイでの再戦にも完敗し、ブランク。マーシャル戦はその再起戦となる。マーシャルはフィリピン人。国内王座(フライ級)を獲得したことがあるが、勝ったり負けたりの男。バンコクでの一戦。サウスポーのマーシャル。右を使いながら低い姿勢から左ストレート、接近してガチャガチャとフックを振るう。そしてユーモラスな表情で相手を挑発。ムアンチャイはいつものようにジャブ、ストレート、左フック、ボディ打ち。パンチのキレは悪くない。3R、ムアンチャイの強打が連続ヒット。右ストレートでマーシャルがダウン。うつぶせのまま10カウントを聞いた。マーシャルはディフェンスがイマイチ。狙い打ちされてしまった。快勝のムアンチャイ。その後、数試合行ったが王座戦は無しでキャリアを終えた。打たれ弱さはあったが、実にシャープでパンチがあるスタイリッシュな選手だった。)
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