世界ウェルター級、S・ウェルター級王者。北米王座戦のエド・グリフィン戦、スティーブ・マルティネス戦ほかを紹介します。
バーノン・フォレスト(アメリカ)
身長183cm:オーソドックス(右構え)
①バーノン・フォレスト 8R KO イサック・クルス
(J・ウェルター級戦、1996年)
(ダウンシーン)
8R:ワンツーでクルスがダウン
(感想:ジョージア州出身の黒人フォレスト。ニックネームは「The Viper(毒ヘビ)」。スラリとした長身からキレとパワーのあるパンチを飛ばす様は「Black Mamba(毒ヘビ)」と呼ばれたロジャー・メイウェザーと雰囲気が似ている。ボクシングを始めたのは9歳。アマチュアで優秀な成績。バルセロナ・オリンピック(1992年)にライトウェルター級で出場(メダルは獲得ならず)。プロ入り後は中堅どころを相手にこれまで16連勝(13KO)で、25歳。クルス(22歳)はメキシカンで、10勝(9KO)3敗。実力者アイバン・ロビンソンに判定負けしたが、それ以来、三連勝中。カリフォルニア州インディオの屋外リングでの一戦(リングアナはジミー・レノン・ジュニア、レフェリーはルー・フィリポ)。しつこい連打が売りのクルス。開始からサウスポーにスイッチしたりしながらしつこく攻めの姿勢。ただ、ガチャガチャした粗い攻撃。フォレストは距離を取ってジャブ、ストレートで反撃したり、アッパー気味のボディ打ち、左フックのダブル(ボディからアゴへ)などを使ったり(器用かつパワフル)。4R、クリンチしたり、頭を押しつけたりしながら攻撃するクルスにフォレストが怒りのヘディングで試合中断。その後、クルスは前に出るが、勢いが落ちてさらに攻めが雑に。6R、フォレストが減点(ローブロー?)。結局、ボクサーとして優れているのはフォレストの方。8R、ジャブ連打からのワンツーでクルスがダウン。立てず、KO。フォレストがしなやかながらパワーのある強打で快勝。リーチが長い選手にありがちな「ぎこちなさ」は無し。デビューから連勝だった頃のトーマス・ハーンズのような戦いぶりだった。一方、ラフな攻撃で名レフェリーのルー・フィリポを困惑させたクルス。ただしつこいだけだったような気も。その後、クルスはメキシコ王座(ライト級)を獲得、防衛。ただ、ジョンジョン・モリナに敗れるなど上位陣には勝てず、ローカルな実力者としてキャリアを終えた。)
②バーノン・フォレスト 7R TKO ペドロ・サイス
(ウェルター級戦、1997年)
(感想:中堅相手に連勝中のフォレスト。サイスはドミニカ共和国の黒人サウスポー。アマチュアで実績。1988年のソウル・オリンピックにライトウェルター級で出場(アイク・クォーティに敗れてメダル獲得ならず)。プロではアメリカを主戦場にデビューから連勝だったが、ニューヨーク州王座戦(J・ウェルター級)で判定負け、初黒星。その後、同王座獲得。イサック・クルスに敗北。ニューヨーク州王座(ウェルター級)獲得。その次の試合でフォレストと勝負。アトランチックシティでの一戦(リングアナはメガネを掛けたエド・デリアン(昔は掛けていなかった。年月の流れを感じる)。フォレストのセコンドにルー・デュバ)。身長差のある試合(サイスは170cm)。左右の構えは違うが、共に速いジャブ、ワンツー。動きも機敏。接近戦では互いにフック、ボディ打ち。しかしながら、背が高いフォレストがリーチの長さ、懐の深さで優位。1Rから右ストレートをヒットさせるなど攻撃力で優勢(斜め下からのフックも迫力)。攻めるフォレスト。サイスはワンツー、右フックをディフェンスされて焦り。ホールドしながら攻撃してフォレストを怒らせる。6R終了後、サイスは棄権。それに不満の様子のサイス。ドクター、またはセコンドの申し出で棄権することになったのだろう。フォレストが激しい攻めで勝利。パンチにキレとパワー。サイスは右フックにパワーがあったが、体格差に泣いた。その後のサイス。シャンバ・ミッチェル(WBA世界J・ウェルター級王座戦)、ビンス・フィリップスらに敗北。大きな王座は獲れなかった。)
③バーノン・フォレスト 2R TKO エド・グリフィン
(北米ウェルター級タイトル戦、1998年)
(ダウンシーン)
2R:右フック、右フック連打、連打で3度、グリフィンがダウン
(感想:フォレストがタイトル初防衛。勝ち続けるフォレスト。レイ・オリベイラを判定で下してWBC米大陸王座(ウェルター級)獲得。決定戦でアドリアン・ストーンをTKOして北米王座(ウェルター級)も獲得。グリフィンと北米王座の初防衛戦(どうやら米大陸王座は返上したようだ)。グリフィンはメリーランド州ボルチモアの黒人で、これまで15勝(5KO)5敗。デビューから連勝だったが、判定で二連敗。その後、連勝したが、ライアン・ローデス戦(IBFインター王座戦(J・ミドル級))から三連敗でフォレスト戦。アトランチックシティ「Trump Taj Mahal」での一戦。共に27歳。フォレストが豪快なボクシング。長いジャブ、ワンツーからの左フック、左ボディ打ち。まさに「ヒットマン」と呼ばれた頃のトーマス・ハーンズ。グリフィンは何とか接近して左フック、しゃくるような右フックを使うが、相手の勢いに押される。2R、右フックでグリフィンがうつぶせにダウン。立ったが、右フック連打で二度目。最後は連打でロープ外に落とされてレフェリーストップ。フォレストが圧勝。実力差があったが、上位陣にも通用しそうな迫力の攻撃。グリフィンはフックに良さ。しかし、相手が強すぎた。その後、グリフィンは元世界王者チャールズ・マレイらに敗れて引退。)
④バーノン・フォレスト 1R TKO スティーブ・マルティネス
(北米ウェルター級タイトル戦、1999年)
(ダウンシーン)
1R:左フック、右フック、連打で3度、マルティネスがダウン
(感想:フォレストがタイトル防衛。世界ランカーのフォレスト(28歳)。これまで27連勝(22KO)。二度目の防衛戦。挑戦者マルティネス(27歳)はテキサス州サン・アントニオ出身で、37勝(23KO)3敗1分。1987年、デビュー。連戦連勝。しかし、WBU王座戦(J・ミドル級)で判定負け、初黒星。北米王座(J・ミドル級)獲得。初防衛に成功したが、二度目の防衛に失敗。アンソニー・ジョーンズ(数度の世界挑戦)に2-1で敗北。中堅どころには勝ってきたが、重要な試合を落としてきた印象のキャリア。ミシシッピ州トゥニカでの一戦。ガードを高く上げてジャブのマルティネス。フォレストは長いジャブ、ワンツー、そして猛攻。連打からの左フックでマルティネスがダウン。再開後すぐに右フックで二度目。一気に攻めるフォレスト。連打でマルティネスが三度目のダウンを喫したところでレフェリーストップ。フォレストが一気に勝利。このレベルの相手とは最早勝負にならない。マルティネスは勢いに乗っている相手の豪快な攻めに何もできず。しかし、決して弱い選手ではない。その後、この王座(北米ウェルター級王座)を獲得。)
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